第2話

雨南はテントの中で、寝袋に包まれながら目を閉じた。山の静寂に包まれて、深い眠りに落ちていく。だが、すぐに夢の世界へと誘われた。


夢の中、彼女は広くて薄暗い部屋に立っていた。壁には古びた書物や骨董品が並び、重厚なカーテンが窓を覆っている。部屋の奥から、白檮家の執事が静かに現れた。


彼は黒い燕尾服を身にまとい、穏やかだが鋭い目で雨南を見つめている。


「何のご用でしょう、雨南様」

執事は丁寧な口調で尋ねた。


雨南は迷うことなく答えた。

「時間を買いたいのです。図書館にいるための時間を」


執事は静かに首を傾げ、薄く微笑みながら言った。

「対価はご用意なさっていますか?」


「現金で払います」

雨南は胸の内を打ち明けた。


しかし、執事の表情は変わらなかった。

「お金では、時間は買えません。」


雨南は戸惑いながらも、問い返した。

「では、どうすれば?」


執事は静かに彼女を見つめ、低く答えた。

「対価を考えついたら、御迎えに上がります。」


そう言い残すと、執事はゆっくりと姿を消していった。まるで霧が溶けるかのように、部屋の中からも消え去った。


雨南は夢の中でひとり、暗い部屋の中に取り残された。彼女は何度も自問した。

「時間を買うための対価とは、いったい何なのか?」


その問いが頭から離れず、彼女は夢の中で答えを探し続けた。

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