第32話 結末後③

祖母(メイ)43歳。

女の子の母親(メイの娘セシリア)22歳。

女の子(セシリアの娘シーラ)5歳。

メイの長男(ヴィンセント)20歳。

メイの次男(デリック)16歳。

ディル58歳。

レイ43歳。

アミーリア38歳。

エイベル39歳。

ヴェラ・ボード(アミーリアとエイベルの一人娘)16歳。




コンコン…


ヴィンセント「ヴィンセントですが、入ってもよろしいですか?」


ディルはエイベルとアミーリアを見る。


二人は小さく頷く。


ディル「入ってくれ。」


ディルの許可が下りると、ヴィンセントが部屋に入って来た。


ヴィンセント「エイベル様、アミーリア様、失礼致します。」


ヴィンセントは二人にお辞儀をすると、ディルの元へと歩み寄る。


ヴィンセント「父さん。デリックを許してやって下さい。ハリディの家は俺が継ぎますので、ご安心下さい。」


デリック「兄さん!」


ディル「ヴィンセント……。お前は…それでいいのか?」


ヴィンセント「はい。セシリア姉さんも、デリックも、母さんに似て直情的な人間です。いつかはと思っていました。」


メイ「ヴィンセント…。」


ヴィンセント「俺は父さん似なので大丈夫です。だから、デリックのことを許してやって下さい。」


ディル「………はぁ。ヴィンセント……苦労するぞ?」


ヴィンセント「大丈夫です。ハワード伯父さんが協力してくれるので。最近も、いろいろ教えてもらっています。」 


デリック「ハワード伯父さんの言う通りだったな。兄さんを味方に付ければ大丈夫だって、言ってたもんな。」


ディル「デリック!」


デリック「へへへっ。ごめんなさい。」


コンコン…


ハワード「入っていいかい?」


ディル「兄さん!?入って下さい。」


ハワードが部屋に入って来た。


ハワード「皆様、失礼致します。」


ハワードは一堂にお辞儀をすると、話し始めた。


ハワード「そろそろ私が必要な頃かと思って参りました。ディル、認めてあげなさい。」


ディル「……分かっています。」


ハワード「デリック。ボード家に入るということは、公爵家を継ぐということ。これからは後継者としての勉強で大変だよ?分かっているね?」


デリック「分かっています。ヴェラと結婚できるなら…ヴェラと一緒なら頑張れます。」


ヴェラ「私も一緒に頑張るわ!」


デリック「ヴェラ!来てたのか?」


ハワードの後ろから、ひょっこり姿を現す女の子。


エイベル「ヴェラ!」


ヴェラ「お父様、お母様、ディルおじ様、メイおば様。二人で力を合わせて頑張ります。結婚のお許しを頂けますか?」


ディル「はぁ……。」


アミーリア「ごめんなさい。ディル、メイ。お転婆な娘で…。」


エイベル「こんな娘なので、デリック君が来てくれると助かります。」


ハワード「ふふふふっ。ディル、諦めなさい。」


メイ「ディル。」


ディル「分かった。二人の結婚を許可する。デリックは、これからはボード家で後継者としての勉強に励みなさい。」


デリック「ありがとうございます!父さん!」


ヴェラ「ありがとうございます!お義父様!」


シーラ「デリック叔父様、ヴェラお姉様と結婚するの?」


ドアからひょっこり顔を出すシーラ。


ヴェラ「そうよ!シーラちゃん。」


シーラ「おめでとう、叔父様、お姉様。」


そして、シーラはトコトコ歩いて行くと、ディルの膝の上に登った。


ディル「シーラ。」


ディルは、膝の上のシーラを優しく撫でる。


ハワード「ふふっ。シーラちゃんは、ディルのことをよく分かっているね。」


ヴィンセント「本当に、そうですね。」


シーラ「だって、ディルお祖父様、小さい子供に甘いの、私知ってるもの!」


ハワード「ははははっ。」


メイ「ふふふっ、ディル。言われてるわよ?」


デリック「シーラちゃん、最強!」


ディル「もう、好きにしてくれ……。」


ハワード「細かい調整は任せなさい。あと、うるさくするがいたら、私が適当に追い払っておくよ。」


ヴィンセント「ハワード伯父さん。俺でもその程度は出来ます。安心して下さい。」


ハワード「ふふっ。成長したね、ヴィンセント。」

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