誤認
世間は大騒ぎだ。「あの除霊師、逮捕されたって!」
SNSもニュースも、罵詈雑言の嵐。
誰も笑いもせず、非難するばかりだ。
「まあ、普通の人が関わったら危ないよね」と、みんな安心した顔をしている。
しかし、誰も知らない。
事件の直前、彼は確かに除霊をしていた──途中まで。
女性を襲い、逮捕された瞬間、儀式は止まった。
霊は確かに、女性自身に憑いていたのだ。
彼女は今、ショックの余波で気づいていない。
しかし、身体や心の奥底で、霊の存在は確かに息を潜めている。
まるで目には見えない小さな手が、彼女の胸をそっと押さえているかのようだ。
そしてその手は、日増しに力を強めていく。
気づいたときには、もう手遅れだ。
霊は女性にとりついてじわじわと生気を奪っていく。
助けようにも、世間の目は厳しく、誰も関われない。
「逮捕されて安心している一般人よ、君たちは誰も助けられないのだ」と、
霊は微笑む。
笑う霊の声が、彼女の耳の奥で、微かに、しかし確かに響く――。
日に日に疲れやすく、微かな違和感に苛まれ、誰も原因を突き止められない。
あぁ、一般人に除霊もなにもわかるはずがないのに、
風評被害は強まり、もう助けることはできない。
そして夜ごと、寝静まった部屋で、霊は小さく囁く――
「もっと遊ぼ」
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