第四章 解散ライブ
第四章 解散ライブ
起動しない理由は、すぐに判明した。
「脳が、ショートしてる」
コロンが息を呑む。
「まさか、
「それは考えられない。
みんなの慌てようは、一個の電化製品が動作不能になった、という冷めた態度では済まななかった。
「高圧電流を流して、回路を焼いたんだよ」
「
チーズの問いに、キティラーは素っ気なく一言「そう」とだけ答えた。
「どうしてそんなことを?」
今度はスイだ。
キティラーが、スイのほうへ向き直った。
「
「それは私たちも知ってましたけど」
「だからだよ」
怪訝そうにするスイに、キティラーは説明を加える。
「万一、ライブ中に機材がトラブルを起こして、大量に電力を消費する事態に陥ったとしても、電力切れにならないように。より確実にライブを終えられるように、電力確保を最優先すべきって考えて、決断したんだよ。
理由はそれしか考えられない」
「もう私たちに教えることはなくなった、と……」
OPSへのMIA(ミックスド・アイドル・アーツ)の伝承は終えた。
だから、自身の存在する理由もなくなった。
そういうことなのか。
僕らが義理で再び電源を入れてしまわないよう、ショートさせてまで……。
アンドロイドらしいドライな選択。潔い最期だった。
「それにしても、一言くらい……」
チーズはなおも名残惜しそうにしていたけど、
作詞、作曲から始まり、ここで言うライブの概念、行う理由を説き、MIA(ミックスド・アイドル・アーツ)の思想を提唱し、メンバーに実践させて完成まで持っていき、叱咤してライブへと送り出し。
今回、二回目のライブに向けては、グループの新たな方向性を示し、リハーサルも完了した。もう、だいじょうぶ。メンバーたちは、プロデューサーなしでもライブを成功させられる。
そう確信したからこそ、
怪我のため、万全からは程遠い体調で臨まざるを得ないメンバーもいた解散ライブ。
逆風吹きすさぶ中、みんな本当によくやった。
観てるだけのこっちが、笑わされたり、泣かされたり。いろいろあった。
あっという間だった。
ライブは終わった。
終演と同時に、OPSとしてのグループ活動も終了したけど、余韻に浸っている暇はなかった。
結果は二種類しかない。
成功か、失敗か。
ライブは、神を動かすに足る活力を与えられたのか。
答えは出た。
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