第2話 屍骸兵の脅威、そしてフォームチェンジ!
現代 8月
日本 某県にある大規模な港町 通称〈ベイエリアタウン〉市街地エリア
「ナックルバスター!」
僕はそう叫んで、ゾンビ兵士達に必殺パンチを喰らわせる。奴らはさらに別のゾンビ兵士達を巻き込んで爆散した。
爆発音が極寒のビル街に響き渡る。
さっきからずっとゾンビ兵士の相手をしているが倒しても倒してもきりがない。
ゾンビ兵士。
人体骨格の上に皮を一枚被せたような、亡者を思わせる不気味な姿と、粗末な鉄製の剣と鎧を装備していることから僕は仮にそう呼んでいる。
一体一体はそこまで強くないが、それでも素手で簡単に人を殺せるほどの怪力を持っているし、何より恐ろしいのは無数と言っていい圧倒的な数がいるのが脅威だ。既に奴らはその数をもってして、街を埋め尽くす形でこのベイエリアタウン一帯を占拠してしまっている。
パワードスーツ戦士ディスクボーイに変身した今の僕にとって、ゾンビ兵士は大した敵ではない。だがひたすら奴らを蹴散らしていくことが今回の事件の解決に繋がるとはとてもじゃないが思えない。
ゾンビ兵士以上に問題なのは、ここ一帯の気温が極端に下がってきていることだ。今の気温はなんと-28℃らしい。しかも今もじわじわと気温は下がっている。
地面や建物の外壁の一部には霜がつき始め、酷いところは氷結し始めている。空には黒雲が広がり、今にも雪が降り出しそうだ。今は真夏だというのに……。
やはりゾンビ兵士の根城にして冷気の発生源である、海上に現れた謎のポータルの、その奥に浮かぶ氷の城をなんとかするべきなのだろう。
しかし氷の城に近づこうにも、既に海沿いはゾンビ兵士共に文字通り埋め尽くされている。不用意に近づけば、奴らに取り囲まれて身動きが取れなくなってしまうのがオチだ。
そんなことを考えていたら、先の爆発音を聞きつけたのか多数のゾンビ兵士たちが集まってきた。
気合を入れなおして僕はゾンビ兵士に向かっていく。
まず一直線に向かってきたゾンビ兵士を軽く飛び蹴りで倒す。
次の奴は大ぶりな剣撃を繰り出してきたので、それをくぐり抜けて後ろに回り背中に後ろ蹴りを叩き込む。
その次の奴は両腕を思い切り振り下ろしてきたので、それを両手で受け止める。力比べのような形になったが、わき腹に蹴りを一発喰らわせると相手の力が抜けたので腕を振り払ってから回し蹴りでトドメを刺す。
続いて僕の左右から挟むように二体纏めて飛び掛かってきたが、それぞれパンチとキックを入れてやって撃墜。内一体ははまだ立ち上がってきたのでオマケでもう一発裏拳を顔面に喰らわせる。
次の奴は爪が肥大化した個体だった。だが爪をやたらと振り回すばかりなので、相手が爪での突きを繰り出したところを回避して腕をつかみ、投げ飛ばす。奴は周りのゾンビ兵士を巻き込みながら地面に思い切り体を打ちつけ、動かなくなった。
相手を投げた体勢から顔を上げると、今度は三体一列になって襲ってきたので、先頭にはラリアット、次のに顔面パンチ、最後の奴はストレートキックを叩き込んで倒した。
次々と襲ってくるゾンビ兵士達を蹴散らしている最中に、スーツ内のセンサーが何かを察知したようだ。ヘルメット内のバイザーモニターにセンサーが得た情報が表示される。
≪警告:付近に小規模なポータルの発生を確認/////≫
≪警告:ポータルから高エネルギー反応を確認/////≫
≪警告:高エネルギー反応は移動中・マップに位置を表示します/////≫
バイザーの右上の端ある周辺マップに赤い光点が表示される。
ポータルから出てきた高エネルギー反応……敵の新手かもしれない。その正体はこの目で確かめてみることにする。
しかし反応を追おうにも、僕を囲んでいるゾンビ兵士をなんとかしなければ、とてもじゃないが身動きが取りづらい。
ちまちまと相手をするのも疲れてきたところだし、必殺技で一気に片付けよう。
左手で腰にあるディスクチェンジャーを操作して、中央にはめ込まれたディスクを回転させる。
≪NOW・LOADING/////≫ ≪KNUCKLE… BO・BO・BO・BOOST/////≫
チェンジャーからガイド用の電子音声が鳴る。右腕に破壊エネルギーがチャージされ水色に輝く。
ヤバいと察した何体かのゾンビ兵士が必殺技の発動を阻止しようと襲ってくるがそれを左腕でのパンチや裏拳で振り払う。
敵の動きの隙を見て、僕は軽く数mほど跳躍。地面に狙いを定め右腕を引き絞る。
「ナックルバスター・アースブレイカーバージョン!」
アースブレイカーの名のままに、着地すると同時に右手で地面を殴った。
青く輝く破壊エネルギーと衝撃波が地面を伝い、僕を中心におよそ直径20m内にいたゾンビ兵士はまとめて倒された。特に破壊エネルギーをまともに喰らったゾンビ兵士は次々と爆発していくので、ナックルバスター・アースブレイカーバージョンから運よく生き延びたゾンビ兵士達も、爆発に飲まれて灰と化した。
これでまとめて数十体は倒してやった。まだまだ遠巻きにこちらを狙っているゾンビ兵士も多いが、例の高エネルギー反応を追いに行くくらいの余裕は出来た。
さて、高エネルギー反応の正体を確かめに行こう。
僕は駆けだした。
_____
数分前
まさか、まさかこんなことになるなんて。
空に亜空間ポータルが開き、その中に浮かぶ氷の城から無数の屍骸兵が押し寄せてくるのを見て、わたしはまるで頭をメイスで殴られたような衝撃を受けました。
まさか魔王軍がこの世界にまでやってきてしまうなんて。
ようやく住み慣れてきたと思ったこの街が、押し寄せてくる屍骸兵達に蹂躙されていきます。
氷の城から放たれる、魔力によって作られた冷気が街を覆います。
運よく魔力砲を支給されたらしい屍骸兵が放った魔弾がビルに直撃し、爆発を起こします。爆発音に驚いてわたしは思わず悲鳴を上げてしまいました。
人々が逃げまどい、屍骸兵達が街を破壊していく光景に、わたしはいつしか滅ぼされた故郷を重ねていました。
屍骸兵達に破壊される首都、氷結した大好きだった海、城内に響き渡る悲鳴。滅ぼされる故郷の光景が次々とフラッシュバックします。
わたしはおそろしくなって路地裏に逃げ込んで、そこでうずくまったまま動けなくなってしまいました。
そうしてうずくまって、しばらくして気が付いた時には、わたしはすっかり逃げ遅れてしまっていたのです。
恐る恐る路地裏から頭を出して辺りを見ると、街はもう屍骸兵だらけでした。
屍骸兵に占拠された街からいかにして避難するか思案していると、後ろから大きな物音がしました。
わたしは思わず振り返りました。
わたしのすぐ背後に屍骸兵が迫っていました。屍骸兵の、死人のようでありながら目玉だけをぎょろぎょろとさせた不気味な顔が嫌でも目に入ります。
わたしは恐怖で全身から血の気が引いて、「ひっ」と悲鳴をあげてしまいました。
屍骸兵はわたしに襲い掛かり、わたしは片手で首を掴まれ、持ち上げられてしまいました。呼吸が苦しくて、身長差で足も地面につかなくて、足をじたばたとさせていました。わたしはそのまま路地裏から運び出されて、道路の上で無造作に手を放されました。そのままわたしは道路に倒れこみました。
それと同時に、明らかに屍骸兵のそれとは違う、金属が鳴るような足音が聞こえてきました。
屍骸兵達はどういうわけか、その足音から距離を置くように離れていきます。その動きは普段の屍骸兵からは見られない統率された動きに見えました。
わたしは顔を上げて足音の正体を見ました。
それは屍骸兵とは全く違った、調えられた鎧と大きな刃を持った槍を装備し、素顔とも面ともつかない奇妙な整った顔を持った人物でした。
本能が、目の前の槍を持った人物は危険だと叫んでいます。わたしは逃げ出そうと、立ち上がろうとしましたが、突然二体の屍骸兵に左右から掴まれ、道路上に伏せさせられ拘束されました。屍骸兵達の力は強く、わたしは苦悶の表情を浮かべました。
槍を持った人物は、わたしの前まで来て立ち止まると、手に持っていた槍でカン、カンと地面を鳴らしました。
「兵士、少し力をゆるめて差し上げなさい」
槍を持った人物が不思議なイントネーションを伴ったその声でそういうと、わたしを拘束する手が少しだけ緩みました。その人物は屍骸兵に指示を出したのです。
屍骸兵は本能のまま暴れるものだと思っていたので、わたしは屍骸兵に直接指示を下せる者がいたのに驚きました。
しかし、不気味だったのは槍を持った人物は、声を出しながらも唇が全く動いていなかったことでした。
その人物はわたしを見下ろしながら、唇を動かさないまま、話し始めました。
「探しましたよ、ヒートハル王国第二王女、フィス姫……。まあ今となってはヒートハル王国などありません。今はフィス嬢、とでも呼ばせていただきましょか」
「あなたは……」
「これはこれは申し訳ない。自分から名乗るのが道理……というものですなあ。お初にお目にかかります、私の名は魔将軍レトゥガー。ヒョウガ王から軍を任せられている者です」
魔将軍。そんな者がいたなんて、わたしは今の今まで知りませんでした。
「魔将軍など知らなかった、という顔をしてはりますなあ。まあそれも仕方のないこと。先のヒートハルでの戦いでは、私は簡単な指示を出すだけで、城に籠もっていたも同然。たまに後方で探し物をしていた程度で、誰も私を知らないのも当然です」
「……そんなあなたが、何故ここにいるのですか。ここは屍骸兵に占拠されているとはいえ、前線も前線ではないのですか」
そうわたしがいうと、レトゥガーなる人物は、わずかに顔を動かしました。その動きは、彼がにやりと笑ったように見えましたが、表情に一切の動きは見られませんでした。
「いやはや、流石は第二王女。頭の回転が早い。そう、私がこんなところまで来た理由はたった一つ。探し物の続きをしに来たんですわ」
「探し……物」
「ええ、私はヒョウガ王の命令でヒートハル王国に伝わる神器を探してましてなあ。〈魔斬の剣〉、〈奇跡の盾〉、〈破壊の指輪〉……。この三つまでは見つけだしましたとも。よく知られているのもこの三つまで。……でも、もう一つありますよなあ? 0個目の、幻の神器が」
「……あなた、まさか……〈予言の鏡〉のことを言っているのですか?」
「話が早くて助かりますなあ、フィス嬢。では、教えてもらいましょか、その“予言の鏡“のありかを」
「予言の鏡は……今は存在しません。予言の鏡は、長い時の中で忘れ去られ、風化し、失われたと聞いています」
わたしは嘘を言う理由もなく、本当のことを言いました。
しかしそれは、レトゥガーの望む答えではなかったようです。
「今更何をとぼけてはりますのやら。確かにヒートハル中ありとあらゆる場所を探しても、予言の鏡は見つかりませんでしたとも」
「そうでしょう。予言の鏡は現存しないのです」
「でも、手掛かりはありましてなあ。大聖堂の奥でしぶとく生き残ってた神官から吐かせましたわ。最近まで大聖堂の地下に予言の鏡があったんやってなあ? そしてそれをあんたのお姉さんが持ち出した……と」
思わず息を呑みます。予言の鏡が現存していた……?そんなこと、わたしは知らなかった……。
「それからあんたのお姉さんの身の周りを調べさしてもらいましたわ。大変でしたとも、氷漬けになった城を探し回るのは……しかし予言の鏡は影も形もなかった。さて、ここまで言えば私が何を言いたいか、あんたも分かるんと違いますか?」
わたしは首を横に振ります。
「物わかりの悪い……! 私はな、予言の鏡がヒートハルにないのなら、あんたがこっちの世界に持ち込んだんと違うかと、そう睨んでますのや」
レトゥガーはそこまで言うと、私の眉間に槍の切っ先を向けました。
「誰しも刃の前では正直になるもの。さあ、話してもらいましょか、フィス嬢」
「そんな……わたしは本当に知りません!」
「フィス嬢、しらを切っても無駄や。今ここであんたを殺してから、魔法で生き返して無理やり情報を吐かせても私は構いませんのやで?」
どうしてもレトゥガーは、わたしが予言の鏡を持っているということにしたいようです。しかしわたしは本当に何も知らず、彼の望む答えを言えそうにありません。
レトゥガーはそんなわたしに苛立ちを隠せなくなってきたようです。
「……あんたはもうちょっと話が通じる人だと思ってたんやけどなあ……痛い目見ないと分からないようなら、死ぬほど痛い目にでもあってもらいましょか」
レトゥガーはそういって槍を振りかぶりました。
殺されてしまう。そう思ってわたしは思わず目をつぶりました。
衝撃音。
しかしその衝撃音は槍がわたしに振り下ろされた音ではなかったのです。
何が起きたのか分からず、わたしは目を開きました。
「そこまでだ」
青と銀の全身鎧を付けた人物が、いつのまにかわたしとレトゥガーの間に割って入るように立っていて、槍の柄を掴んでいました。お互いのその手にはすごい力が掛かっているのが見てわかります。
「その子は殺させない」
鎧の人物は掴んでいる槍ごとレトゥガーを押し返し、そしてわたしを拘束していた屍骸兵達をそれぞれ一撃で倒してしまいました。
レトゥガーは素早くわたしと鎧の人物から距離を取り、槍を構えます。
「貴様一体……!?」
「僕か?僕は……ディスクボーイ。正義の味方さ。そういうお前は何者だ」
「私は魔将軍レトゥガー。ヒョウガ王から軍を任せられている者でございます」
「将軍? じゃあゾンビ兵士を操っているのはお前か」
「ぞんび兵士? ああ、屍骸兵のことですかな? 確かに、屍骸兵を操るのが私の仕事の一つにございます」
そういうとレトゥガーは槍で地面を叩き、それと同時にディスクボーイを名乗る戦士の背後に、屍骸兵が六体現れて飛び掛かります。
「甘い」
ディスクボーイはそう言って後ろ回し蹴りを放ち、屍骸兵を六体纏めて文字通り一蹴してしまいました。
「屍骸兵とかいうのはもう飽きるほど倒してきた。今更僕の敵じゃない」
「なるほど、なるほど。確かにあんたが相手では屍骸兵は役に立たなそうや」
レトゥガーは槍を掲げぐるぐると回し、槍を構えなおして戦闘態勢を取ります。
「退け、屍骸兵。……さあディスクボーイさんとやら。私が相手をさしてもらいましょか」
レトゥガーの言葉に従い、ぞろぞろと屍骸兵が辺りから去っていきます。
「さあ、あなたもはやく安全な場所へ」
わたしはディスクボーイにそう避難をうながされて、少し離れた建物の陰に身を隠します。
しかしなんとなくディスクボーイのことが気になって、こっそり遠目から勝負の行方を見守ることにしました。
「勝負だ魔将軍。お前を倒せばこの事件、解決に一歩近づけそうだからな」
「異世界の戦士の、お手並み拝見と行きますかな」
_____
同刻
「勝負だ魔将軍。お前を倒せばこの事件、解決に一歩近づけそうだからな」
「異世界の戦士の、お手並み拝見と行きますかな」
そういうと魔将軍レトゥガーとやらはいきなり槍を振り回してきた。
大振りなその攻撃を思わず跳躍して回避するが、奴はその一瞬の隙を見逃さない。
「そこや」
レトゥガーが僕の動きを見透かしたように槍で突こうとしてくる。
槍の狙いは正確無比、直撃は避けられない。
しかし背中のブースターを操作しエアを噴出して緊急回避。なんとか槍の刃をスーツの表面ギリギリで避けた。
そして地面に着地。
まずい。この相手、一筋縄ではいかない。思考を巡らせる。
レトゥガーの攻撃の手は緩まない。僕を狙って次々と槍を突き出してくる。僕はバク転を高速で繰り返して攻撃を次々と回避する。
次の一瞬、バク転に見せかけたキックを放って槍の刃を蹴り飛ばす。
キックの衝撃は槍の持ち主にも響き、レトゥガーが姿勢を崩す。
奴が晒した隙を逃さない。僕は左腕のアーマーをキャノンに変形させ、狙いを定める。その間の0.5秒だけキャノンにエネルギーをチャージし、チャージによって強化された光弾をレトゥガーに放つ。
炸裂音。光弾はレトゥガーの胸部に命中する。
「ふむ……なかなかやりますなあ」
レトゥガーの胸部装甲、光弾の着弾部は黒く焦げうっすらと煙を上げている。
しかし当人の口調や態度からは攻撃が効いてる様子がない。光弾は胸部装甲の表面を焼いただけのようだ。
この戦い、負けてやる気はないがレトゥガーの力量の底が見えていないのが不安だ。
何よりここは寒い。
バイザーの端に表示されている温度計によると現在の外気温は-32℃。シベリア並みの寒さだ。しかし気温以上の寒さを感じる。まるで冷気がスーツを貫通してきているようだ。スーツ内部は密閉されているのでそんなことありえないはずなのに。
スーツ内のヒーターは正常に動作しているが、それでも寒い。こう寒いと僕の身体も十分に動かせない。
などと余計なことを一瞬考えていると、その隙をつくようにレトゥガーの槍の攻撃が飛んでくる。それを僕はまたギリギリで避ける。
「いけませんなあ、戦いには集中してもらわないと。相手への最低限の礼儀やで」
見透かしたようにレトゥガーは言う。ついでに礼儀とか付け加えてくるのがさらにムカつく。絶対そんなこと思ってないくせに。
「こっちにも色々と考えがあるんだよ」
これは半分嘘だ。レトゥガーを倒すこと自体については特に考えを巡らせることはない。相手の隙を突き必殺の一撃を喰らわせてやる。今はそれだけだ。
問題は僕がレトゥガーとの戦いの決着を焦っていることだ。
周囲の気温がどんどん下がっていく中で、どういうわけかレトゥガーはぴんぴんしている。一方の僕はといえばパワードスーツを着ていながらも寒さに震えている。
もしレトゥガーが寒さを完全に克服しているとしたら、戦いが長引けば長引くほど不利なのは僕なのだ。
だからこそ早期に決着をつけたい。
しかしそんな焦りが隙を産んだ。
「そこっ!」
レトゥガーが繰り出した槍の突きを避けきれなかった。肩部装甲に一撃貰ってしまう。傷つけられた部分から火花が散った。
「うぐっ」
思わず後ろによろける。
思いのほか相手の一撃が重い。
このままでは押されてしまうかもしれない。
ここは戦局を変えよう。
腰のディスクチェンジャーの、中央にはめられたディスクを交換する。
≪DISC・CHANGE/////≫ ≪LOADING……WOLF・DISC//////≫
チェンジャーから電子音声が鳴り、ディスクは高速で回転を始める。
チェンジャーを操作し、叫ぶ。
「フォームチェンジ!」
それと同時にパワードスーツの色が、形が変わる。
アーマーの青かった部分は赤に、胸部装甲と肩部装甲が重装な見た目に変化する。
ヘルメットのマスク部分も鋭くなり、狼を思わせる形状になる。
≪CHANGE/////≫ ≪HUNTER・WOLF… LET`S・GO!/////≫
臨戦態勢を取り、レトゥガーに向かって叫ぶ。
「ディスクボーイ・ハンターウルフ……行くぞ!」
雪が降り出した。
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