第22話 媚薬④キスの意味

1時間ほど経つと、リビーが隣の部屋から入って来た。


メイ「リビー!」


リビー「メイ様、寝ていなかったのですか?」


メイ「だ、だって……気になって眠れなくて……。」


リビー「ふふっ。エイベル様は落ち着きましたよ。今は疲れて眠っています。起きたら正常に戻っているはずです。」


メイ「そう…よかった。あのね……えっとね……その……。」


リビー「ふふふふっ。聞きたいですか?」


メイ「うぅ〜…聞きたいような…聞きたくないような……う〜ん……。」


リビー「内緒です。ふふふっ。」


メイ「リビーの部屋のベッドでエイベルが寝ているのでしょう?リビーはどこで眠るつもりなの?エイベルの代わりに、一緒にベッドで寝る?」


リビー「メイ様と同じベッドで眠るわけにはいきませんよ。この部屋のソファーを借りて眠ります。」


メイ「そうなの?分かったわ。」


メイはベッドで横になるが、なかなか眠れない。


リビー「眠れませんか?」


メイ「うん。」


リビー「では、眠くなるまで、少し話をしましょうか。」


リビーはメイが寝ているベッドの端に腰掛ける。


メイ「ねぇ、リビー?エイベルは、なぜ手の平にキスをしてきたの?」


リビー「メイ様は手の平のキスの意味を知りませんか?」


メイ「手の甲への意味は分かるけれど…。」


リビー「手の甲へは“敬愛”ですね。手の平は“懇願”ですね。」


メイ「懇願?」


リビー「エイベル様の場合は、メイ様に自分の気持ちに応えてほしい。メイ様が欲しい。そういった意味ですね。」


メイ「あっ……メイが欲しいって……言ってたわ。」


メイは恥ずかしそうに、手で口元を隠す。


リビー「そうですね〜、庭園でエイベル様はメイ様にキスをしましたよね?そのキスの意味も説明しましょうか。」


メイ「………。」


リビー「額は“祝福”、頬は“親愛”、唇は“愛情”、手の平が“懇願”、手首は“欲望”、二の腕は“愛しい(恋慕)”ですね。ふふふっ。」


メイ「……リビー、なぜ笑うのよ。」


リビー「失礼しました。エイベル様は、まだまだ純粋だと思いまして…ふふふっ。」


メイ「純粋って……じゃぁ、どこにキスしたいと思ったら純粋じゃないの?」


リビー「そうですね〜、太ももは“支配欲”、腰は“束縛・独占欲”、逆に…すねは“服従”、足の甲は“強い服従”、足のつま先は“崇拝心”とかですかね〜。耳や首は、誘拐する時にキスする場所ですね。あぁ、コンラッド様に遭遇した時に、されていましたね。」


メイ「なっ、何で知っているの!部屋には一緒に入っていなかったはずなのに…!」


リビー「ふふふっ。一緒には部屋に入っていませんでしたが、様子は伺っていましたよ。間違ってを越えてはになりますからね。それに、首筋には跡を付けられてましたからね。」


メイ「………っ。」


メイは声に出せずにうつ伏せになって悶えてしまった。


リビー「私の任務は、メイ様をビガン国に連れ帰ることですから…。申し訳ありません。」


メイ「謝る必要はないわよ。……恥ずかしいだけだから。」


リビー「ありがとうございます。さぁ、そろそろ眠って下さい。」


メイ「分かったわ。おやすみなさい、リビー。」


リビー「お休みなさい、メイ様。」


そうして、メイは眠りについた。



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