【ASDグレーゾーンの気づき】「真面目だね」が褒め言葉じゃなかったと気づいた日

「真面目だね」と、よく言われていました。


昔はそれを素直に褒め言葉として受け取っていました。

でも、大人になるにつれ、それが必ずしもポジティブな評価ではないと気づきました。


今振り返ると、当時の自分にいち早く気づかせてくれたのは、ある一人の女性でした。

その人にはたくさん迷惑をかけてしまったけれど、今では心から感謝しています。


この記事が、同じように「真面目すぎる自分」に悩む方の気づきにつながれば嬉しいです。


「真面目」は、なぜか息苦しさを伴う


20代後半。職場では「真面目」「責任感が強い」とよく言われていました。

一方で、当時付き合っていた彼女とは、頻繁に衝突していました。


今思えば、それは「喧嘩」ではなく、

彼女が自分を良い方向に導こうとしてくれていた時間だったのだと思います。


「頑固だよね」

「プライドが高い」

「素直になれない」


そう言われるたび、反発していたけれど、彼女の本音は

「もっと楽に生きてほしい」という願いだったのでしょう。


そして彼女は、こうも言いました。


「真面目って、褒め言葉じゃないよ」


その意味が分かったのは、だいぶ後になってからでした。


「真面目=融通が効かない」「もっと肩の力を抜いて」という意味。

ようやく、彼女の言葉の裏にあった本心に気づけた気がします。


ASDグレーゾーンという視点


後に、自分はASD(自閉スペクトラム症)グレーゾーンと診断されました。


診断を受けたとき、思い当たることばかりで、驚きよりも「納得感」のほうが大きかったです。


たとえば…

• 言葉の裏を読み取るのが苦手

• 表情や空気を読むのに時間がかかる

• 完璧主義で、少しのミスでも最初からやり直したくなる

• 自分では“普通”のつもりでも、相手に強い印象を与えてしまう

• 思ったことをそのまま口にしてしまい、相手を傷つけることがある


どれも、「悪意があったわけじゃない」のに、結果としてすれ違いを生んできた。

それがずっと、自分を苦しめてきました。


ズレる会話、すれ違う関係


日々の会話の中で、“ほんの少しのズレ”が積み重なっていく。


たとえば、上司に言われた「ちょっとゆるく考えていいよ」という言葉。

当時の自分は、「ルールを守らなくてもいいってこと?」と困惑しました。


でも実際は、「臨機応変に動いてくれたほうが助かる」っていう意味だったんです。


普通の人なら自然に読み取れるはずの”ニュアンス”が、自分には見えにくい。

そんな読み合いの難しさが、日常の中に何度もあります。


「真面目」は否定しなくていい。でも…


真面目さは、決して悪いことではないと思っています。

むしろ、自分にとっては大切なアイデンティティの一部でもあります。


ただしその真面目さが、

自分自身や周りの人を苦しめてしまうのなら、手放す努力も必要だと感じています。


• 完璧じゃなくても大丈夫

• 融通を利かせる余白も大事

• 疲れたらちゃんと休んでいい

• 間違えても、そんな自分を責めなくていい


そういう「ゆるさ」を、自分に少しずつ許せるようになりたい。

今の自分の課題は、まさにそこにあります。


「普通」がしんどい人へ


「自分にも当てはまるかも」と感じた方へ。


あなたが感じている“生きづらさ”や“ズレ感覚”は、

あなただけの問題ではなく、発達特性という視点から説明できることかもしれません。


そんな場合は医療機関で相談することで、納得できる答えが見つかることもあります。


「会話でよくズレを感じる」

「発達障害かもしれないと感じている」


そう伝えれば、検査や問診を通じて、必要なサポートが受けられるはずです。


身近な人たちへ


ASD傾向のある人は、「自分なりの納得」がないと動けないことがあります。

いわゆる“マイルール”や“マイルーティン”が強く根付いています。


でもそれを、頭ごなしに否定するのではなく、

その人なりの理解に落とし込んでいける関わり方を意識してほしいと思います。


実際、年上の後輩に発達特性のある方がいました。

一般的なマニュアルでは業務がうまく進まず、私はその人専用の手順を一緒に組み立てました。


結果として、彼は業務をこなせるようになり、安定して働けるようになりました。


最後にひとこと


「真面目だね」と言われて、モヤモヤしたことがある人へ。


その真面目さは、間違いなくあなたの魅力の一部です。

でも、たまには肩の力を抜いて、一息つくことも忘れずに。


真面目なあなたが、自分らしく、もう少し楽に生きられますように。

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