第6話
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タイムマシーン
「タイムマシーン」
第5話
「Farewell.. ありがとう。そして、、さようなら。。振り向かないで。」
初春の空には桜の花びらが舞い、太陽がキラキラと温かく輝いている。
あれから、あの激闘から、2年と数ヶ月が過ぎ、俺は、この世界では小学校を卒業する日を迎えていた。
皆、俺も麻衣ちゃんも含め、親子で記念写真を撮ったりしている。
そんな平和な様子を見ていると、何だか俺の脳裏には、ふと岩瀬の事が頭を過る。。
そう、己の命を賭して、最後まで意志を貫き通し、闘い抜いた彼女の事を。。
常に、岩瀬を忘れる事はなかった、あの勇姿を。。
だが、このタイムマシーン上のルールなのか、、
トラベラー以外の者からは、彼女の存在は始めから、無かった事になっているのだ。
卒業アルバムに岩瀬が全く載ってないのが、俺には、どうしても、やるせない。。
(岩瀬、、君は、今、幸せかぃ。。?)
ふと、何度もそう天に問う自分がいる。
「優君!」
ん?
「あ、麻衣、髪型似合ってるね!」
いつ見ても可愛いが、今日は髪型が少し大人っぽくしていて、更に可愛い、いや、美しいと言った方が正しいか。。
「中学生になっても宜しくね、優君!」
今まで、色んな季節を共にしてきた。。
その綺麗な澄んだ瞳に、照れてはにかんだ時の、笑みに、真っ直ぐな優しさに、何度、幸せと感じた瞬間を貰った事か、、確かに君に救われていたよ。
そう、、
だからこそ、、
これ以上、、
一緒にはいられない。君だけは巻き込むわけにはいかないんだ、絶対に。
「麻衣、、今までありがとう。本当に。。」
俺は気付けば涙声で彼女を抱きしめていた。
「どうしたの、優君、、?」
「俺は君と一緒にいれるのは今日までなんだ。。どうか、今から話す事を真剣に聞いてほしい」と麻衣の瞳を強く見つめ、こっちの世界に来てから、およそ、2年半が経った今、全ての真実を話した。
実は、自分はトラベラーだった事。そして、岩瀬の意志を引き継いだ事
初春の風が舞う中、麻衣は、俺の話す言葉一つ一つを、真剣に聞いてくれた。
「何でだろう、、普通なら、そんな漫画みたいな話、信じる気にもなれない、、だけど、不思議だよ。」
「優君のある日、突然、まるで大人みたくなった様子や言動から、そして、今日も優君は、真っ直ぐに眼を見て話してくれるね。何だか全て合点が行くよ。貴方の言う事が信じれるよ。」
(麻衣、、ウゥ。。)
本当に愛していた、勿論、今も。。本当は離したくない。抱きしめていたい。
俺は迫る惜別の想いに、更に彼女を強く抱き締めた。
「優君、、もう大丈夫だよ、私は。ありがとう。」
見つめ合った俺達の瞳に互いの顔が綺麗に映っていた。
そして、、麻衣の顔に一片の桜の花びらがフワリと降った。
俺がソッと、その薄桃色の花びらを取ろうとすると、、その手を掴み、彼女は、背伸びをして、小さな唇を、俺の口にソッと合わせた。
あの日のキス、口づけは、涙でしょっぱく、桜の花の香りが混じり、いつまでも、色褪せない想い、、想い出となった。
「今まで、ありがとう、、さようなら。愛してます、優君。私は貴方を、貴方と過ごした日々を、沢山の想い出を忘れません。」
麻衣、、
俺はその言葉を受け取ると、まだ、彼女の小さな温かい唇の温もりを忘れない様に、、
俺は全ての未練を残さない様に、ただ、ただ、振り向かないで、全力で、校舎を、、そう、沢山の想い出が詰まった、その場所を走り去った。
二人で共に過ごし駆け抜けた日々が走馬灯の様に脳裏に過る。
切なく、はかなく、美しく。。
(ありがとう、ありがとう、麻衣。俺の愛した人。)
「頑張れー!優ー!生きて、生きて、生き抜いてー!頑張れー!」
麻衣の振り絞る様な涙声のエールを受けながら、ただ、俺は初春の、道を駆け抜けた。
タイムマシーン 前編 完
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作品コメント
4件
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R太郎
2023年10月30日
y.kato さん、いつも、読んで下さり、しかも、コメントまで、、、本当に嬉しいです! 本当にありがとうございます(*^^*) フフフ、何を隠そう、、私もとある駄菓子屋にて、、、フフフ! 次も速攻で載せるので是非是非、ご覧下されば、とっても嬉しいです(^^) R太郎(*^^*)
y.kato-channel
2023年10月30日
本当によく書けてる話ですよね! 好奇心を刺激する、 面白い作品だと思います! というか、 また読みに来ました! あなたもトラベラー? 岩瀬美里も?
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