カクヨム短歌賞1首部門 応募作品

来冬 邦子

海 ・ 星 ・ 空 ・ 人 



こぼれ落つ 星の涙を繋げれば 送ることなき君への手紙



一人でも恋は出来るという君の瞳が好きと言えずに帰る



図書館の古い倉庫はつたかぶり 鍵穴だけがキラキラ光る



海へゆく冬の電車は空っぽで 時にかもめが水平に過ぐ



最果てと呼ばれる街の灯台は 丘の上から海を見ている



水平線で海に溶けてる鈍色にびいろの雲はもうすぐ雪を降らせる



いま父はペルセウス座を行くらしい 星を愛した父の旅路よ



人は皆老いて子どもに還るらし 童女のような母の眼差し



けものには心が無いと誰が知る 醜いおまえに心はあるか



嫌われて黒いほむらが燃えさかる プロミネンスに焼かれる地球

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

カクヨム短歌賞1首部門 応募作品 来冬 邦子 @pippiteepa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画