【ASDグレーゾーンの気づき】占いと心理学と哲学で人間関係を変えられると思っていた話(失敗談と気づき)
人とどう関わればいいのか、わからなくなったのは大学時代でした。
周りの「ノリ」についていけませんでした。
私が話すと、空気がスッ…と冷めてしまうのです。
みんなが冗談を言って笑っているので、私も似たようなことを言ってみました。
でも結果は笑いではなく、変な沈黙。
「なぜ自分だけこうなるのか?」
「何がいけないのか?」
友達と呼べる人はほとんどいませんでした。
そもそも「友達って何だろう」という感覚に陥りました。
私は自分を、人間として劣っていると“わかっているつもり”でした。
• みんなのように楽しくおしゃべりできない
• みんなのように興味関心が持てない
• みんなのように“普通”ができない
今でもこの感覚は時々よみがえりますが、当時は完全に劣等感のかたまりでした。
「どうせ自分なんて…」「自分はダメな人間」
そんな卑屈でいじけた惨めな人格として生きていました。
自分を理解できていると錯覚していました
それでも「このままではまずい」と思い、自分を変えようとしました。
就活の時期だったこともあり、“自己分析”という名の一種のカルトにハマりました。
性格診断や占いで出てきた「長所」を、そのまま自分の長所だと思い込んでいました。
「私は真面目で正義感が強く…」
そんな薄っぺらい内容を本気で信じていました。
面接で「それを表すエピソードは?」と聞かれ、焦って何を言ったか覚えていません。
つまり、私は完全に他責思考で、自分で考えることを放棄していました。
それを「自分はちゃんと考えてきた」にすり替えて、反省せず、今度は占い・心理学・哲学・自己啓発本に飛びついたのです。
動物占いや性格診断を片っ端から試し、
心理学では「行為返報性の原理」や「自己開示」の重要性も覚えました。
自己啓発本は成功の秘訣を求めて読み漁り、
理解できない哲学書も「頭が良くなれるはず」と信じて読んでいました。
「これを知れば自分の運命をコントロールできる」
「もう傷つかない世界が作れる」
本気でそう思っていました。
そして出来上がったのは最低最悪な自分でした
現実はそんなに甘くありませんでした。
私は「自己開示」を“思っていることを全部正直に言うこと”だと解釈していました。
誠意だと思って、言葉の受け取り方を考えずに発言してしまっていたのです。
例えば、ご飯を作ってもらったとき。
普通なら「ありがとう、美味しかった、ごちそうさま」でいいのに、私はこう言いました。
「ありがとう、美味しかった。●●したらもっと良くなると思う」
完全に余計なお世話です。
今では大変失礼なことだとわかりますが、当時は“相手のためのアドバイス”だと思っていました。
心理学や話し方の本で「否定せずに“こうするともっと良くなる”と伝えると良い」と読んだことがあり、それを実践していたのだと思います。
こうして、“知っているつもり”で中身のない、最低最悪な人間が出来上がっていました。
叱ってくれた人のおかげで救われました
もしある人との出会いがなければ、私はそのまま終わっていたと思います。
その人は、私のために本気で叱ってくれました。
しかも諦めずに、何度も。
当時はなぜ叱られているのか全くわかりませんでした。
プライドが高いと言われても「こんなに自分をダメだと思っているのに?」と感じていました。
自分は不幸のどん底にいると思っていたのですが、その人からこう言われました。
「本当のどん底を見せてやろうか」
今思えば、私は変わりたいと思っていても、本気ではありませんでした。
「どうせ…」という諦めと自己保身だけで、心から悔しい・惨めだと感じたことがなかったのです。
「ありがとう」を心から言ったことも、感謝をしたこともありませんでした。
私は一人の「人」として感情があることに、ようやく気づきました。
それから、人を見る目も気持ちも変わりました。
以前は「なぜ怒っているのかわからなかった」ことも、「それは怒るわ」と理解できるようになりました。
私の場合、この気づきが得られたのは本当に幸運です。
出会ってくれたことに感謝しています。
身近な人へ
これはあくまで私の場合です。
人生のステージやその人の気質によって、気づくきっかけや角度は違うと思います。
「ASDの人は宇宙人と思って接している」と言われ、ショックでしたが納得もしました。
理解できないのは当たり前で、理解しようとすればするほど苦しむこともあるのだと思います。
もし気になる方は、「カサンドラ症候群」で調べてみてください。
ASDグレーゾーンの人生録 PC雑用係のこまきち @pckomakichi
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