PrequelーIIIー『私は、私達は』
第9話『鉱山の町』
星歴10017年7月19日午前11時07分、東べリス高原一番公道。
「暑いぃ…ここままだと…はぁへぇ…死んじゃいますぅ…」
「確かに…。今日は高原を通っているからなのか、ろくに木の影に入ることもできないし…」
私たち、月下竜団はカザエラムを出発した後、港町「コハト」で東の大陸行きの船に乗るために次の町へ向かっていた。
「あ、そうだ!メイ、『重力操作』でこの馬車浮かせられない?」
「無理ですよぉ…制約としてわたし2人分以上の重さのものは浮かせられないんです…」
超能力は万能じゃないのか…、と疑問を浮かべていると馬車の上で見張りを担当していた白炎が話を聞いていたのか窓から顔を出し、解説を始めた。
「超能力は人の性格や本能と言ったものを『能力』として発現させることがある」
なるほど、と私が思うと白炎は続けて
「まぁ例外としてメイは『重力操作』…。そして伯爵家の性を持つ人間。性格ではなく十中八九クロスフォード伯爵家の遺伝だろうがな」
と言うので少し頭がこんがらがった。
「えっと…性格と本能が超能力で、でもメイは伯爵家の遺伝…?」
「クロスフォード伯爵家の祖先が『重力操作』の超能力持ちだったんだろう。まぁ遺伝する系はごく稀だからそうだったってだけだ」
「ほへぇ…」
「絶対分かってないなこれ」
「いやだって小難しいのわかんないよ…。スラム街育ちだから学もないし…」
と私が呟くとメイが不思議そうな顔をした。
「…?どうしたの、メイ?」
「あ!いえ、何でもないです…」
私は何か違和感を感じながらも、メイにそれ以上聞くのをやめた。
◈◈◈◈◈
星歴10017年7月20日午後17時32分、メルタ渓谷。
この日はいつにも増して雨が強かった。
「ひぇぇ!この道でこぼこしてて酔いそうですぅ!」
「それに雨も強くなってきたし…まだ町に着かないの?」
「そろそろ見えてくると思うんだが…おかしいな」
とそこで白炎が何かに気づき、馬車を動かしていたアルに「止まれ」と言った。
「なんだ?敵襲?」
「いや…この先は塞がっている」
嘘だろ、とアルが小さく呟いた後、馬車を止める。
「…引き返すか?」
アルが白炎にそう問いかける。
「いや、この近くにちょっとした岩穴があるはずだ。そこに向かおう」
「…そうだな」
この後私たちは荷物をまとめ、馬車を降りようとした時…それは起こった。
「なんだ?」
上から崩れた岩のようなものが落ちてきた。
「くそっ!」
とアルが私を、白炎がメイを庇うように立ち岩を破壊しようとしたが次々と降ってきており、私たちは岩の下敷きになった。
◈◈◈◈◈
暗く、冷たい…。
あぁ…息が、できない…。
足も、手も感覚がない…。
さよなら…。
◈◈◈◈◈
「はぁはぁ…はぁ…」
目が覚めるとそこはどこかの部屋だった。
「アル…メイ、白炎…は?」
と私が動こうとすると右肩と左足に激痛が走った。
「いたっ…」
でも一応動かせるようなので近くにあった動く棒のようなものを支えに部屋をでる。
「ここ…は?」
病院、というものだろうか。
白い服をきた人たちがあっちこっち忙しそうにしていた。
しばらくその光景を見ていると後ろから
「あ、ご主人様…!無事だったんですね!」
と聞きなれた声が聞こえたので後ろを振り向く。
「メイ…ッ!」
とメイと再開をした後、いまどこにいるのか…すぐ出発はできるのかを聞いた。
「ここは鉱山の町『メルタタウン』ですのであそこからは距離は離れていませんが…馬車は落岩で破壊されて馬も…」
「…」
「一応所持金などが入った荷物などは無事を確認できたのですが、どうやら出発はできそうにないですね…」
どうやらメイによると落岩をどかそうにもこの町の領主が承諾しないと無理らしく、その領主が拒否し続けているらしいのだ。
「うーん…」
コハトに行くことのできる道はもうひとついるのだが今から引き返しても1ヶ月はかかるらしくその上道中に町などはないので途中で食料調達もできないかなりのハードコースらしいのだ。
「そういえばアルと白炎は?」
「あ、その2人ならついさっき領主さんの所に殴り込み?に行きましたよ」
あ、これ止めないとやばいやつだ。
「メイ!あの二人を止めに行くよ!」
「えっ?あっはいっ!?」
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