第11話

「ねぇ、あなた強いのね?でも隠しておかなきゃだめよ?今のあなた全部筒抜けよ。神宮寺 旭くん」


「あ?(こいつ、なんて言いやがった?)」

「君、隠蔽系のスキル持ってないだろう?丸見えだよ君のステータス」

(よし、殺すか)

「やめた方がいいよ、この周りには私の仲間がいる。私を殺すことはできても君も死んじゃうよ。それに今は声が外に出ないようにしているだけで、姿は見えているからね」

〔(前方に一人、背後に二人いますね。皆さん、マスターより強い部分があります)〕

「(そうか、なに?)何の用だ?美人優等生」

〔(DEXとCHRです)〕「美人優等生?私のことかな?」

(ふ~んw)

「「「ふっw...」」」

「みんな、静かに...ね?」

「「「は~い」」」

「で...何の話してたっけ?」

「知らねぇよ、お前から話しかけてきたんだろうが。それに俺が死ぬ?ありえねぇこと言うなよ。」

「いやいや、嘘じゃないよ。君のステータス、高くて200じゃないか、私たちは強化も込みで300以上はあるよ。スキルは知らないけどその程度なら取り押さえるくらいできるよ」

「...くっ、くっくっく、はっはっはっはwwwwひーwwwwはらいてぇ...ぷっwだめだ、真面目に言ってるから余計面白れぇ、数値としてみてもやっぱりかw」

 俺は先導者が出してくれた相手のステータスを少し見たが数値的には俺よりはるかに低い。

「何が面白いんだい?私たちのステータスを見る?ありえない!隠蔽系のスキルはちゃんと起動しているはずだし、私たちは壱次職業でももうすぐカンストなんだよ?」

「そうかそうか、みんなレベル44、確かにもうすぐだな、でもよ、強化込みで300って言ったか?じゃあ、俺もそんくらいできるわ。いや、5分間ならもっといけるな。で?何の用で話しかけた?脅しなら、挑発としてお前の命で勘弁してやるよ」

 美人優等生は額に汗をかきながら俺を警戒し始め周りの奴らもいつでもスキルを使えるようにか集中し始めた

「いやいや、敵対するつもりはないよ、今日は勧誘さ。私たちのサークルに入らないかとね」

「...は?」

「私たちは表向きは歴史研究を主としたサークルをやっているんだがね、裏では『ダンジョン・スタラジィ』を持っている人を集めてダンジョン探索をしているんだよ!今日学生を鑑定しているときに君を見つけてね。声をかけさせてもらったってわけさ!なぜか、喧嘩になりそうになって焦っちゃったけどね」


 いきなりの説明に付いて行けない俺をよそに俺を囲んでいた女たちも会話に入り込んできた

「あ・な・た・が!!この方を挑発するようなことを言ったんじゃありませんの!STRとINTに思いっきりステ振りなさっている方なら戦闘狂ですわ!そんな方に”私には勝てない”なんて言ったら喧嘩を売っているようなものですわよ!」

 金髪のですわ口調の女が美人優等生にキレて

「いや~、焦った焦ったwいきなりガチギレで戦いが始まるかと思っちゃったからねぇバカ部長のせいで」

 黒髪のべりーしょーと?の褐色女は笑いながら

「申し訳ございません。決して悪気があったわけではありませんのでどうかご容赦を。必要であれば部長の首くらいであれば渡させてもらいますゆえ」

 着物を着た大和撫子風の女が美人優等生を生贄に差し出しながら

「ちょっ!えっ⁉勘弁して!ごめんって!」

 美人優等生はいつものキャラと違って騒ぎながら俺の前でコントを続けてやがる


「あ~、どういうことだ?サークル?ていうかお前らの名前教えてくんね?全員名前知らないんだわ」

「えっ⁉結構有名だと思ってたんだけどな~...まぁいいか!私は美波。神室美波だよ」

 美人優等生の名前は神室美波というらしい

「私たちの名前を知らない学生がいらしたのですわね。初めてですわ。わたくしの名前は羽崎シャーロット。以後お見知りおきを。戦闘狂さん」

 金髪お嬢様は羽崎シャーロットというのか

「次はぼく?ぼくはね、御代ゆうだよ。よろしくね~」

 べりーしょーとは御代ゆうというらしい

「最後は私ですね。私の名前は白雪友里と申します。よろしくお願いしますね神宮司さん」

 大和撫子は白雪友里というらしい

「おう、わかった。美人優等生(偽)に金髪お嬢様、べりしょぼくっこ、大和撫子だな。覚えたぞ」

「覚えてないよ!どんな変換があったらそうなるのさ!ちゃんと覚えてよ!」

「あ?違ったか?おかしいな?」

「おかしいのはあなたの頭ですわ...」

「あ?なんだと?その金髪刈り取るぞテメェ」

「INTって頭の良さを補助する機能なかったっけ?友里?」

「確かあったと思っておりますよ。現に私たちの成績はみるみるよくなっていますもの」

「まじか!頭良くなんのかよINTって教えてもらってねーぞ先導者!」

〔教えていませんからねマスター〕

 俺が先導者を攻めようとすると美人優等生(偽)達が周りをきょろきょろして何かを探しているようだった

「なにしてんだ?」

「今の声何処から?ここは内外両方の声を遮断する結界なのに...」

「あ?俺のスキルだよ。ステータス見たんならわかんだろ?」

「私は数値しか見えないんだよ!だから何のスキルを持っているかもわからないし強化された数値もわからないけど、レベルを見れば大体予想はつくから君に声をかけたの!」

「なんだ、そうだったのかよ。今の声は俺のスキル【先導者】の声だ。ちなみに言っておくと強化込みの俺の数値は最大で540はあるぞ?今は装備もちゃんと着てるしな」

「「「「な⁉」」」」

「最低でも160ちょいはあるから、お前らには負けねぇよ」

「うわ、私、やばい人に声かけちゃったかなぁ...」

「美波、良く生きてましたわね。瞬殺されるじゃありませんか、CHRに多く振っているあなたでは防げませんわよ?わたくしもINTとDEXに多く振っている分防御は微妙なのですけれども」

「いや~僕でも避けるのが精いっぱいかなぁ、風圧で死んじゃうかも」

「私も一撃ならた耐えれるかもしれませんが...」


 やいのやいのと騒いでる4人を騒がしい奴らだなぁと思いながら眺めていたら本題を思い出したのか美人優等生(偽)がこちらに説明を求めてきた


「あー...俺は一番初めにナビゲーションっていうスキルをとってな、それは道案内とか俺の疑問に答えてくれたりしたりする。そして、今は制裁モンスターってのを倒して手に入れた進化のオーブだっけ?を使って進化させて先導者っていうスキルに変わったがすらすら喋れるようになった以外あんまり違いを感じてねぇな」


俺が説明すると4人はありえないという顔をしながら化け物を見る目でこっちを見てきた


「ナビゲーションってあの謎の案内しかしないゴミスキルでしょ?なんでそんなの取るのよ...しかも制裁モンスターっていった?あれってやばい能力を山ほど持っているって噂の都市伝説じゃないの??それを倒す?意味わかんない。君なんなの?」

「あ?なんなのって俺は俺だ。ていうか制裁モンスターってそんなにやばいのか?確かに強かったが隙は絶対にあったし倒せないようには作られてないって感じだったぜ?しかも結構いい装備まで落としやがったからな。また戦いたいもんだぜ。次はもっとうまく戦える。あの時魔法の存在忘れてたから剣術だけで押し切ったようなもんだし」

「戦闘狂さん、教えてさし上げますわ。制裁モンスターというのはダンジョンのボスに匹敵すると言われるモンスターでその出現理由はわかっていないのです。噂ではダンジョンを怒らせた者が制裁されるためのモンスターと言われていますわそれと戦うなんてありえず、出くわしたら死あるのみと言われておりますわ」

金髪お嬢様は真剣に語っているがあいつは別に戦えない奴なんかじゃなかった。確かに苦戦はしたが策を考えればきちんと勝てるように設計されていたし、絶望なんて必要ない、むしろ楽しい相手だった...ま、死にかけたけど


「ほ~ん、つまらん奴らだなお前ら。あいつとの戦いは楽しいものだった。死んでもいい位にな。戦いから逃げるなんざつまらん奴らがやる事だ。出現理由が不明?あほか、ダンジョンの5階層分のモンスター全部倒したら勝手に出てきやがったぞ」

「ん~それは君だからできて、君じゃなかったらやらないことだね」

「あ?経験値がもったいないだろ!だから1匹残らず倒したんだろうが!」

「これは、戦闘狂というのでしょうか?それとも効率厨?」

「うるせぇ!これが俺の性分なんだ!ごちゃごちゃいうな!」

「まあまあ、みんな!いろいろな話はあとにしよう!それこそダンジョンの中で話したらいいんじゃないかな!この講義のあとみんなで潜ってみようじゃないか!」


「...美人優等生(偽)、お前、真面目なこと言えるんだな。この時間でふざけた奴だと思ってたぜ」

「ちょっと!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る