依頼探し
広場に着くと農夫達が明日の人で集めをしていた。
「これはチャンスだよ!行って話してくる。」
朱莉は不知火に告げると、農夫たちの和に入って行った。
「どうしたの?私が力になるわ!」
「ん?おぉ!お嬢。お嬢にそんなことはさせられねぇ。泥仕事なんてわしらに任せておきな!」
朱莉は農夫に力強く断られてしまった。仕方なくその場を去ることにした。
ベンチには不知火が本を読んでいる姿が見えた。
「ちょっと!一緒に交渉してよ!」
「これはあなたの仕事。私は見ているだけです。安心してください。尋ねられれば、答えます。」
再び本に目をやる不知火。
「わかったわ!何としてでも夕方までになんとかしてやる!」
朱莉は不知火から少し離れたところで人待ちをする。
もう昼は回っただろうか。朱莉のお腹が鳴る。
「お腹すいた。」
人気の無くなった公園でお腹を押さえてしゃがみ込む。
「もし、どうされた?」
通り掛かった老人が声を掛ける。
「・・・へぇ?」
朱莉は老人を見上げる。老人は心配そうに朱莉を見ている。
「ちょっとお腹すいただけなの。気にしないで。」
「はて?どこかで見た顔の様な気がするが。わしのおにぎりをやるからお食べ。」
老人は朱莉の顔が思い出せないようだ。手提げ袋からおにぎりを取り出し、朱莉に渡す。
「申し訳ありません。このご恩はいつか返します。」
備蓄のクラッカーを食べながら、喜ぶ朱莉を見て不知火はつぶやく。
「これではどちらが助けているのだか。」
時間は刻々と夕方に迫っていく。
「本当に困っている人っていないのかもしれない。」
呆然と立ちつくす朱莉。
「ミミちゃん!ミミちゃん!」
子供の声が聞こえてきた。朱莉はキョロキョロと辺りを見回す。
子供は広場の入口辺りに差し掛かる。
「あっ!お嬢様、こんにちは!ミミちゃん知らない?」
「こんにちは!どうしたの?」
「うちの猫のミミちゃんがいなくなっちゃったの。」
子供は朱莉に事情を話す。朱莉は自信満々に子供に話す。
「お姉さんが探してあげる!どんな猫?」
「黒と白の子猫。」
「わかったわ!」
朱莉は子供を残し走り去っていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます