第5話 炎と光の融合
火口の縁。紫黒の光が空を覆い、太陽はどす黒く変色した。
天照大神の顔は、もはや神ではなく、悪意に満ちた妖怪オタフクそのもの。
三大妖怪は制御を失い、山を蹴散らし、炎と破壊の嵐を巻き起こす。
蓮は炎龍の背にしがみつき、フェニックスが翼を広げるのを見つめた。
その瞳は、光と闇の狭間で迷う彼に語りかける。
「信じる心が力となる。天御祖神と一体になれ、祈れ!」
蓮は目を閉じ、心の奥で天御祖神と呼応した。
彼の体に流れる熱、鼓動する光、空気を震わせる声——
すべてが融合して、一つの祈りの波となった。
フェニックスは光の羽を大きく広げ、炎龍の体を包み込む。
尾が交差し、翼が絡み合い、火口の熱気が渦となる。
炎龍の咆哮とフェニックスの鳴き声が同調し、ついに二つの聖獣が一体に戻った。
その姿は壮麗で、翼は黄金と赤、鱗は漆黒と金色が混ざり合い、まさにフェニックスドラゴン。
火口の熱風も、紫黒の太陽光も、その前では静まり返った。
「天照大神よ……我らの力を侮るな」
フェニックスドラゴンが声を轟かせると、三大妖怪が振り向き、圧倒されて後退する。
炎龍の力で地を揺らし、フェニックスの光で空を裂き、三大妖怪を同時に押し返す。
石爆のばらまく爆裂物は光に溶け、晋臓の肥大は炎に縮められ、キッシーダの言霊は音もなく消滅した。
そして、天照大神そのものも圧され、太陽の光は再び黄金に戻り始める。
妖怪オタフクの顔は苦悶にゆがみ、やがて闇に溶けるように消えた。
火口の上に、完全なる静寂。
蓮は炎龍の背から降り、フェニックスドラゴンを見上げた。
「これが……天御祖神の遺産か……」
蓮の心には、地球の人々と宇宙の調和を願う強い光が宿った。
フェニックスドラゴンの翼は広がり、金と赤の光が夜空を染め上げる——
まさに、歴史を変える瞬間だった。
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