第5話

「タイムマシーン」




第四話




「託されし意志」




吹雪は勢いを増し、まるで、俺の心中を見透かし、脅かす様に。。




ザッ ザッ ザッ




男が、近付いてくる度に俺の中指に浮かんだ矢印がキーン、キーンと音が鳴り、指が痛くなる。




そして、相手が俺の半径2メートル、帯刀している禍々しい黒い剣が届く様な範囲まで近付いた、その時。




男は口を開き、地の底から出す様な低い声で、話した。




「お前も黄金の騎士団か?」




??




黄金の騎士団、、?




良く意味が分からないと言った感じでいると、相手は、まぁ、良い、金の鍵は持っているな?と威圧しながら、それを渡せと言う様に、太い腕を出してきた。




そう問われ、俺は岩瀬が話していた事を思い出した。金の鍵がどれほど大切かも。




「い、嫌だ!」




俺はこんな圧倒的絶望化の中でも、何故か強い意志の様な感覚が走り、俺は相手を強く睨み返した。




「そうか、、ならば、、」




そう言い、相手は大剣を掴んだ。




俺は死を覚悟した。




ビュン!!




あぁ、、死ぬのか、、そう思い、ギュッと瞳を閉じた。




カキーン!!




「い、岩瀬?」




俺は安堵し、身体がカクンとする様に、その場にへたり込んだ。





「やるな、女。 貴様、名は? 黄金の騎士団の一員か??」





「岩瀬美里だ。下衆め、私はハッキリと覚えているぞ、やはり、この時代まで、追ってきて良かった。。髑髏の騎士、四天王の一人、ギル、今日がお前の最後だ!! ケンの仇、今、ここで必ず取る! その為だけに生きていたんだ!!!」




あぁ、、何たる偶然の一致。。




岩瀬の、かけがえない彼氏だった人の仇が当に目の前にいるんだ、、!




俺は恐怖を押し殺す様に、いつでも、何かしらの加勢に入れる様に、そっと、近くにあった雪と氷を強く手に握り締めた。




本能的に、分かっていた。。




岩瀬は、、きっと、きっと、仇を撃つ為ならば、本当に口だけではなく、命を否、全てを賭ける気でいるのだと。




「さぁ、来い、小娘。」




相手は余裕の感じに、剣を構えていた。




シュッ!!




まず、岩瀬がナイフの様な物を敵に投げた。




すると、ギルが簡単に避けても、まるでリモコン操作されてるかの様に、追い掛けるのだ。




そして、相手も、そのナイフを避けながら、手に持っているタバコ程の小さな筒から、赤い熱線を出す。




彼女は何とか、避けると、その熱線は、後ろの電柱にジュワッと穴を空けた。




凄まじい、、




これが未来兵器!




そして、ギルが、熱線を放ち、再度、岩瀬が避けた瞬間!




あぁ、男の刃が無慈悲に岩瀬の、みぞおちにグサリと刺さった。




「岩瀬!!」




俺は思わず声を上げ、加勢に入ろうとした。




だが、俺に目線を送り、地面を指差した。


何かの合図だ。




「フハハハ! 何とも惨めだな、時空を彷徨い、仇も打てずに、朽ちていくのだ!」




力尽きたのか、彼女は持っていた短剣を地面に落とした。




相手は、勝ちを確認して、刀を岩瀬の身体から抜こうとした。




が!




「な、何!?抜けん!」




体中に渾身の力を込めて、更に相手の身体に逃さない様にしがみついた。




その時、俺は彼女の意図を察した。




この機を逃せば勝てない!今しかない!




俺は地面に、落としてある短剣で髑髏の騎士を頭や背中、首に何十回も、ゼハゼハと息を荒げる程、刺しまくった。




物凄い力だ。




少しでも力を抜けば、振り落されんばかりに敵は暴れ抵抗してくる。




どれだけ奮闘した事か、、




遂に大量の血を吐き、髑髏の騎士、ギルは地面に、倒れ込んだ。




その瞬間、あのスクリーン画面が現れた!




タイムスリップを、シマスカ?? Yes or No??




俺は直感で分かり、直ぐに敵の金の鍵を遠くへ放り投げた。




そして、10 9 8 7 6 5 と、タイムリミットが始まった。




「ま、待て、待ってくれ、、グハァ、、俺がこんなガキ共に負けたなんて、、」




「間もなく、お時間です。金の鍵ヲ、カザシテクダサイ。」




秒数は冷酷に、4 3 2 1... 0とタイムアウトになった。




それと同時に、ギルの身体はチリとなり消滅した。




ハッ!そうだ、岩瀬!




岩瀬にも敵同様、間もなくカウントダウンの時間が訪れようとしていた。





ハァハァ、、




「岩瀬!しっかりしろ!」




「ハァハァ、ハァハァ、敵は??勝て、、たの私達?」




「あぁ、ギルは死んだ。見事だったぜ、あんな作戦を考えていたんだな!」




「さぁ、岩瀬、金の鍵で、どっかにタイムスリップして、生きよう!」




「ほら、岩瀬。」




俺は彼女に金の鍵を使う様に話し掛けた。




「ハァハァ、ハァハァ、、良いの、、お願い、ケンの元に、、逝かせて。。あぁ、本当に待っててくれたのね。」




吐血をしながら、彼女は近くを指差し、微笑んだ。




「頑張ったなぁ、美里、ありがとう。」




確かに聞こえ、見えた。




金色にボワッと光った長身に目鼻立ちの整った男が、こちらに、微笑んでいた。




「優、、これを、、」




岩瀬は、そう言い、彼女の金の鍵と、何かの小さな地図?みたいな物を渡してきた。


    


「こ、これは、、」




「黄金の騎士団の隠れ家よ。 ハァハァ。 貴方、、に、、ハァハァ、、託すわ、私の意思を。必ず、生きて、生きて、生き抜いて。。」





「岩瀬!!」




彼女は話し終えると、安らかに瞳を閉じた。




スクリーンに文字が流れ、タイムアウトになると同時に、岩瀬の身体はチリとなり、消えた。




そして、、




ふと、振り向くと、確かにケンと岩瀬が、ホンワリと半透明に手を繋ぎ立っていた。




彼等は微笑み、天に昇って逝った。





岩瀬、確かに受け継いだよ、君の大切な意志を。




ここから、俺の運命は大きく動き出す事となるのだった。







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作品コメント

4件


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R太郎

2023年10月30日

y.kato さん、いつも、読んで下さり、しかも、コメントまで、、、本当に嬉しいです! 本当にありがとうございます(*^^*) フフフ、何を隠そう、、私もとある駄菓子屋にて、、、フフフ! 次も速攻で載せるので是非是非、ご覧下されば、とっても嬉しいです(^^) R太郎(*^^*)



y.kato-channel

2023年10月30日

本当によく書けてる話ですよね! 好奇心を刺激する、 面白い作品だと思います! というか、 また読みに来ました! あなたもトラベラー? 岩瀬美里も?


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