第4話
第三話
後編
「髑髏の騎士」
ビュービューと、まるで俺の心をワザと不安にさせるかの様に吹雪が吹き荒れる。
「貴方、ちょっと家、上がってって! 話とかなきゃいけない事があるわ!貴方、危険過ぎる!」
俺はワケも分からぬまま、岩瀬の家に入った。
両親が留守で、岩瀬は俺を部屋に上げると、まず、1つ、慎重そうに見覚えのある物を厳重に机の棚から出した。
これは、当然、知ってるわよね?
(あ、金の鍵だ!)
「あ〜、これかい?」
俺は直ぐにポケットに入れていたそれを、ポンと出して彼女に見せた。
すると、、、
「ばっっかじゃないの!!貴方、これが何か分かってるの!?」
岩瀬は今にも無知な俺を引っ叩きそうな勢いで怒鳴った。
「良い? 貴方、これがなきゃ元いた世界や行きたい時代に、いけないのよ!? あ〜、もう、、全く!!」
岩瀬は呆れて大きくため息を、つくと、真剣に語り始めた。
「今から話す事を真剣に聞いてね、三井優君。良い?」
あ、は、はい。
俺は緊張して返事をした。
「とにかく、まず最初の歴史から話すわね。」
「貴方、例えば、数百年先の世界って、どうなってると思う??」
そりゃあ、まぁ、自然破壊や、温暖化、、紛争、食糧問題かな、、
なんて、適当に答えた。
また、岩瀬が怒るかなと思い、ビクッとしたが、俺の意図とは反対に、、
「そう!当にそうなのよ!」
「私もあの不思議な駄菓子屋さん、知ってるでしょ? あそこに、辿り着いたのよ、普通にOL2年目の時に。」
どうやら、彼女もそこで、元彼とタイムマシーンと金の鍵を買った様だ。
「それでね、私、胡散臭過ぎて、適当に2555年ってケン(岩瀬の元彼氏)とボタンを押してタイムスリップしたのよ。」
へ〜、五百年先か。。
「で、どうだったの?環境や人達は?」
俺が少しずつ真剣に問いかけると、彼女はうつむいて、涙を流しながら答えた。
「空気は吸うだけで、吐き気がする位に汚れていて、食糧も水も一部の権力者を除いては、殆ど得れなく、何千、何万と屍が土地いっぱいに転がっていたわ。。」
「それでね、私達は直ぐに、金の鍵で、元の世界に戻ろうとしたの。」
そこで、、
岩瀬は震えながら話を続けた。
紫と黒の2色の禍々しい色の刀を帯刀した全身、黒ずくめの鎧を纏った2mはある、大男が現れたの。
私もケンも瞬時に脳より先に、危ないと本能が叫び、逃げようとしたの。
タイムマシーンにいつもの様に文字が流れたわ。
何年に戻りたいかと、、
そして、その時、、だったわ、、
その男が部下に呼びかけ、金の鍵を奪おうと、彼氏に、、ケンに刀を向けながら斬りかかってきたの。
「もう、多分、その一太刀で、肉体的にケンは私を庇い、絶命状態だったと思うわ、私を守って、、ウゥ、、ウゥ、、」
話せば話すほど、涙を流しながら辛くなっていく岩瀬を見て、俺はいてもたってもいられなくなり、彼女の背を擦った。
何だか聞いてるだけで、苦しくて苦しくてたまらないのが、分かる程だった。。
「だけど、その時よ、タイムマシーンの開発者、ドイツの天才科学者、フィリップと名乗る男が、私達の前に現れ、赤い球体の物を奴等に投げつけたの。すると、本当に驚いたわ、、火山の様なマグマが敵の前に現れ、奴等は深い火傷を負い、金の鍵を使い、逃げたの、、そう、ハッキリと見たわ、、西暦200☓年と。」
俺は色んな情報が一気に耳に入ってきたので、少し困惑したが、頭の中を整理した。
まず、岩瀬は2555年に、今は亡き彼氏と、タイムスリップした。
そして、髑髏の騎士の一人に彼氏を殺された、だから、、今は復讐の為だけに生きている、、
そして、タイムマシーンを開発したのはドイツの超天才科学者、フィリップ。
なるほど、、
俺はやっと話が掴めた。
しかし、俺はやはり、、復讐の為だけになんか生きないで、どうか、金の鍵を使い、元の世界に戻り、そこで、ケンにまた会えば良いじゃないか?
と提案した。
すると岩瀬は凄い形相で怒鳴る様に叫んだ。
「貴方に何が分かるの!! タイムマシーンは、まだまだ謎だらけで、タイムスリップ中に殺された人間は過去に戻っても、世の中から、元々いない事になってしまうのよ!!」
だが、俺はそれでも、どうか自分を大切に、、と諭そうとした、、、が、、
「貴方は甘過ぎる。もう良いわ、帰って。もう目の前から消えて!!」
彼女は嗚咽しながら泣いて叫んだ。
自分じゃあ、彼女を救うどころか、話せば話す程、己の無知や愚鈍さで、ますます傷つかせてしまう、、そう思い、俺はごめんなさいと一言、言い岩瀬の家を出た。
相変わらず吹雪が凄い。
何だか薄暗くて怖い感じがして、俺は急ぎ足で家に戻ろうとした。
すると、その時だ!
中指に痛みの様な感覚が走り、矢印の様な黒い文字が浮かび上がった。
すると、その矢印が指す方向に全身黒ずくめの服に、漆黒のマントを被った男が立っていた!
俺は恐怖でガクガクと震え、身動きがとれずにいた。
そして、、
本能で直ぐに分かった。
髑髏の騎士。。
男は一歩ずつ、こちらに歩いてきた。ゆっくりゆっくりと、、確実に近づいてくる。
吹雪はまるで、止む事を知らない様に吹き荒れていた。
キュン
–
尊い
–
ぐっときた
–
泣ける
–
好きです
–
推しです
–
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作品コメント
4件
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R太郎
2023年10月30日
y.kato さん、いつも、読んで下さり、しかも、コメントまで、、、本当に嬉しいです! 本当にありがとうございます(*^^*) フフフ、何を隠そう、、私もとある駄菓子屋にて、、、フフフ! 次も速攻で載せるので是非是非、ご覧下されば、とっても嬉しいです(^^) R太郎(*^^*)
y.kato-channel
2023年10月30日
本当によく書けてる話ですよね! 好奇心を刺激する、 面白い作品だと思います! というか、 また読みに来ました! あなたもトラベラー? 岩瀬美里も?
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