第2話 新しい世界

「さあ、テント張るぞ。手伝って。」

「う、うん。」

「この骨組みをテントに通して~。」

「こうかな。」

「そうそう。うまい。うまい。じゃあ、次は、焚火をして夕飯づくりだ。」

修斗に教えてもらいながら、着火剤で火をつける。

「点いた~ぁ。」

「お、うまいぞ。美月。これで飯が食えそうだ。」

「今日のメニューはなに?旦那様。」

「ステーキにピラフ入りのローストチキンだぞ~。」

「そんなに食べられないよ~。」

「大丈夫。俺が食うから。」

 修斗はスキレットでお肉を焼いてダッチオーブンでローストチキンを作ってくれた。キャンプ初体験の私は、修斗を頼もしく見つめていた。

 2人で見た満点の星空。修斗と結婚しなかったら一生見られなかったね。


 私は小さい頃から引っ込み思案で絵を描くことがすきだった。世田谷美術大学で油絵学科で、絵や版画、デジタル表現を専攻した。そのまま、今の広告会社に就職した。

 修斗は、東京体育大卒業。子どもの頃からずっとサッカー一筋のスポーツマン。今は、ニザワホームの営業マン。根っからのアウトドア派でフットサルチームで草大会に出たり、チームメートで遊んだり旅行やキャンプに出掛けたりしていた。

 私たちは、会社関係の合コンで出会った。真逆の私たちだけど、修斗から交際を申し込まれて、付き合って結婚した。

 修斗のおかげて、新しい世界をたくさん見ることができた。地味でつまらない私を選んでくれてありがとう、修斗。

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