[エッセイ]生きた証
レネ
🐝
随分長い間、何かやらなければと思っていた。常に焦燥に煽られていた。
つまらぬ短い小説を立て続けに書いてみたり、YouTubeに夢中になったりしたが、何となく、どれも自分が残された時間を惜しみなく使うべきものとは思えなかった。
自分はあと何年生きるのだろう。
いや、あと何年何かをやれるのだろう。
そう考えると、残された時間が僅かである気がするのだ。
仮に20年は元気に活動できたとして,でも20年は長いようで短い。
その間に社会は大きく変わり、テクノロジーは大変な変化を遂げるだろうが、それに関わらず、揺るぎなく活動している自分でありたい。そうできる何かを持ちたい。
やはり小説は楽しいけれど、世に出ることを目指すのでなければどこか虚しい。そして自分には世に出る才能などないことは、自分が一番思い知らされて分かっている。
仕事を離れてしまった今、自分は何をやればいいのか、この頃はそればかり考え、焦燥に悶える。
幸い生活には何とか困っていないから、毎日のんびりお茶を飲んで昼寝をして過ごしてもいい。でも、それでは何か足りないのだ。つまらぬ小説のことを朝から晩まで考え、執筆してもいいのだが、この歳になると、○十人の方に読んでもらった、嬉しい、という気持ちもすぐにしぼんでしまう。それ以上読者の方とは関係が深まることはないし、相手のことも深く知ることはできない。何年もやってきて、何となく、つまらないと感じる時がある。
何かもっと実になること、20年を費やすにふさわしいことはないだろうか。
今になって、こんな、「生きる意味」みたいなものを探す羽目になるとは思わなかった。
多分、こんなふうに探しながら時を費やしていくのかもしれない。
近いうち、あるいは少し涼しくなったら、湖に小旅行に行こうと思っている。
清らかな湖面を眺めながら、こんなことを考えてみようか。
どうせ何も見つからないだろうが、気分転換くらいにはなるだろう。
無名の人間が、人知れず生きた証を最後にいかに残すか、そこで少し考えてみたいと思う。
[エッセイ]生きた証 レネ @asamurakamei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます