一章13話 異世界の一夜が明ける・・・

[newpage]#01 紫に煙る夜明け前

 紫に煙る夜明け前・・・俺サトルは、白麗な骨格Over Lordの姿に戻って、ピンクな粘体のベッドに眠っていた。傍らでは、ピンク色の肉棒な粘体Pink Elder Oozeに戻ったクミコと、人間体に慣れて無くて、キスして気を失うように逝った、「キーノ」がすやすやと眠っていた。「キーノ」には、黒い遮光幕をかけて、寝かせていた。

「相変わらずねぇ・・・」

「クミコさんですよ、Yes○リータ、Noたっちって言ったの」

「え」

 応えようとする、ピンクの粘体を抱き寄せるように、白麗な骨格Over Lordでキスをして、

「見目が、○リータは、大人になるのを待つって」

「ふぅーん・・・」

「クミコさんは、気にしないで下さいね」

「サトル君?」

 クミコは、驚いたように、粘体スライムの正面?を捻るように、俺サトルを見る。

「俺は、クミコさんが、好きで、愛してます」

「私も、サトルが好きで愛してるよ」

「知ってます。ずっと、俺のために、Nazarickを使ってくれたんですね」

 “YGGDRASIL”で月額課金を継続し、声優の練習場所として、Nazarick“宝物殿”を使う。魔力系魔法詠唱者でアンデッドの俺のために、ビルドを組み直して、アンデッド用回復ポーションを創るくらいに、錬金術まで取得していた。


[newpage]#02 愛の言霊ことだまを語って

 ピンク色の粘体スライムな身体を、白磁の骨で抱きあげて、クミコの身体を包み触れていくと、ピンク色の肉棒な粘体Pink Elder Oozeの身体が人間体「クミコ」へ変化する。

「サトル・・・」

「俺は、まだ、ガキです・・・でも、異世界で、白麗な骨格Over Lordの身体なら、百年千年万年の時をかけて、クミコさんを俺だけのモノにします」

 アンデッドに時の流れは無く、粘体スライムも時の流れに外れる、変わることの無いインモータルな身体。明るくなる光に、キーノが気が付いて、目覚めていた。

「人の命は儚くて一瞬に消え逝くなら、一年に季節が移ろい、百年で時代が流れて、千年万年生きる身体で、愛する人生もありですよね」

「ちゃかして、良いかい?」

「構いませんよ・・・」

「キーノも一緒だよね」

「はい。Nazarickを見つけた後は、あけみさんやアルベドも、一緒ですよ」

 サトルが、明るく、応える。

「サトルって、欲張りだったんだ」

「知らなかったですか、俺は、我儘で欲張りなんですよ」

 ピンク色の触手が、「キーノ」の身体を、黒い遮光カーテンに包んで、抱き上げたまま、人間体「クミコ」の腕に抱かれていく。

「キーノは、サトルの中で、愛されるのを、選ぶかい?」

「はいッ、選びます」

 キーノの宣言が、水面に波紋を描くように、広がっていく。




 




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