第14話 姦姦蛇螺
差し渡し十数メートルは下るまい長大な蛇の下半身が、森一帯を
上に
「森林開発の申し子かよ。環境破壊は気持ちいいか?」
〈りぃぃえあァァァァッッ!!〉
「すげぇシャウト。マイクいらずだな」
ひとまず距離を取り、ほぼ根元からヘシ折れた大木の
──骨身に響く銃声を上げ、蛇の下半身めがけて撃ち放たれた弾丸が、分厚い鱗の表面を削りながら明後日の方へと
「異能力よりも身体能力に特化したタイプか。表皮が硬すぎて
対異形弾。ナノメタルコーティングが
着弾時に接触部分のコーティングがノータイムで
この弾の使用を前提とした専用アサルトライフルは
……が、ごらんの通りクリーチャー全体で見れば
ゆえに近年では、どちらかと言えば
まったく酷い話だ。
「ライキリがあれば尻尾を輪切りに刻んでやったものを」
一方の
「あんまホコリを立てるなよ。食う時むせる」
「フン」
腰撃ちでは
ちなみに
「借りるぞ」
そう言って左肩に銃身を置かれた。
「──ヒット」
〈ぎ、が、ゃああァァァァッッ!?〉
肩に伝わる衝撃。耳を突く銃声。つんざく悲鳴。
理知をかなぐり捨てて暴れ回っていた
「背骨を
「流石」
女の上半身と大蛇の下半身を
また弾が
断面の毛細血管ひとつ潰さず斬り裂く居合術といい、これほどの芸達者は他に居ない。
大出力による飽和攻撃が持ち味のジルとは対極的なまでの技巧派。いちいち指を使わなきゃ足し算もロクにできないくせ、戦闘に関しては非常にスマートかつスタイリッシュ。
「さァて。それじゃあトドメだけ
腰を上げ、服の砂埃を払い、
〈ぎっ……ぐうぅッ……!〉
自由を失った下肢は単なる
向こうもそう判断したのか──自分で自分の腰から下を、蛇の鱗で覆われた強靱な六本腕で引きちぎった。
〈ああぁぁァァッッ!! ころす、ころす、ころしてやるぅぅぅぅぅぅぅぅッッ!!〉
一気に身軽となり、四本の腕を使って素早く這い回り、俺へと詰め寄る。
そして残りの二本腕を振りかぶり、猛毒を帯びた長い爪で攻撃を仕掛けてきた。
「まあ落ち着けって」
〈がッ……!?〉
膝蹴りで
「そう喚かれちゃ、ゆっくり飯も食えやしねぇ」
続けて
肉体変異により鋭く尖った指で六腕の一本を掴み、ブチブチと音を立てて肩口から引き抜きにかかる。
「いただきまァす」
爬虫類の鱗は表皮で形成されているため、魚と違って皮ごと剥がす必要がある。
耳元まで裂けた口に並ぶ三層の牙で噛みちぎって吐き出し、
「んぐっ、んむっ」
歯ごたえが強い。まるでゴムみたいな食感だ。
やたら飲み込みにくい。食えたもんじゃないな。
「まっず」
ひと口でギブアップ。残りを足元に放り捨てる。
仰向けで組み伏せた
〈ひぎっ……ひいぃぃ……〉
「おーよしよし。
上半身に纏っていた巫女服のような
見た感じ、腰から上に限って言えば腕以外は人間と大きく変わらない構造。
「こっちは
〈嫌ぁ……!!〉
腹周りに舌を這わせると、残る五本の腕が弱々しく押しのけてきた。
邪魔なので一本ずつ肘からヘシ折る。多少硬かろうと関節を狙えば
「全部平らげるほど腹は減ってねェし、
わりと
クリーチャーも泣くんだよな。血も涙もないのは、この世に人間だけだ。
〈やぁ……やめて……食べないで……〉
「そいつは無理な相談だ。今の御時世、食えるときに食っとかないとなァ?」
大口を開け、ひと息に齧り取る。
柔らかく汁気の多いジューシーな肉質。
ただまあ、やはりと言うか。
「
味そのものは最悪だ。
「ごちそうさん。それじゃあ、くたばれ」
喉笛に
どんなにしぶとかろうと、生物型であれば首を断たれて死なないクリーチャーは滅多に居ない。
「さァて」
因子活性を解き、両腕と
ほぼ入れ替わりのタイミングで、腐敗した
「よし、出てきたな」
五分で閉じる上に片道専用ではあるが、これを通れば目的の
「行くぞ」
軽く首を回しながら
どったのセンセー。
「まず口を拭け」
顔めがけてタオルを投げつけられた。
こいつは失敬。
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