第24話 ビガンへ逃げろ
そして……
バタン!
ドアが開くと同時にエイベルが駆け寄ると、剣を引き抜き一閃……コンラッドを斬り捨てた。
メイの体の上に崩れ落ちるコンラッド。
エイベル「メイ!大丈夫か!?」
メイ「………あぁ……うぅぅぅ………。」
エイベルの顔を見た瞬間、涙が次から次へと溢れ出す。
リビー「メイ様!申し訳ありません。私が離れたばかりに……。」
リビーは駆け寄ると、メイにかけられた手錠を外す。
メイ「エイベル…リビー……。」
エイベル「リビー!今すぐ実行に移す!」
リビー「分かりました。5分、時間を下さい。部下に指示を出して参ります。」
エイベル「分かった。」
リビーは素早く部屋を出て行った。
エイベルは、コンラッドをベッドから引きずり降ろすと、メイをエイベルの部屋へと抱っこして連れて行く。
メイ「ひっくひっく………うぅ………。」
エイベル「よく聞いて欲しい、メイ。今すぐメイはビガンに逃げるんだ。リビーとリビーの仲間が一緒に行ってくれる。」
メイ「……ひっくひっく……エイベルは?」
エイベル「僕は……父上と兄上を止める。」
メイ「でも…お兄さんの側近を手にかけて…エイベルは大丈夫なの?」
エイベル「僕は大丈夫。この5年間、仲間を増やしたんだ。僕が動けば協力してくれる者達だ。僕はこの国を変える。」
エイベルの決意に満ちた表情を見て、メイは少しだけ口元を緩めた。
エイベル「メイ、今すぐ汚れを落としてきてくれ。リビーが戻って来たら、すぐに出発するんだ。分かったね。」
メイ「分かったわ。」
メイは裸で返り血を浴びているため、すぐにシャワーを浴びた。
手早くシャワーして戻ると、リビーがちょうど戻って来たところだった。
リビー「メイ様、この服を着て下さい。」
渡されたのは男物の服。
メイ「男物?」
リビー「はい。あとでカツラも付けて頂きます。胸を隠すために晒を巻きますので、こちらへ来て下さい。」
そして、晒を胸に巻いてから男物の服を着た。
リビーはメイの長い金髪を器用にまとめると、茶髪の短髪のカツラを付けた。
男に見えるように化粧までされると、一見すると男にしか見えない。
リビー「私も用意しますので、少々お待ち下さい。」
リビーは隣の部屋へ行くと、数分後には男姿で戻って来た。
ビガン国にいる時とはまた違う、男の姿だ。
濃い色の茶髪で、耳が隠れるほどの長さだ。
男なのか、女なのか、迷う姿だ。
エイベル「どれが本当のリビーなんだろうな。」
ふと呟いたエイベルに、
リビー「どの姿も私であって、私ではありません。国に仕えることになってから、私という個は無くしましたから。」
と、リビーは答えた。
声も、リビーとしての女性らしい声ではなく、高めの男性っぽい声だ。
エイベル「メイ、リビー。俺は付いて行くことができない。どうか無事に帰国してくれ。」
メイ「エイベルも気をつけて……。」
エイベル「メイ。いつか、また会おう。メイが誰かの妻になっていたとしても……僕は会いたい。」
メイ「エイベル……。えぇ、いつか会いましょう。私はあなたを…エイベルを信じてる。タゴニ国を変えてね。」
エイベル「あぁ。メイが僕を信じてくれるから、僕は立ち上がれる。愛してる…メイ。それじゃぁ、僕は先に行く。またね、メイ……チュッ。」
エイベルはメイの唇にキスをすると、部屋を出て行った。
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