槙島城、落つ / 明智光秀の視点
また始まったか。
俺こと
案の定、というべきか。
「
その一言で、すべてが決まる。あの
「まずは
俺は
予感は的中した。包囲されていた
「
そんな噂が流れてきたが、俺はどうにも信じきれなかった。あの
さて、いよいよ
「
よりによって、この俺に。
かつて俺は、
あの
七月十六日、俺は自らの兵を率いて、
「あれが、槙島殿の城か…」
十八日、総攻撃が開始された。
あれほどの堅城と
あっけない、としか言いようがなかった。
その後、
周囲の者たちは、
過去に将軍を
いや、違うな。
それにしても、
若江に落ち延びてもなお、幕府再興の
その粘り強さ、あるいは現実を見ていないとも言えるその執念には、ある種の畏怖すら覚える。将軍とは、そういう生き物なのかもしれない。一度その座に就いた者は、死ぬまで将軍であり続けようとするのだろう。朝廷から正式に解任されたわけではない、という理屈を支えにして。
だが、すでに時代は変わった。
八月に入り、長年
俺は、新たに拝領した坂本の城から、静かな琵琶湖の水面を眺める。
かつて仕えた
そしていま仕える
俺はその間で、ただ与えられた役目をこなすだけだ。これから一体どこまで、この規格外の
退屈しないのは確かだが、
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