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地面に下ろされたうんこは、
「てめえ、いきなり何すんだよ。この老いぼれが!shine 」と猫をかぶることを忘れ、悪態をつきました。
おじいさんは、日本人特有のスルースキルをかまし、
「見ろ、ダイベンベンじゃ……」と力なく呟きました。
そこにはダイベンベンによく似た色の土が、小さな山をつくって佇んでいました。
うんこはまだむしゃくしゃしていたので、「視力までイカれてんのかゴミ」と、
否定したかったのですが、それができませんでした。
なぜだか分からないけど、この土がダイベンベンだと悟ってしまったからです。
「ダイベンベン……」
うんこも変わり果てた姿のダイベンベンに、小さく呟くことしかできませんでした。
そしてこれまでのダイベンベンとの思い出が、頭の中を駆け巡りました。
汚物としてこの世に自我を持って生まれ、時に蔑まれ。
喧嘩ばかりでしたが、思い返せば、まともに会話をしてくれるのはダイベンベンだけでした。
おじいさんも話してくれますが、不当な値段で野菜が売れればいいと思っているゲスなので、信用なりません。
ある意味気兼ねなく話せるのは、唯一ダイベンベンだけだったのです。
うんこは泣きました。まるで自分が小便だと錯覚するほどに、涙が止まりません。
……それからどのくらい時間が経ったのでしょう。
しばらくして、うんこは土と化したダイベンベンに、大根の種を蒔きました。
やがてその種は成長し、まるで一本グソのように白くて太く、
立派な大根となりました。ダイベンベンの養分が入った大根です。
そうして、これを誰かが食べて、血肉になって。
ダイベンベンは形を変え、今日もどこかで生きているのです。
めでたし。めでたし。おしっこまい。
人類が眠くなるための、つまらないお話。 たきのはら @takinohara__39
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