第16話
雨南が図書館に戻ってきてから、まずは身体と精神の修復が最優先となった。図書館の奥にある広い一室、そこはまるで医療施設のように静かで整然としていた。白壁に囲まれた空間の中央には、ふかふかのベッドが置かれ、夏幽と春柳の双子がすでに待ち構えていた。
「ここでしばらく、ゆっくり休んでね」と夏幽が柔らかく声をかける。春柳は無言で最新の医療機器を操作し始める。細胞レベルでの修復が必要なため、治療は即効性がなく、雨南はこれから1週間から長ければ2週間ほどこの場所に滞在することになると告げられた。
時間がゆっくりと流れる中、雨南の身体は少しずつ再生し、心の疲れも癒されていった。双子は交代で彼女の傍に付き添い、精神のバランスを整えるための微細な調整を続ける。彼女の瞳に映る図書館の窓の外では、季節が少しずつ移り変わっていくのを感じられた。
治療の合間には、雨南が謎の扉の向こうで受け取った未来の記憶のデータの整理と保管作業が行われた。それはただの情報ではなく、まるで記念碑のように形作られたデジタルの結晶であり、一つ一つが代々続く家系の記憶と希望を刻んでいた。
夏幽は慎重にそのデータを解析し、図書館のメインサーバーに安全に保存できるようにプログラムを組み込む。春柳はバックアップ用のシステムを再点検し、万一の事態に備える。雨南自身もその光景を見つめながら、自分が受け継ぐべき未来の重みを胸に刻んだ。
滞在期間中、雨南は図書館の豊富な蔵書を手に取り、過去と未来の知識に触れ、心の静けさを取り戻していく。彼女の中で時間は穏やかに流れ、身体と精神が元のバランスを取り戻していった。
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