第8話『愛し君へ』
「はぁはぁ…ったく、なんだよあれ…!」
下級魔法が推定上級魔法レベルの威力を持っているのは反則だろ!
というかそもそもなんでばれた?あの竜人は白炎に任せてたはずだ、じゃあ…。
…いや、『世界線』で見た最悪の未来だと…。
「兄さん」
ビクッ!
「白…炎…」
「ごめんなさい兄さん…あの竜人強くて…」
「いいんだ…」
ちょっとまて。
いや、なんだ…この違和感…。
何かが、何か嫌な…予感が…。
「え!許してくれるんだー、じゃあ…」
と白炎が言うとその後ろから次元ホールが開き、その中から何倍にもでかくなったアサルトライフルの銃口が出てきた。
「は…、白炎…?なにして…」
「兄さん、死んでくれ」
俺が超能力『世界線』見た最悪の未来…それは、白炎が裏切る未来。
くそっ!ここでこの未来を引くのは運が悪すぎる!
「ガード!」
咄嗟にポッケに忍ばせておいた魔道具を使用し銃の雨を凌いだ。
よし、これで…。
「兄さんの、銃弾が止んだらガードを解除するその無防備さ…昔から変わってないね」
は…いつの間に、後ろに…。
「齊藤影吾郎流・抜刀術…」
「白炎…!お前っ…!」
「『乱れ桜』」
その瞬間に俺の意識は途切れた。
◈◈◈◈◈
「…」
俺は慕っていた兄をこの手で殺した。
その行いに悔いは無い、だけど…。
「人を斬るのは…いつの時も辛い、か」
斎藤影吾郎…師匠がいつも俺に言っていた言葉の意味、それは前から分かっていたつもりだった。
「はぁ…」
でも、兄さんは「あの男」に操られて…少し前から人の、人としての理性を捨てていた。
本来の兄さんは同業者や仲間をしくったからと言って簡単に殺さない。
仲間を囮にも使わない、というかいつも兄さんが囮になっていた。
「ほっんとに…なんで、兄さんは…」
あの男…恋作に…っ!
「許さない…」
そう己に言い聞かせた後、兄さんの耳から耳飾りを取り、自分の耳につけた。
そして自分のポッケに入れていたもう一つの耳飾りをもう片耳につけ、アルが暴走したであろう場所へ移動する。
「やっぱり暴走したか…」
そこには寝ているアルがうつ伏せで倒れていたので背負い、アルの仲間の所へ向かう。
「…さよなら、兄さん」
◈◈◈◈◈
「あの…ご主人様…、アル様帰って…きませんね…」
「…うん」
アル…いつ帰ってくるんだろ。
私たちを守るために戦ってくれてるのはわかるんだけど、それにしても遅いなぁ…。
でもきっと、私も強かったら…こうはならなかったんだろうな…。
私は弱い。
アルみたいに強くないし、メイみたいに超能力を、使える訳でもない。
私には何もない。
「魔法が、使えたら…な」
「ご主人様…?」
「あ、ごめん。考えごとしてた」
「あ!ごめんなさい…なにかブツブツ言ってたので、わたしなんかやってしまった…のかな、なんて…へへ」
「ん…、メイは悪くないよ。私が弱いのが、いけないんだ…」
メイとそんな会話をしていると工業地区の方角から白い髪の青年がアルを背負ってこちらに歩いているのが見えた。
「敵っ…!?」
「違う違う!この少年が倒れてるのが見えたから!病院に連れていこうかなーなんて」
「あ…わたしの仲間…ですので、馬車の中に寝かせてくれ…ると嬉しい…ですね…へへへ」
「うん、じゃあそうしよう」
と白髪の青年が馬車にアルを寝かせた後、私の近くまでやってきて顔をまじまじと見たあと、
「ボクを護衛として雇ってくれないかな?」
「はい?」
「あ!金はいらないよ」
「それが一番怪しいんですが?」
「…そうだね、じゃあこれを君に渡しておこう」
と白髪の青年がコートのポッケからボタンのようなものを取り出す。
「これは…?」
「ボクを殺すことのできるボタン」
…????
「ボクが君から見て、信用できないと値したらそれを押すといい」
えぇ…でも、命をこちらに預けてまで何を考えているんだろう、この人。
まぁ…ここまでされたら、ねぇ…。
「うん、わかった。後でアルには話を通すけどそれでも良ければ」
「うん、じゃあ契約成立…だね。マスター」
「マス…?まぁいいや、よろしくね…えっと」
「白炎でいいよ」
「白炎」
なんやかんやで仲間(護衛)が増えました。
そして私たちはアルが起きたあと、このままカザエラムにいるのは危険と判断しどこに行くか話し合った結果、次の目的地を決めた。
そして星歴10017年7月17日午後16時39分、カザエラム出発——。
向かうは港町『コハト』、『魔法国家』・東の大陸へ——。
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