第15話
雨南の身体は未来の記憶を受け取ったことで、分子や細胞レベルに微細な欠損が生じていた。
それは彼女自身も気づかぬほどの繊細な傷であり、放置すれば深刻な影響を及ぼす可能性があった。
図書館の屋根裏部屋に住む双子の少女、夏幽(なつかすみ)と春柳(はるやなぎ)は、雨南の帰還を静かに待っていた。
彼女たちはこの私設図書館の守り手であり、特殊な治療と修復の技術を持っていた。
扉が開き、雨南がゆっくりと足を踏み入れる。
双子はすぐさま彼女に駆け寄り、優しい声で話しかける。
「おかえりなさい、雨南。無事でよかった。」
「未来の記憶を受け取ったことで、身体に微細な損傷があるわ。これから修復を始めるわね。」
夏幽は雨南の手を取り、穏やかな表情で身体の状態を詳細に診断する。
春柳はその間、図書館の奥にある治療装置を準備し始めた。
「オリジナルのデータをしっかり取得していたから、修復には問題ないわ。」
夏幽は淡々と語るが、その瞳には確かな安心感が宿っていた。
時間が静かに流れ、修復作業はゆっくりと進む。
雨南の身体は細胞レベルで再生し、精神もまた安定を取り戻しつつあった。
「焦らなくていい、ゆっくりと確実に。身体も心も時間が必要よ。」
春柳が優しく励ます。
こうして、雨南はまた新たな力を得て、未来へと繋がる旅の準備を整えたのだった。
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