物語の舞台は終末世界。
終末の世界から見たなら、読み手の生きる現代が過去です。
物語の終末世界から思い馳せる過去、(読み手にとっては現代)が愛しくて尊いのです💐
終末の世界の住人から見たなら、この現代の全てが宝物のようなもの。 現代人が中世の文化や古代の遺跡に思い馳せて、何とも言えない尊さに震え、喜びと切なさを感じ、ふいに涙が溢れそうになるような感覚と同じです。
〝荒野に咲く花〟を眺めているような気持ちにさせてくれる物語。
荒野に咲く花です。 終末世界の作品だと滅びの争いなどの話にスポットが当てられたものが多そうなイメージですが、こちらは荒野に花が咲いているような物語であり、とても尊いです。
切なくも優しい終末世界に触れることで、現代人は今と自分自身の尊さを再確認出来るのではないでしょうか?
押し付けがましくない優しさがここにあります。
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※後々また感想を追加する可能性あり。
本作は、終末的な設定の中で日常の微細な喜びを描き出す物語だ。最後の人間であるトキコの声と、その視線に映る朝の光、空気、そして微妙な気候の描写が丁寧で、世界が静かに息づいていることを感じさせる。
ロボットたちとのやり取りは、非日常のはずの状況に温かさとユーモアを添えており、各キャラクターの造形も細部まで注意深く描かれている。特にテトロアやラディナ、もちまるの存在感は、少女の孤独を補完するように機能し、物語に柔らかな奥行きを与えている。
文章は一見穏やかで簡潔だが、背景や心情の描写に緻密さがあり、静謐な世界観の中でキャラクターたちの存在が際立つ。日常と非日常の境界を曖昧にしつつも、読者は自然にトキコの冒険心や期待感に共感できる。
初回から、終末的な世界の中で繊細な時間の流れと人間らしさを感じさせる点が好ましい。日常の描写のなかに潜む非日常の静かな驚きが、物語を軽やかに、しかし深く印象付けている。