残光のきみ

すまげんちゃんねる

残光のきみ

ひらひらと舞い落ちてくる光粒 あれが別離の速さと知らず


白々と積もる時間が君のいる駅までの距離を引き延ばしてく


唇にふれた一瞬永遠を信じたかった桜の木の下


渡せずに風に消えた手紙のように届かぬ思い抱き帰る道


ただ遠く遠くへ行きたいそれだけをロケットに託し空を見ていた


宛名のないメールを打っては消している 液晶の光滲む明け方


ぬるい風の吹くベランダで何もかも放り投げた手を見つめている


いつだって振り返れば君がいた あの日の呪縛にまだ縛られる


踏切が隔てた影は君だったか 列車過ぎれば誰もいない場所


もう一度さがすことはせず春の日に背中を向けたほのかな笑みで

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

残光のきみ すまげんちゃんねる @gen-nai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画