第23話 お友達じゃん?
♡ ♡
「んじゃ今は彼氏いないのか」
「当たり前でしょ。作るわけがないじゃん」
私の耳に入ってきた言葉は、男女間では普通の会話なんだと思う。
『今日は別の人と飯食べるからボッチ飯楽しんで』
右手にある液晶板に映し出された文字はそれだけ。
私の『そろそろうどんの作り方教えてよ!?』という言葉に既読なんて付けず、楽しそうに凜音ちゃんと目の前を2人で歩いている。
友達なんだからそれぐらいのことは当然なはずなのに、どことなく胸騒ぎがする。
どのエンジンよりもうるさく、どの悪魔の囁きよりも圧倒的にうるさいこれが、どうしても気持ち悪くてしかたがない。
べつに良い。
2人が楽しそうに歩くのは、友達として誇らしいし、陸斗くんに私以外の友達ができて嬉しいとすら思う。
けど、なんだろう。
「私を混ぜてくれてもよくない……?」
私はこの胸騒ぎの正体を知っている。
『嫉妬』
長々と説明するよりも、この一言に収めるほうがよっぽど分かりやすいだろうし、今の私に一番当てはまっている言葉。
こんな嫉妬を抱くのは中学生以来だろうか。
小学生から仲が良かった友達が、別に仲のいい人を作って、私からそっちに乗り換えたあの時。
自分だけがそっちに行くんじゃなくて、『この子は私の小学生からの友達だよ〜』って私のことも紹介してくれても良かったじゃん。
そんな強い嫉妬が中学生の体に、年から年中渦巻いた結果、高校生では前髪を伸ばしてメガネも掛けて猫背で友達も作らずにおとなしい陰キャ生活。
せっかく県外の大学を勝ち取ったんだから、この4年間ぐらい小さい頃のようにはっちゃけた人生を送ってみたかった。
だというのに、はっちゃけた結果が中学と同じ過ち。
私をめんどくさい存在だと認識して、別の友だちに乗り換える。
そして私は大学でボッチになって、どこかで陰口が叩かれる始末。
「……やめよ。自己嫌悪はよくないよ……」
まだ私から乗り換えたと確定するには早い。
たまたま今日、凜音ちゃんに用事があっただけかもしれないし、さっきまでは他の人たちも一緒にいたかもしれないし。
「……家帰ったら聞いてみようかな」
ポツリと紡いだ私は、踵を返して2人とは別の東棟に向かう。
(私ももうちょっと頭が良かったら2人と同じ学部に入れたのかな……?)
そんな戯言を頭の中に残しながらも、重たい嫉妬を抱えて講義に向かった。
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