第5話

​ネットの反応

​アキラが千恵に探偵助手になるよう頼むも、幼なじみとして見守ると言われた配信は、視聴者の間で大きな話題となった。

​Twitter

​探偵見習いの呟き

アキラと幼なじみの千恵ちゃん、あの関係性尊すぎるだろ…。助手にはなれないって言ってたけど、それでも見守るって、もう実質助手じゃん。

​陰陽師オタクの独り言

千恵ちゃんが陰陽師の能力持ってる説、ある?アキラの知らないところで、もしかして事件解決に協力してるのかも。

​家賃を稼ぎたい

アロハシャツとビーサンはどこへ…?沖縄から帰ってきて、今度は幼なじみにプロポーズ(?)かよ。アキラの行動、マジで予測不能。

​名もなき配信者

アキラの配信、リアタイで見てたけど、あの唐揚げ弁当、めちゃくちゃ美味しそうだった。料理配信もやってほしい。

​蘆屋美奈

ふん、軟弱な茶番やな。探偵稼業に甘えは禁物や。そんなんやから、いつまでたっても家賃滞納しとるんやろ。うちの方が、よっぽど格上って、世間に見せつけたろか。

​YouTubeコメント欄

​JK探偵ゆいゆい

アキラくんと千恵ちゃんのやり取り、まじでキュンとした。二人とも頑張ってほしいな!

​真実を求める者

千恵さんの「幼なじみとして見守る」という言葉に、深い意味を感じた。彼女はアキラの知らないところで、すでに戦っているのかもしれない。

​霊感ゼロの日常

アキラくん、もう探偵助手は千恵ちゃんに決まりだね!これで最強タッグの誕生じゃん!

​通りすがりの妖怪

ふん、人間ごときが絆などという脆弱なものに頼るとはな。せいぜい、足手まといにならぬよう気をつけるがよい。

​家賃を稼ぎたい

アキラくん、唐揚げ弁当代、ちゃんと報酬から引いてる?笑


​修学旅行と京都の妖

​千恵との一件、そして蘆屋美奈の挑戦を受けてから、俺の探偵兼陰陽師稼業はさらに忙しくなった。配信の視聴者も増え、家賃の滞納も解消できた。そんな俺たちに、修学旅行の季節がやってきた。行き先は、陰陽師の聖地、京都だ。

​「まさか、修学旅行で京都に来ることになるとはな…」

​俺は、京都駅に着くと、思わずそう呟いた。この街は、至る所に結界が張られ、妖の気配が強い。酒呑童子の力が、ここにも及んでいるかもしれない。

​「アキラ、何ボケっとしてるの?はぐれるわよ」

​千恵が、呆れたように俺を呼んだ。俺は、慌てて千恵の元へと向かった。

​修学旅行は、3泊4日だ。一日目は、清水寺や金閣寺といった有名な観光地を巡った。しかし、俺は、観光よりも、妖の気配を探すことに夢中になっていた。

​「…いる。この辺りにも、かなりの数の妖がいる…」

​俺は、そう呟き、リュックから護符を取り出した。

​「どうしたの、アキラ?」

​千恵がそう尋ねると、俺は「なんでもない」と答えた。千恵に、これ以上、心配をかけたくなかったからだ。

​その日の夜、俺は、こっそりと宿を抜け出した。

​「…京都の妖どもめ、俺と遊んでくれるか…!」

​俺は、そう言って、夜の京都を彷徨った。すると、俺の前に、一匹の妖が現れた。

​その妖は、まるで子供のように、無邪気な顔をしていた。しかし、その瞳には、深い悲しみが宿っていた。

​「…お前、どうして泣いてるんだ?」

​俺がそう尋ねると、妖は、何も答えず、ただ涙を流すだけだった。

​俺は、その妖の姿に、どこか見覚えのある、邪気を感じた。

​「…酒呑童子の、不完全な力…!」

​俺は、そう確信し、護符を構えた。

​その時、背後から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

​「へぇ、あんた、こんなとこで、何してんの?」

​俺が振り返ると、そこに立っていたのは、蘆屋美奈だった。彼女は、金髪のツインテールを揺らし、俺を軽蔑したような目で見ていた。

​「…蘆屋美奈!なんで、お前がここに…!」

​俺がそう叫ぶと、美奈は、フッと鼻で笑った。

​「うちも、修学旅行で京都に来てんねん。…あんたのせいやで?あんたが、うちらに宣戦布告してきたから、うちも、あんたの動向を調べててん」

​美奈は、そう言って、俺に近づいてきた。そして、俺の隣にいる、妖を見て、眉をひそめた。

​「…その妖、呪われてるやんか。…あんた、こんな弱い妖にも、手こずってんの?」

​美奈の言葉に、俺はムッとした。

​「うるせぇ!これは、ただの妖じゃない!酒呑童子の不完全な力で、呪われてるんだ!」

​俺がそう言うと、美奈は、少しだけ驚いた表情を浮かべた。

​「…ホンマに、酒呑童子やて?まさか、この京都にまで…」

​美奈は、そう言って、真剣な顔になった。

​「…おい、安倍アキラ。この一件、うちも協力したるわ」

​美奈の言葉に、俺は驚いた。

​「…なんでだ?」

​俺がそう尋ねると、美奈は、フッと笑った。

​「決まってるやんか。あんたが、うちらより先に、手柄を立てたら、うちのプライドが許さへんやろ?」

​美奈は、そう言って、俺に背を向けた。

​俺は、美奈の言葉に、呆れながらも、少しだけ、嬉しくなった。

​俺の物語は、ここから、さらに複雑になっていく。

​呪われた座敷童子

​「とりあえず、配信するぜ!」

​俺は、美奈の協力の申し出に戸惑いながらも、スマホを取り出し、配信を始めた。

​「はいどうもー!探偵兼陰陽師の安倍アキラです!まさかの展開で、修学旅行先の京都から配信してます!」

​俺がそう告げると、コメント欄は驚きと興奮でざわついた。

​『修学旅行の動画きたー!』『京都いいな!』『アキラ、楽しんでるか?』といったコメントが流れてくる。

​「えー、実はですね…」

​俺は、そう言って、目の前にいる、悲しげな顔をした妖を映し出した。

​「京都にも、俺の物語の元凶、酒呑童子の力が及んでいるんです!」

​俺がそう告げると、コメント欄は静まりかえった。

​「見てください。この子、ただの妖じゃない。酒呑童子の不完全な力で、呪われてるんです!」

​俺は、そう言って、その妖の姿を、さらに大きく映し出した。

​「この子は、誰かに操られ、人間を襲ってしまっていた。でも、本当は、誰かを傷つけるような子じゃないんです!」

​俺は、そう言って、視聴者たちに語りかけた。

​「皆さんは、今、この動画を見ています。そして、皆さんの心が、この子に届いています。皆さんの温かい気持ちが、この子の心を浄化する力になるんです!」

​俺は、そう言って、この妖に手をかざした。

​すると、俺の手から、白い光が放たれ、その妖の体を包み込んだ。

​「…うぅ…」

​妖は、苦しそうにうめき声を上げた。その体から、黒い邪気が、少しずつ消えていくのが見えた。しかし、邪気は、完全に消えることはなかった。

​「…なんでだ…!?」

​俺は、驚愕した。これまでの呪いなら、この方法で、確実に浄化できていた。

​「…無駄やで、安倍アキラ」

​美奈は、そう言って、俺の隣に、ゆっくりと近づいてきた。

​「あんたのその力は、人々の心の光を借りて、浄化する力や。でもな、この妖の呪いは、あんたがこれまで見てきた、どんな呪いよりも、深い」

​美奈の言葉に、俺は眉をひそめた。

​「…どういうことだよ?」

​俺がそう尋ねると、美奈は、静かに語り始めた。

​「この妖は、京都に住む、座敷童子。そして、この子の呪いは、『存在の否定』。人々から忘れられ、存在を否定された座敷童子は、酒呑童子の力に魅入られて、こうなったんや」

​美奈の言葉に、俺は息をのんだ。

​「…そんな…!」

​「…いくらあんたの配信で、人々の心を温かくしたところで、この子を助けることはできひん。この子を助けるには、この子の存在を、この目で確かめて、認めることが、必要なんや」

​美奈は、そう言って、俺を見つめた。

​俺は、座敷童子の呪いを解くことができず、ただ、呆然と立ち尽くしていた。

​「…どうすればいいんだ…?」

​俺は、そう呟き、配信の画面に、顔を映した。俺の顔は、困惑と、焦りで、歪んでいた。

​俺の物語は、ここから、さらに複雑になっていく。

現れた黒鬼

​座敷童子の呪いを解けず、俺はただ呆然と立ち尽くしていた。美奈の言う「存在の否定」という呪い。人々の温かい心が力となる俺の陰陽術は、この呪いには届かない。

​「くっそ…どうすればいいんだ…!」

​焦りと苛立ちで拳を握りしめたその時、俺の背後から重々しい声が聞こえた。

​「諦めたら、そこで終わりだ」

​俺が振り返ると、そこに立っていたのは見慣れない鬼だった。全身が漆黒で、顔には無数の傷跡があり、威圧的なオーラを放っていた。

​「…あんたは…?」

​俺がそう尋ねると、黒鬼は、俺をじっと見つめ、静かに語り始めた。

​「私は、この京都の地を守る、黒鬼。そして、この座敷童子の呪いについて、すべてを知っている」

​黒鬼の言葉に、俺は息をのんだ。彼は、この事件の真実を知っている?

​「…教えてくれ!この子の呪いのこと、酒呑童子のこと…!」

​俺がそう懇願すると、黒鬼は静かに頷いた。

​「いいだろう。だが、その前に、お前の力を見せてもらおう」

​黒鬼はそう言って、俺に護符を構えるよう促した。俺は、言われた通りに護符を構えた。すると、黒鬼は、俺の護符から放たれる、白い光を見て、満足そうに頷いた。

​「…その力は、確かに本物だ。だが、その力だけでは、酒呑童子には敵わない。酒呑童子の力は、お前の想像を遥かに超えている」

​黒鬼の言葉に、俺は眉をひそめた。

​「…わかってる!でも、俺は…」

​「…聞くがいい。この座敷童子の呪いは、『存在の否定』。彼女は、人々から忘れられ、存在を否定された。その心の闇が、酒呑童子の力の糧となった」

​黒鬼は、そう言って、座敷童子に目を向けた。

​「…そして、酒呑童子は、その力を使い、この京都に、新たな**『領域』**を作り出そうとしている。その領域は、人々の心の闇を増幅させ、この京都を、絶望の街に変えてしまうだろう」

​黒鬼の言葉に、俺は背筋が凍るような思いだった。

​「…じゃあ、どうすれば…!」

​俺がそう叫ぶと、黒鬼は、静かに答えた。

​「…『存在の肯定』。この子の存在を、この目で確かめて、心から認めること。それだけが、この子の呪いを解く唯一の方法だ」

​黒鬼の言葉に、俺は、ハッとした。

​「…そうか!配信を通して、人々にこの子の存在を伝えて、存在を認めてもらえば…!」

​俺は、そう閃き、スマホを取り出し、配信を始めた。

​「みんな、見てくれ!この子は、座敷童子だ!この子の存在を、みんなの心で、認めてやってくれ!」

​俺は、そう叫び、座敷童子を映し出した。

​すると、画面の向こうの視聴者たちは、俺の言葉を信じ、座敷童子の存在を、認めてくれた。

​「…ありがとう…!」

​座敷童子は、そう言って、涙を流し、その体から、黒い邪気が完全に消え去った。

​俺は、座敷童子の呪いを解くことに成功した。しかし、俺の物語は、まだ終わっていない。


​新たな仲間、黒鬼

​俺の配信のおかげで、座敷童子の呪いは完全に解けた。

​「…ありがとう…!」

​座敷童子は、そう言って、涙を流しながら、俺に深々と頭を下げた。

​「いや、俺は何も。みんなの心が、お前を救ったんだ」

​俺は、そう言って、座敷童子の頭を撫でた。

​その様子を、静かに見ていたのは、黒鬼だった。

​「…見事だ、安倍アキラ」

​黒鬼は、そう言って、俺にゆっくりと近づいてきた。

​「…君の力は、人々の心の光を借りて、邪気を浄化する力。それは、酒呑童子と、対極をなす力だ」

​黒鬼の言葉に、俺は眉をひそめた。

​「…それで、あんたは、どうするんだ?俺と酒呑童子の戦いを、ただ見ているだけか?」

​俺がそう尋ねると、黒鬼は、フッと笑った。

​「…いや。私も、君の『物語』に、加わらせてもらおう」

​黒鬼の言葉に、俺は驚愕した。

​「…どういうことだよ?」

​俺がそう尋ねると、黒鬼は、静かに語り始めた。

​「私は、この京都の地を守る、黒鬼。そして、酒呑童子の力が、この京都にまで及んでいることを、私は、深く憂いている」

​黒鬼は、そう言って、俺の目を見て言った。

​「君は、私が見てきた人間の中で、最も希望に満ちた男だ。君の力は、酒呑童子を打ち破る、唯一の光になるだろう」

​黒鬼の言葉に、俺は、少しだけ照れくさくなった。

​「…そんな、大袈裟な…」

​「…大袈裟ではない。君は、自分の力を過小評価しすぎだ」

​黒鬼は、そう言って、俺の肩に、そっと手を置いた。

​「…どうだ?私と、契約しないか?」

​黒鬼の言葉に、俺は、迷うことなく頷いた。

​「ああ。俺は、探偵兼陰陽師だ。そして、俺の仕事は、人を助けること。お前も、俺が助けてやる」

​俺は、そう言って、黒鬼と、硬い握手を交わした。

​その瞬間、俺の全身に、強大な力が、漲っていくのを感じた。

​「…ご主人様…!」

​黒鬼の声が、俺の頭の中に響く。

​こうして、俺は、新たな仲間、黒鬼と共に、酒呑童子の『物語』を阻止するため、再び立ち上がるのだった。

​俺の物語は、ここから、さらに激しく、面白くなっていく。


男のロマン、温泉の壁

​修学旅行最終日、京都での一件を終えた俺たちは、旅館の温泉に浸かることになっていた。昼間の観光で疲れた体には、最高の癒しだ。

​脱衣所に着き、服を脱ぎながら俺はニヤリと笑った。

​「…さて、お前たちの出番だぜ」

​俺は、そう心の中で呟き、赤鬼くん、青鬼くん、緑鬼くん、白鬼くん、黒鬼くんを呼び出した。

​「へいへい!ご主人様!何かあったんすか!?」

​「緊急事態ですか!?」

​「ご主人様のために、頑張ります!」

​「何でもお任せください!」

​「いざ、参る!」

​5匹の鬼たちは、威勢よく俺の前に現れた。

​「…いや、緊急事態っちゃ緊急事態なんだけどよ」

​俺は、そう言って、ニヤニヤしながら、彼らに、ある緊急指令を出した。

​「今から、お前たちには、男のロマンを叶えてもらう!…女性浴槽、覗きプロジェクトだ!」

​俺の言葉に、5匹の鬼たちは、一瞬、呆然とした。

​「へ、へいへい!ご主人様、本気っすか!?」

​「不審者として、捕まるんじゃ…!?」

​「ご主人様、それは…!」

​「承知…仕りました…」

​「…くだらん」

​5匹の鬼たちは、それぞれの反応を示した。特に、真面目な黒鬼は、呆れたような表情を浮かべていた。

​「いいか、これは、男のロマンだ!このチャンスを逃すわけにはいかねぇ!」

​俺は、そう言って、5匹の鬼たちに、熱く語りかけた。

​「…だが、一つだけ、ルールがある!」

​俺がそう言うと、鬼たちは、俺をじっと見つめた。

​「絶対に、千恵を覗くんじゃねぇぞ!あれは、俺のモンだからな!」

​俺は、そう言って、ニヤリと笑った。

​「…は、へいへい!承知しました!」

​「承知仕りました!」

​「任せてください!」

​「ご主人様、大丈夫ですか!?」

​「…フン」

​鬼たちは、再びそれぞれの反応を示しながら、俺の指示に従い、女性浴槽へと向かっていった。

​俺は、鬼たちの健闘を祈りながら、男湯の入り口に立った。

​「…くっ、俺も行きてぇ…!」

​俺は、そう心の中で叫びながら、温泉へと入っていった。

​男のロマン、温泉の壁は、高く、そして、分厚かった。


終わらない男のロマン

​俺は、温泉に浸かりながら、鬼たちの健闘を祈っていた。

​「…頼むぜ、みんな…!」

​俺は、そう心の中で呟いた。

​その時、温泉の湯気が、一気に冷たくなったのを感じた。

​「…ん?」

​俺は、顔を上げ、周囲を見渡した。すると、俺の周りに、誰かの気配がする。

​「…アキラ、まさか、また馬鹿なことを…」

​その声に、俺は思わずゾッとした。それは、千恵の声だった。

​俺は、慌てて湯船から飛び出し、千恵を探した。すると、脱衣所の入り口から、千恵が、怒ったような、呆れたような顔で、俺をじっと見つめていた。

​「…ち、ちーちゃん!?」

​俺がそう叫ぶと、千恵は、ゆっくりと俺に近づいてきた。

​「…アキラ、あんた、また何してるの?」

​千恵の声は、どこか冷たかった。俺は、何も言えなかった。

​その時、俺の頭の中に、5匹の鬼たちの声が響き渡った。

​「ご、ご主人様!バレたっす!千恵様に、見つかったっす!」

​「承知仕りました!これは、撤退です!」

​「ご主人様、すいやせん…!」

​「ご主人様、俺、もう無理っす!」

​「…フン、だから言っただろう」

​5匹の鬼たちは、そう言って、慌てて俺の元へと戻ってきた。

​千恵は、そんな鬼たちの姿を見て、さらに呆れたような顔をした。

​「…アキラ、本当に、どうしようもないんだから…」

​千恵は、そう言って、大きなため息をついた。

​俺は、千恵に、ただ、頭を下げるしかなかった。

​「…ごめん、ちーちゃん」

​千恵は、俺の謝罪を聞くと、フッと笑った。

​「…もういいわ。…でも、アキラ、あんたのそういうところ、嫌いじゃないよ」

​千恵の言葉に、俺は、少しだけ、嬉しくなった。

​「…よし!こうなったら、俺も、男のロマンを追求するぜ!」

​俺は、そう言って、再び湯船に飛び込み、千恵に、熱く語りかけた。

​「…ちーちゃん!俺の探偵助手、やってくれないか!?」

​千恵は、俺の言葉に、一瞬、呆然とした。

​そして、俺は、千恵の返事を待つことなく、男湯の湯船に、深く、深く、沈んでいった。

​俺の物語は、ここから、さらに複雑になっていく。


わたしは、温泉に入り、今日の出来事を思い出していた。

​アキラは、また突拍子もないことを始めた。修学旅行で京都に来たかと思えば、妖怪退治の様子を配信し始めるなんて。

​「…本当に、どうしようもないんだから…」

​わたしは、そう呟きながら、ため息をついた。

​そんなわたしの元に、アキラが、変なポーズで現れた。

​「…な、何よ、アキラ!」

​わたしがそう叫ぶと、アキラは、ニヤニヤしながら、わたしに近づいてきた。

​「…ちーちゃん、見ろよ!俺、男のロマンを叶えるために、鬼たちに、緊急指令を出したんだ!」

​アキラは、そう言って、得意げに胸を張ってみせた。

​わたしは、アキラの言葉に、呆れと、そして、怒りを覚えた。

​「…馬鹿!馬鹿!馬鹿!」

​わたしは、そう叫び、アキラの胸ぐらを掴んだ。

​「あんた、わたしをこんな危ないことに巻き込む気!?こんなことして、捕まったらどうするのよ!」

​わたしの言葉に、アキラは、何も言えなかった。ただ、申し訳なさそうに、頭を下げるだけだった。

​「…ごめん、ちーちゃん」

​アキラの謝罪に、わたしは、胸が締め付けられるような思いだった。

​アキラは、いつだって、そう。わたしを、危険なことから遠ざけようとしてくれる。でも、いつも、わたしを、巻き込んでしまう。

​わたしは、アキラの胸ぐらを掴んでいた手を放し、静かに言った。

​「…もういいわ。…でも、アキラ、あんたのそういうところ、嫌いじゃないよ」

​わたしの言葉に、アキラは、少しだけ、嬉しそうな顔をした。

​「…よし!こうなったら、俺も、男のロマンを追求するぜ!」

​アキラは、そう言って、再び湯船に飛び込んだ。

​わたしは、そんなアキラの姿を見て、また、大きなため息をついた。

​「…本当に、どうしようもないんだから…」

​でも、わたしは知っている。アキラは、わたしが思っているよりも、ずっと、強くて、優しいって。

​わたしは、アキラの『物語』に、わたしも関わっていることを、改めて、自覚した。

​そして、わたしは、アキラの『物語』の結末を、見届けるために、わたし自身の物語を、始めなければならない。

​わたしは、湯船に浸かりながら、夜空を見上げた。

​わたしの心は、アキラへの愛と、そして、アキラを巡る、とんでもない物語への不安で、ぐちゃぐちゃになっていた。


終わらない夜___

​修学旅行から帰り、俺の日常は、さらに騒がしくなった。

​蘆屋美奈とのライバル関係は、配信界隈で大きな話題となり、俺の配信の視聴者数は、さらに増えた。美奈も、俺に負けじと、色々な妖怪を退治する様子を配信している。

​「…まったく、あの関西弁のチビ、うるせぇんだよな…」

​俺は、そう心の中で呟きながら、美奈の配信を見ていた。

​俺の物語は、酒呑童子という大妖との戦いだけじゃない。俺は、探偵として、陰陽師として、そして、一人の人間として、色々な人や妖怪と関わり、成長していく。

​そんな俺に、新たな依頼が舞い込んできた。

​依頼主は、高橋峰子先生だった。

​先生の依頼、そして…

​「安倍くん、お願い。また、生徒が…」

​高橋先生の声は、震えていた。俺は、すぐに学校へと向かった。

​高橋先生が言うには、最近、学校の美術室で、奇妙なことが起きているらしい。

​美術室で、生徒たちが描いた絵が、夜になると、勝手に歪んでいく。まるで、絵の中に、誰かの怨念がこもっているかのように。

​「…また、酒呑童子の仕業か…?」

​俺は、そう思いながら、美術室へと向かった。

​美術室に入ると、そこは、不気味な雰囲気に包まれていた。生徒たちが描いた絵は、どれも、歪んで、おどろおどろしい姿に変わっていた。

​「…これは、邪気だ。かなり強い邪気だ…」

​俺は、そう呟き、リュックから護符を取り出した。

​「どうしたの、アキラくん?」

​その声に、俺は振り返った。そこにいたのは、俺が倒したはずの、鈴村健一だった。

​「…鈴村…!なんで、お前が…!」

​俺は、思わず叫んだ。前鬼と後鬼の力で、確実に消滅したはずだ。

​「…ふふふ、久しぶりだな、安倍アキラ」

​鈴村は、そう言って、にやりと笑った。

​「…どうして、お前がここに…!」

​俺がそう叫ぶと、鈴村は、楽しそうに笑った。

​「…君の『物語』に、飽きちゃったんだよ。だから、新しい『物語』を、始めたんだ」

​鈴村は、そう言って、俺に近づいてきた。

​「…俺の物語?どういうことだよ…!」

​俺がそう叫ぶと、鈴村は、静かに語り始めた。

​「…俺は、君が俺を倒したという因果によって、蘇った。だから、俺は、君を殺すことはできない。でも、君の物語を、俺の物語で、塗り替えることはできる」

​鈴村の言葉に、俺は息をのんだ。

​「…お前、まさか…」

​「そうさ。この絵に込められた怨念。そして、美術室にいる、この妖。すべて、俺が、この学校の生徒たちの心の闇を糧に、作り上げた物語だ」

​鈴村は、そう言って、俺に、手をかざした。

​「ぐっ…!」

​俺は、全身に激しい痛みが走り、その場に倒れ込んだ。

​「…さあ、安倍アキラ。この物語の結末は、俺が決める」

​鈴村は、そう言って、俺の意識が遠のいていくのを見て、満足そうに笑った。

​俺は、意識を失う寸前、鈴村の言葉が、俺の頭の中に深く刻まれていくのを感じた。

​俺の物語は、ここから、さらに複雑になっていく。

終わらない期末テスト

​「うっ…!」

​俺は、鈍い頭痛と共に目を覚ました。全身が軋み、激しい痛みが走る。どうやら、美術室で気を失っていたらしい。

​「…くそっ、またやられた…」

​俺は、なんとか体を起こし、周囲を見渡した。美術室は、相変わらず不気味な雰囲気に包まれている。だが、鈴村の姿は、どこにもなかった。

​「…鈴村の野郎、どこに行きやがった…!」

​俺は、怒りを胸に、美術室を出た。

​翌日、俺は学校に行った。すると、クラス中がざわついているのを感じた。みんな、どこかおかしい。

​「…おい、アキラ。知ってるか?俺、今回の期末テスト、満点だったんだぜ!」

​陽キャの壱馬が、そう言って、俺にテストの答案用紙を見せてきた。俺が、その答案用紙を見ると、そこには、真っ赤な文字で、「100点」と書かれていた。

​「…うそだろ、壱馬…」

​壱馬は、俺が知る限り、勉強は苦手だったはずだ。

​「…うそじゃねぇよ!俺、一夜漬けで、全部頭に入ったんだぜ!」

​壱馬は、そう言って、得意げに笑った。しかし、その瞳には、どこか不自然な光が宿っていた。

​俺は、すぐに、これが鈴村の呪いだと気づいた。

​「…鈴村の野郎、生徒たちを操り始めたのか…!」

​俺は、そう心の中で叫んだ。

​そして、その日の期末テストが始まった。

​俺は、問題用紙を渡され、愕然とした。

​問題用紙には、見たこともない、複雑な呪文が書かれていた。

​「…なんだ、これ…?」

​俺は、頭を抱えた。

​すると、俺の隣に座っている、オタクの涼太が、俺の答案用紙を覗き込み、ニヤリと笑った。

​「…安倍くん、これは、業鬼の呪文だよ。君には、解けないんじゃないか?」

​涼太の言葉に、俺は息をのんだ。

​「…お前、まさか…!」

​俺がそう言うと、涼太は、フッと笑った。

​「…残念だったね。俺は、君の物語を、俺の物語で、塗り替える」

​俺は、涼太の瞳の奥に、鈴村と同じ、邪悪な光が宿っているのを見た。

​「…鈴村、お前、こんなところまで…!」

​俺は、そう叫び、席を立ち上がろうとした。

​しかし、その瞬間、俺の全身に、激しい痛みが走った。鈴村がかけた呪いが、俺を襲ったのだ。

​「ぐっ…!」

​俺は、その場に倒れ込むしかなかった。

​「…さあ、安倍アキラ。この物語の結末は、俺が決める」

​涼太は、そう言って、俺の意識が遠のいていくのを見て、満足そうに笑った。

​俺の物語は、ここから、さらに複雑になっていく。


​絶望的な期末テスト

​「うおおおおおおおおおおおおおっ!」

​俺は、5匹の鬼の力を同時に纏わせることに成功し、その圧倒的な力に興奮を抑えきれなかった。だが、俺は、その力を攻撃に使うことはしなかった。俺の目的は、この呪いの正体を探ることだ。

​「おい、みんな!力を貸してくれ!この学校に蔓延する呪いの正体を、探るぞ!」

​俺がそう叫ぶと、5匹の鬼は、俺の体から放たれる力を、学校中に放ち始めた。

​赤鬼の力で、この呪いの根源を、青鬼の力で、呪いに蝕まれた魂を、緑鬼の力で、呪いの繋がりを、白鬼の力で、呪いの悲しみを、そして、黒鬼の力で、呪いの憎しみを、探り始めた。

​「…見えたぞ…!」

​俺は、目を閉じ、五匹の鬼の力が、学校中を駆け巡るのを感じた。

​生徒たちの心の闇、教師たちの苦悩、そして、この学校に潜む、ある怨念。

​「…そうか…!」

​俺は、そう確信し、目を開けた。

​俺の目の前には、涼太に憑依した鈴村が、不気味な笑みを浮かべていた。

​「…ふふふ、見つけたか、安倍アキラ。だが、もう遅い」

​鈴村は、そう言って、俺に呪いをかけようとした。しかし、その時、俺の全身から、力が抜けていくのを感じた。

​「…くそっ…!」

​5匹の鬼の力を同時に纏わせることは、俺の体にとって、あまりにも大きな負担だったようだ。

​俺は、その場に倒れ込み、鈴村に、ただ、見つめられるしかなかった。

​「…残念だったな。君は、真実を知った。だが、その真実を、誰にも話すことはできない」

​鈴村は、そう言って、俺の意識が遠のいていくのを見て、満足そうに笑った。

​俺の物語は、ここから、さらに複雑になっていく。


​承知しました。それでは、アキラが業鬼の解呪を決意し、邪気を払う物語を執筆します。

​解呪への決意

​期末テストの答案用紙に書かれた、不気味な呪文。それは、鈴村に憑依された涼太が、俺に見せた、業鬼の呪文だった。俺は、その呪文に、強烈な邪気を感じた。

​「…くそっ、こんなところで、終わるわけにはいかねぇ…!」

​俺は、そう心の中で叫び、必死に体を動かそうとした。しかし、全身に激しい痛みが走り、俺は、その場に倒れ込むしかなかった。

​「…さあ、安倍アキラ。この物語の結末は、俺が決める」

​鈴村は、そう言って、俺の意識が遠のいていくのを見て、満足そうに笑った。

​俺は、意識を失う寸前、鈴村の言葉が、俺の頭の中に深く刻まれていくのを感じた。

​「…くそっ…!」

​俺は、鈍い頭痛と共に目を覚ました。全身が軋み、激しい痛みが走る。どうやら、美術室で気を失っていたらしい。

​「…鈴村の野郎、どこに行きやがった…!」

​俺は、怒りを胸に、美術室を出た。

​翌日、俺は学校に行った。すると、クラス中がざわついているのを感じた。みんな、どこかおかしい。

​「…おい、アキラ。知ってるか?俺、今回の期末テスト、満点だったんだぜ!」

​陽キャの壱馬が、そう言って、俺にテストの答案用紙を見せてきた。俺が、その答案用紙を見ると、そこには、真っ赤な文字で、「100点」と書かれていた。

​「…うそだろ、壱馬…」

​壱馬は、俺が知る限り、勉強は苦手だったはずだ。

​「…うそじゃねぇよ!俺、一夜漬けで、全部頭に入ったんだぜ!」

​壱馬は、そう言って、得意げに笑った。しかし、その瞳には、どこか不自然な光が宿っていた。

​俺は、すぐに、これが鈴村の呪いだと気づいた。

​「…鈴村の野郎、生徒たちを操り始めたのか…!」

​俺は、そう心の中で叫んだ。

​そして、その日の期末テストが始まった。

​俺は、問題用紙を渡され、愕然とした。

​問題用紙には、見たこともない、複雑な呪文が書かれていた。

​「…なんだ、これ…?」

​俺は、頭を抱えた。

​すると、俺の隣に座っている、オタクの涼太が、俺の答案用紙を覗き込み、ニヤリと笑った。

​「…安倍くん、これは、業鬼の呪文だよ。君には、解けないんじゃないか?」

​涼太の言葉に、俺は息をのんだ。

​「…お前、まさか…!」

​俺がそう言うと、涼太は、フッと笑った。

​「…残念だったね。俺は、君の物語を、俺の物語で、塗り替える」

​俺は、涼太の瞳の奥に、鈴村と同じ、邪悪な光が宿っているのを見た。

​「…鈴村、お前、こんなところまで…!」

​俺は、そう叫び、席を立ち上がろうとした。

​しかし、その瞬間、俺の全身に、激しい痛みが走った。鈴村がかけた呪いが、俺を襲ったのだ。

​「ぐっ…!」

​俺は、その場に倒れ込むしかなかった。

​「…さあ、安倍アキラ。この物語の結末は、俺が決める」

​涼太は、そう言って、俺の意識が遠のいていくのを見て、満足そうに笑った。

​俺の物語は、ここから、さらに複雑になっていく。


​終わらない悪夢

​俺は、再び意識を取り戻した。目の前に広がるのは、見慣れた教室。そして、机の上には、またしても期末テストの問題用紙が置かれていた。

​「…うそだろ…」

​俺は、頭を抱えた。

​また、同じだ。また、同じ光景が繰り返されている。

​俺が、5匹の鬼の力を借りて呪いの正体を探り、鈴村の呪いにかかって意識を失う。そして、また、この教室で目を覚ます。

​まるで、繰り返される悪夢だ。

​「…おい、アキラ。知ってるか?俺、今回の期末テスト、満点だったんだぜ!」

​隣の席の壱馬が、そう言って、俺にテストの答案用紙を見せてきた。俺は、その答案用紙を見て、絶望した。

​また、同じだ。すべて、同じだ。

​俺は、鈴村の呪いによって、終わらない期末テストの中に閉じ込められていた。

​「…くそっ、鈴村の野郎…!」

​俺は、そう心の中で叫び、必死にこの悪夢から抜け出そうとした。だが、何度試しても、俺は、この期末テストから抜け出すことができない。

​俺は、頭を抱え、絶望していた。

​このままでは、俺は、永遠に、この悪夢から抜け出せない。

​そして、俺は、この期末テストの中で、酒呑童子と、鈴村の『物語』の結末を、見届けることになる。

​俺の物語は、ここから、さらに複雑になっていく。


​承知しました。それでは、アキラが蘆屋美奈とコンタクトを取る物語を執筆します。

​ライバルへのSOS

​俺は、終わらない期末テストという悪夢の中で、頭を抱えていた。何度試しても、この呪いから抜け出すことができない。このままでは、俺は、永遠にこの悪夢の中に閉じ込められてしまう。

​「…くそっ、どうすりゃいいんだ…!」

​俺は、そう心の中で叫び、必死にこの悪夢から抜け出そうとした。だが、何度試しても、俺は、この期末テストから抜け出すことができない。

​俺は、頭を抱え、絶望していた。

​その時、俺は、あることを思いついた。

​この呪いは、俺一人では、どうすることもできない。ならば、誰かに助けを求めるしかない。

​そして、俺の脳裏に浮かんだのは、ただ一人、蘆屋美奈だった。

​「…あの関西弁のチビ、今頃、何してんだろな…」

​俺は、そう心の中で呟き、スマホを取り出し、美奈に電話をかけた。

​電話は、すぐに繋がった。

​「…もしもし、あんた、安倍アキラやろ?うち、今、配信中やねん。なんの用や?」

​電話の向こうから聞こえてきたのは、元気な関西弁だった。

​「…美奈、助けてくれ…!」

​俺がそう叫ぶと、美奈は、一瞬、黙った。

​「…はぁ?なんや、あんた、また変なことしとるんか?」

​美奈の声は、どこか呆れていた。

​「…違うんだ!俺、鈴村っていう妖怪の呪いにかかって、終わらない期末テストの中に閉じ込められてるんだ!」

​俺は、そう言って、必死に美奈に説明した。

​「…鈴村やて?…まさか、あの業鬼に憑依された、鈴村か!?」

​美奈の声は、驚きと、そして、どこか焦りを帯びていた。

​「…ああ。そうだ!あいつは、この学校の生徒たちを、自分の物語で塗り替えようとしてるんだ!このままじゃ、みんな、悪夢に閉じ込められてしまう!」

​俺の言葉に、美奈は、静かに言った。

​「…あんた、そんなことになってたのか…」

​美奈は、そう言って、電話の向こうで、何かを呟いた。

​そして、美奈は、俺に、こう言った。

​「…わかった。あんたの頼み、聞いてやるわ。…でも、一つだけ、条件がある」

​美奈の言葉に、俺は息をのんだ。

​「…なんだよ?」

​俺がそう尋ねると、美奈は、ニヤリと笑った。

​「…今回の手柄は、うちのモンや。あんたは、うちの探偵助手として、働いてもらうで?」

​美奈は、そう言い放つと、一方的に電話を切った。

​俺は、電話を手に呆然と立ち尽くした。

​「…くそっ、あの関西弁のチビ、相変わらず、食えない奴だ…」

​俺は、そう心の中で呟いた。

​俺の物語は、ここから、さらに複雑になっていく。

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