第6話

魔法のiらんどサービス終了のお知らせ

詳細





6

17

△ 前のページへ


タイムマシーン

「タイムマシーン」




第5話




「Farewell.. ありがとう。そして、、さようなら。。振り向かないで。」





初春の空には桜の花びらが舞い、太陽がキラキラと温かく輝いている。




あれから、あの激闘から、2年と数ヶ月が過ぎ、俺は、この世界では小学校を卒業する日を迎えていた。




皆、俺も麻衣ちゃんも含め、親子で記念写真を撮ったりしている。




そんな平和な様子を見ていると、何だか俺の脳裏には、ふと岩瀬の事が頭を過る。。




そう、己の命を賭して、最後まで意志を貫き通し、闘い抜いた彼女の事を。。




常に、岩瀬を忘れる事はなかった、あの勇姿を。。




だが、このタイムマシーン上のルールなのか、、




トラベラー以外の者からは、彼女の存在は始めから、無かった事になっているのだ。




卒業アルバムに岩瀬が全く載ってないのが、俺には、どうしても、やるせない。。




(岩瀬、、君は、今、幸せかぃ。。?)




ふと、何度もそう天に問う自分がいる。





「優君!」




ん?




「あ、麻衣、髪型似合ってるね!」




いつ見ても可愛いが、今日は髪型が少し大人っぽくしていて、更に可愛い、いや、美しいと言った方が正しいか。。




「中学生になっても宜しくね、優君!」




今まで、色んな季節を共にしてきた。。


その綺麗な澄んだ瞳に、照れてはにかんだ時の、笑みに、真っ直ぐな優しさに、何度、幸せと感じた瞬間を貰った事か、、確かに君に救われていたよ。




そう、、




だからこそ、、




これ以上、、




一緒にはいられない。君だけは巻き込むわけにはいかないんだ、絶対に。




「麻衣、、今までありがとう。本当に。。」




俺は気付けば涙声で彼女を抱きしめていた。




「どうしたの、優君、、?」




「俺は君と一緒にいれるのは今日までなんだ。。どうか、今から話す事を真剣に聞いてほしい」と麻衣の瞳を強く見つめ、こっちの世界に来てから、およそ、2年半が経った今、全ての真実を話した。




実は、自分はトラベラーだった事。そして、岩瀬の意志を引き継いだ事





初春の風が舞う中、麻衣は、俺の話す言葉一つ一つを、真剣に聞いてくれた。




「何でだろう、、普通なら、そんな漫画みたいな話、信じる気にもなれない、、だけど、不思議だよ。」




「優君のある日、突然、まるで大人みたくなった様子や言動から、そして、今日も優君は、真っ直ぐに眼を見て話してくれるね。何だか全て合点が行くよ。貴方の言う事が信じれるよ。」




(麻衣、、ウゥ。。)




本当に愛していた、勿論、今も。。本当は離したくない。抱きしめていたい。




俺は迫る惜別の想いに、更に彼女を強く抱き締めた。





「優君、、もう大丈夫だよ、私は。ありがとう。」




見つめ合った俺達の瞳に互いの顔が綺麗に映っていた。




そして、、麻衣の顔に一片の桜の花びらがフワリと降った。




俺がソッと、その薄桃色の花びらを取ろうとすると、、その手を掴み、彼女は、背伸びをして、小さな唇を、俺の口にソッと合わせた。




あの日のキス、口づけは、涙でしょっぱく、桜の花の香りが混じり、いつまでも、色褪せない想い、、想い出となった。




「今まで、ありがとう、、さようなら。愛してます、優君。私は貴方を、貴方と過ごした日々を、沢山の想い出を忘れません。」




麻衣、、




俺はその言葉を受け取ると、まだ、彼女の小さな温かい唇の温もりを忘れない様に、、




俺は全ての未練を残さない様に、ただ、ただ、振り向かないで、全力で、校舎を、、そう、沢山の想い出が詰まった、その場所を走り去った。




二人で共に過ごし駆け抜けた日々が走馬灯の様に脳裏に過る。




切なく、はかなく、美しく。。




(ありがとう、ありがとう、麻衣。俺の愛した人。)




「頑張れー!優ー!生きて、生きて、生き抜いてー!頑張れー!」




麻衣の振り絞る様な涙声のエールを受けながら、ただ、俺は初春の、道を駆け抜けた。




タイムマシーン 前編 完




中編へ進む。






キュン

尊い

ぐっときた

泣ける

好きです

推しです

自分の作品にはスタンプを押せません

▽ 次のページへ

本文を編集

作品コメント

4件


作品コメントを入力…


R太郎

2023年10月30日

y.kato さん、いつも、読んで下さり、しかも、コメントまで、、、本当に嬉しいです! 本当にありがとうございます(*^^*) フフフ、何を隠そう、、私もとある駄菓子屋にて、、、フフフ! 次も速攻で載せるので是非是非、ご覧下されば、とっても嬉しいです(^^) R太郎(*^^*)



y.kato-channel

2023年10月30日

本当によく書けてる話ですよね! 好奇心を刺激する、 面白い作品だと思います! というか、 また読みに来ました! あなたもトラベラー? 岩瀬美里も?


コメントをもっと見る

ホーム

しおり

作品を探す

シェア

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る