第26話 これが僕たちの答え

 時刻にして21時。

 小学生ならば、お家に帰ってぬくぬくのお風呂に入り、ベッドに潜り込む時間帯だろう。


 そして本来の僕ならば、この時間帯ならそのへんの小学生同様にベッドに潜り込んでいる時間帯なのだが、生憎今日は……いや、ここ最近はその早寝が許されていない。


「で、仲間外れにしてないってことはわかった?」


 もぐもぐと大きく口を動かす姪由良さんは散々元カレのことを聞かれた腹いせにか、鋭い睨みを石宮さんに向けた。


「まぁ?そういうことなら納得」


 こちらも同様に、大きな口を空けてうどんを啜る石宮さんは、満足げな顔で頷いていた。


 夜も遅いという事で石宮さんはもとより、姪由良さんまでもが家でご飯を食べることになったのがつい10分前のこと。

 買い物にも行ってなかった今日、冷蔵庫にあるのは麺つゆとポン酢、あとはちょっとした調味料。


 幸いにも冷凍庫に冷凍うどんがあったからこうしてうどんを囲ってるわけなのだが、質素と言ったらありゃしない。


(そもそも――)


「姪由良さんはなんでうちに来たんだよ」


 あれよあれよと家に上がらせたはいいものの、僕と石宮さんの喧嘩で理由を聞きそびれていた。

 べつに昼食中に僕の家に来るという話もしていなければ、MINEでもそんな会話は微塵もない。


 そもそもMINEを交換してないのは置いといて、理由もなくうちに来たというのなら迷惑ったらありゃしない。


「徒然草の170段にもあっただろ。理由もなく家に来るなって」

「頭が良いアピール……?めっちゃだるいじゃん。というかちゃんと理由あるし決めつけんな」

「じゃあなんだよ。しょうもなかったらこのうどん全部僕が食うからな」


 ザルに乗せられたうどんを箸で掴み、豪快につゆに落とした僕はズズッ。

 まるで子供を見守るように呆れたため息を吐き捨てた姪由良さんは、うどんをつまみながら口を開いた。


「どこかの親友に『勉強教えて』って言われたの」

「どこかの親友?僕に親友はここにはいないが?」

「あんたじゃないわ!どう考えても私の親友――澄香のことでしょ!」

「あーそゆこと?…………ん?」


 疑念とともにジロッと見るのは、隣でこれまた美味しそうに冷凍うどんを頬張る石宮さんの姿。


 そして思い出すのは、インターホンを押した姪由良さんに対して発言した『この家に来る人なんてたかが知れてるから』という言葉。

 べつに僕が傷ついただけだからいいんだけど、呼んだのがこいつということは……


「石宮さん?もしかして来るの知ってて喧嘩ふっかけた?」

「人聞きの悪いこと言わないでもらっても?私はちゃーーーんと2人と腹を割って話したかっただけだから」

「いや先に言え?微塵も思ってないが、姪由良さんにも失礼だろ」

「おーい岩永くーん?そのセリフが一番失礼なんですけど?というか騙されたんですけど?」


 僕から逃げるためなのか、姪由良さんから逃げるためなのか。はたまたどちらからも逃げるためにか、ぷいっと顔を逸らした石宮さんは一味を麺つゆに浮かばせる。


「まぁ腹割って話せたから結果オーライなんだけどさ。なんかこう、違うわ」

「ちがうってなに。私にボッチ飯させたくせに」

「1日ぐらい良いだろ」

「この私を1日も放置して良いと思ってるその考え方が終わってる」

「やっぱ僕のこと好きだろその考え方」

「…………聞き方キモッ」


 ボソッと隣から聞こえてくる拒絶の言葉。

 明らかに僕のことをバカにしてるその言葉に睨みを向けようとしたのもつかの間、バンッと勢いよく机が揺れた。


「それについて今日ちょっと考えたんだよね」


 お皿もお箸も手放した石宮さんの、真摯と言わんばかりのまっすぐとした視線が僕の瞳を貫く。

 思わず固唾を飲み込むことすら忘れてしまった僕なのだが、フッと優しく笑う石宮さんに「え?」と言葉を漏らしてしまった。


「いや色々考えたんだけどさ?まず、『陸斗くんが私のことを好きなんじゃないか?』っていう結論に至ったんだよね」

「…………ほう?」


 眉を顰め、同じようにお皿とお箸を置いた僕は手を組み、肘をつく。

 本当はサングラスもかけたいところだが、残念ながらそんな小道具はうちに常備していない。


 僕がそんな姿勢に入ったからだろう。ただならぬ雰囲気が流れるのは言わずもがな。

 そんな中でも冷めきった視線とともにうどんを啜る姪由良さんは、つまらない恋愛映画でも見ているかのよう。


「陸斗くんの気持ちを知りたいんだけど、どう?私のこと好き?」


 あまりにも躊躇いのない言葉にむせてしまう姪由良さんを隣に、目を合わせる僕は至って真剣に言葉を返す――


「うん、全く持ってわからん!」

「ほぇ?」


 情けない言葉を漏らす石宮さんとはべつに、「はぁ?」と怒りの声を漏らす観客。

 そんな二人のためにも言葉を続けてやった。


「今の石宮さんと全く持って同じ状況です!正直、人に対して好きとかそういう感情を全く理解してないから分かりません!まぁでも、特別な感情はあるよ?これも石宮さんと同じだけど」


 正直、姪由良さんみたいな顰めっ面をされると思っていた。こんな開き直ったような言葉で怒られるのは当然……だと思っていたのに、


「えやっぱそうだよね?わかんないよね?」


 返ってきたのは共感を求める言葉だった。

 ポカンと口を開く僕を目覚めさせるように言葉を割り込んだのは、うどんを咥える姪由良さん。


「あんたら馬鹿なの?」

「……バカってなんだよ。恋愛未経験をあんま舐めるな――」

「いや未経験すぎというかなんというか、自分の気持ちに気づいたら?あんたらだよ?それ」


 そんな言葉だけを残してズズッとうどんを啜り始めた姪由良さんは、多分もううどんに飽きている。

 そう感じてしまうほどに目が死んでるし、なにより香川県民はうどんに飽きる人が多いという研究結果が僕の中にある。


(というか!)


「な、なに言ってんだよ!両思い!?ちがうし!というか仮にそうだとしても、自分たちでその恋心に気付くのが恋愛の醍醐味だろ!?言うなよ!!」

「そ、そうだよ!!私達はあくまでもお互いに特別感を抱いてるだけで好きなわけじゃないし!!」

「はぁ?醍醐味?特別感?舐め腐ってるでしょ。少女漫画の見すぎ」


 軽くあしらう姪由良さんは、うどんを噛みちぎって器を置いた。

 そうして胸を張り上げたかと思えば、ビシッと伸び切った人差し指を勢いよく僕に向けた。


「恋愛未経験者が恋愛を語ろうとするな!なーにが醍醐味だ!!さっさとお互いの気持ちに気づいて付き合ったほうが後先楽なんだよ!!見て見ぬふりしてるから両片思いで終わって!BSSが起こったりNTRが起こったりするんじゃボケ!!というかそんな状態続けてたら相手から冷められるぞ!!私の友達がそれで一瞬で別れたからよーくわかってんだよ!!」


 隣にも同じ大学の生徒がいるというのに……もう月が昇っているというのに、なんの躊躇いもなく怒声を部屋に轟かせる姪由良さんの顔は真っ赤。

 照れてないことだけは一瞬で分かったが、なぜ僕達はこんなにも怒られているのか。


(……いやまぁ、理由はたった今言ってくれたんだけどさ……)


 肩を縮こませることしかできない僕と石宮さんは、お互いを守り合うようにそっと距離を近づける。

 そんな動作が気に食わなかったのだろう。カッと目を見開いた姪由良さんは、勢いよく僕達の肩を離す――ではなく、勢いよくくっつけた。


「付き合えやボケ!!イチャつくなら付き合えやボケ!!!」


 怒声だけでなく、覇気までもを放つ姪由良さんは、正直言ってめちゃくちゃ怖い。

 お母さんに怒られてるような、学校の先生に説教されてるような、そんな類を連想させる怒られ方に声すら出せないでいる僕は膝に手を乗せるだけ。


「で、でも……いきなりそんな事言われても、わかんないし……」


 尻込みする僕とは違い、小声ながらも言葉を返した石宮さん。

 そんな石宮さんにギロッと睨みを向けるのは、今の僕達の天敵である姪由良さん。


「いきなりだぁ?異性の家に泊まっておいて……ましてや恋人繋ぎを迫っといてなにを言ってんだよ!カップルじゃん!どうあがいてもカップルだろ!!」

「こ、恋人繋ぎは陸斗くんに彼女を作らせるための練習というかなんというか……」

「普通の男女は練習で恋人繋ぎなんてしねぇよ!!んなこと言ったら私が岩永くんと恋人繋ぎしてやんぞ!!」


 明らかに口調がヤンキーな姪由良さんは、見た目にもこだわるつもりなのだろう。

 前髪をかきあげ、顕になった鋭い瞳は石宮さんを突き刺し、力強く握った拳を見せつけている。


 多分この人の高校時代はヤンキーだったのだろう。

 これといった証拠はないけど、このキャラの当てはまりようは絶対にヤンキーだ!!


「ほら手出せ童貞!」

「え、いま童貞関係ある――」

「うっせ出せ!」

「はいっ!」


 言いなりの僕の右手は意識に反してヤンキーのシワが集まった眉間の前へ。

 一瞬舌打ちが聞こえた気もするが……多分気のせい。


(南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏!)


 震わせる手のひらの未来から目を背けるように視界を閉ざす。


 そうして数秒の沈黙が訪れた。

 差し出した手に温もりが帯びることもなく、かと言って衝撃という名のビンタがお見舞いされることもない。


 目も閉じてしまってるが故に、今現在目の前でなにが行われてるのかも分からない。

 やはり人間には五感が大切なんだな?と現実を突き詰められる反面、2人の行動が気になって仕方がない。


「……あの、手出してるんですが……?」


 そんな言葉とともに薄っすらと眼を顕にする。

 さすれば視界に入るのは……僕の右手を触ろうとして触れないでいる……石宮さんの姿だった。


 なぞるように手の周りの空気を撫で回し、握りこぶしを作って決心がついたと思えば歯を食いしばってまた撫で回す始末。

 全く持ってなにがしたいのか分からない一方、僕の手を握ると提案した張本人は頬杖をついてため息を吐いていた。


「あんたの彼女いわく、私が手を繋ぐのは嫌だとのこと。かといって自分が手を繋ぐのも恥ずかしくなって今に至るんだとさ」

「……ほぉ?そんな会話してたか……?」

「私の察し能力舐めないでくれる?というか、手繋ごうとした瞬間に手首捕まえられたんだからそうとしか考えれないでしょ」

「ほぉ……?」


 危ないものにでも手を伸ばそうとしているようなジェスチャーを見せる石宮さんは、相変わらず歯を食いしばっている。

 どんだけ集中してるんだ?とツッコミを入れたいが、そんなツッコミよりも先に口から飛び出した言葉で部屋が凍りついた。


「アホか……?こいつ……」


 ピタリと動きを止めた石宮さんの手は、代わりに睨みという形で感情表現を示し……僕を見下ろした。


「いや睨むなよ。誰がどう見てもアホだろ。嫉妬したならさっさと手繋げよ」

「……べつに嫉妬してないし」

「と言ってますが?親友さん」

「残念ながら嫉妬してるよ。澄香」


 果たしてこれは石宮さんが鈍感だからなのか、それとも自分の気持ちに気付きたくないからなのか。

 ……まぁ多分、後者なんだろうが。


「……逆に嫉妬してたらなんだって言うの」


 ジッと細めた目を向ける僕達から視線をそらしたかと思えば、開き直りの石宮さん。

 ダサいと言えばありゃしないが、赤くなった頬に少しでも見惚れてしまった僕も同類なのだろうか。


 ブンブンと顔を振って気持ちを落ち着かせる僕は、ダンッと机を叩いて勢い任せに叫んだ。


「もう自分の気持ちはっきり言えよ!!」

「あんたが言うなよ。てか自分から言えよ」


 あっさり冷淡な言葉でツッコミを入れる姪由良さんは、相変わらず呆れた顔で頬杖をついたまま。

 僕達の恋愛映画はそんなに面白くないか!なんて言葉は喉を通さず、食いしばった歯で姪由良さんの言葉を肯定した。


「いやまぁ!うん!さすがにここまで来たら分かるよ!!自分の気持ちがどこに向いてるかってことぐらい!!」

「分かってんなら告白したら?」

「いやでも告白はほら……もうちょっとロマンチックなものというかなんというか……」

「告白ぐらいロマンチックじゃなくていいわ。日常会話で告白する人だってこの世にいるんだよ。というか私がそうだったし。ロマンチックなんて求めてたら死ぬぞ?BSSされるぞ?」


 さっきからBSSを強調してくるこいつは過去にされたことがあるんだろうか?

 もし経験談を語ってるのなら説得力が群を抜く訳なんだが……いや、詮索はしないでおこう。


 小さく息を吸い、呼吸を整えた僕はおもむろに耳まで真っ赤に染めた石宮さんを見やった。


「……だとのことっすけど。どっすか……?」

「え、あ……うーん……。そんな感じでいいんじゃない……?」

「じゃ、じゃあまぁ……よろしくお願いします……?」

「あ、は、はい。よろしく……お願いします……?」


 まともに目を見られないのは僕だけでなく、石宮さんまでも。

 これまで同じ屋根の下で生活していたんだし、目を合わせることぐらい容易い……なんて思ってた僕が過去にいたのかもしれない。


 けど現実はとんでもない気まずさだけが空気を濁し、会話なんておろか、指先の1つすら見ることができない。


「あんたらマジで終わってない?ちゃんと言葉にしろよ!なんだよ!なにがそんな感じだよ!言葉にしろよチキン野郎どもが!!」

「ボ、ボコボコに言うじゃないっすか……。バッチ解決したからいいじゃ――」

「よくねぇーよクソども!なんだ?なにが言いたいんだよクソども!!」


 そんなに言われる筋合いがあるのだろうか?正直僕はないと思う。

 クソ野郎とか言われたくないし、チキン野郎も今の僕には不必要な言葉だ。


 だってちゃんと付き合う事になったもん。そんな感じの関係になったし。


「…………好き」

「え?」


 ボソッと呟かれた言葉に勢いよく頭を上げれば、梅干しよりも更に赤くなった顔がそこにはあった。


「今、なんて……?」


 聞き返したのがダメだったのだろうか。

 刹那にして鋭い睨みがヤンキーから飛んでくるが、今は無視して石宮さんの真っ赤な唇に意識を集中させた。


「…………好き、か”分かんない”」

「「え?」」


 呆けた言葉を漏らしたのは僕だけでなく、睨みを浮かべていたはずの姪由良さんまでも。


「えーっと……澄香?それはどういう?」


 隠しきれない戸惑いとともに石宮さんの肩を掴む姪由良さん。

 そんな後ろで、人知れずを感じる僕がいた。


「……だよな。分かんないよな」

「うん、分かんない。ほんっとうに分かんない」

「好きってなんだよなって感じだよな?童貞に好きを求めんじゃねぇバカがって感じだよまじで」

「それはそれでどうかと思うけど、一応同意見です!」


 ニカッと笑ったのはどちらからともなく。

 目を合わせたのもどちらからともなく。

 同盟を結ぶかのように手を握りあったのもどちらからともなく。


 あいにく僕達は恋愛初心者だ。

 好きなんて分からんし、童貞を拗らせてる僕に愛を求めるのが間違っている。


「……ん?ってことは付き合わないってこと……?いやなんで!?」


 ズイッと僕達の間に体をねじ込ませた姪由良さんは目をかっぴらき、僕の肩を掴んだかと思えば勢いよく振り回し始める。


「なんでだよ!!ここまで来たならもう自分の気持ちに気づけよぉ!!」

「やめろ!酔う!酔うからやめろ!」

「じゃあなんで付き合わないか言えよぉ!!」

「いや僕は付き合うつもりなんだけど!?昼間に姪由良さんが言ってたじゃん!!『付き合ってから好きになる恋があっても良いんじゃない?』って!!」

「あーそんなことも言ったね?」


 ピタリと動きを止めた姪由良さんは、ポンッと手を鳴らして絨毯にお尻を付けた。


「どこかの誰かさんのおかげで考え方がちょっくら変わってしまったからね!どうせなら付き合ってから好きになっても良いんじゃないかと思ってね!!」


 開き直った……と表現するのが一番正しいのだろう。

 ふんすと鼻を鳴らした僕は、相手のことなど気にすることもなく顔を逸らすだけ。


 刹那に見えた耳を赤くした彼女の顔は、なにか物言いたげであった気もする。


「……ねぇそれさ、本人の前で言うのもどうかと思うよ……?」


 どうやら僕もかなりの察し能力を持っているのかもしれない。

 顔色1つでなにかを言いたいことを察せられた。これは僕として大きな一歩だと思――


「ん?それってどゆことだ?」


 思わずコテンと首を傾げてしまう僕に小さなため息を零した石宮さんは、スッと顔を近づけて紡いだ。


「『好きじゃなくても付き合う』ってのはどうかと思いますけどね??」

「あー……なるほど?」


 価値観は人それぞれ。

 僕の考え方が良いと言っても、相手がその考え方を嫌う可能性だってある。

 現に、石宮さんの機嫌を損ねたのは事実だ。


 スイーっと逃げるように目を逸らした僕は、小さく唇を開いた。


「……さっきのは前言撤回でお願いします。好きになるまで付き合いませ――」

「いや付き合うけど?」

「付き合うんかい――って付き合うの!?」

「当たり前でしょ。私も付き合うから始まる好きがあってもいいと思うし」

「いや……え?いいの?まじで付き合っていいの?」

「だからそう言ってるじゃん」


 先程までの辿々しさは一体どこに飛んでいったのか。

 頬の赤みもすっかり消え去り、姪由良さんのような男気溢れる笑みがそこにはあった。


 そんな石宮さんに習うように姿勢を正した僕は1つ咳払いを披露し、しっかりと目を見て口を開く。


「じゃあ、これからよろしくお願いします。不甲斐ない彼氏ですが、末永くお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします。これからもワガママを言うと思いますが、睦まじく行きましょう」


 舞妓さんのように、絨毯に手を添えた僕達はそれぞれに土下座を見せつける。

『お見合いかよ!』なんてツッコミが飛んできそうだが、ポカンと口を開く姪由良さんによってこの空気はぶち壊されてしまった。


「私が言うのもなんだけど……2人の情緒って結構気持ち悪いね……?」

「褒め言葉か?有り難く頂いとく」

「チクチク言葉よ!」


 眉根を釣り上げて言う姪由良さんだが、正直今の僕にはなんの効果もない。

 好きじゃないとはいえ、ちゃんと嬉しいものは嬉しい。


 高揚感を胸に秘める僕は、ニヤつきを浮かべて残ったうどんを解きながら麺つゆに浸した。

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