第5話

「さっきのハナシですが、」と、

青のしもべ、青の騎士の青山怜士が首を振りながら喋りだした。

「文学に限らす、あらゆる人間の営みは全て人類全体の幸福度を少しずつでも高めていくためにあるべきだと、ありきたりですがまず大前提があるべきと思うんだが🤔」

「うん、まあ、エゴイズムの超克だな、神の見えざる手、なんて発想はオレもどうも胡散臭い」

「幻想的な文学でもね、オレは自閉症が一種の自己防衛という意味で、反社会であってもアンチヒューマンとは思わん」

「そう。文学が坑内カナリヤの待避壕の役割を果たせばいい」

「脳みその中の壺中天、これほどヒューマンな発想はない」

「レノンはね、ドラッグとうまくやっていけないやつが現実に敗北するんだ、なんて言ってたらしい」

「まあ、レット・イット・ビーとか、仏教的よね、行雲流水が旅のお坊さん、月日は百代の過客」

「ヨガやら仏教やら結局は自我の毒や悪徳を殺すための瞑想にとどめを刺すわけやから」

「食欲、性欲、睡眠欲、自我欲…相対化が難しいし、悪いとは思いにくい」

「結局アタシはね、脳みその未来的な開発?そういう科学の総合的な融合?そういう発想?柔軟なビジョンが幻視できるような、そういう要素が根本にあれば信用できるな。古くて蒙昧でも、完全に乾涸びているみたいなアナクロで無ければ」

「…」

「…」


また、ホメオスタシスをキープしているだけの空調音が前景化する。

悪魔と天使がたっぷり見せ場を作りながら通り過ぎる…


「続く」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

掌編・『文学青年』 夢美瑠瑠 @joeyasushi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ