一章08話 人間体「クミコ」

[newpage]#01 戦い終えて、日が暮れて

 戦いを終えた魔法少女?は、白麗の骨格に、抱き着いて、笑って言った、

「やっぱ、見えた」

「はい。二度としないで下さいね」

 粘体スライムには、装備制限があり、服とか鎧等といった装備を、装着することができない。粘体スライムから人間体「クミコ」に変身すると、一時的に全裸になってから、服や鎧といった装備を着けることになる。装備を着けるのには、どうしても時間がかかり、その間、人間体「クミコ」は素っ裸になる。

 DMMO-RPG“YGGDRASIL”では、粘体スライムから、遺伝子と身体情報から、人間体「クミコ」への変身は可能だったけれど、粘体スライムには装備制限があって、人間体に変身すると素っ裸になってしまう。装備変更ができなかったので、R-18規定上人前での変身が警告行為となって、実際の戦闘で使えなくなってしまった。


[newpage]#02 人間体「クミコ」

 運営が無い、電脳法が無い、すべての制限が、消えてしまった世界。

 私クミコは、人間体「クミコ」のまま、白麗な骨格Over Lordに抱き着いて、泣いていた。

(リアルの身体は、咳で喋れないけど、ここでなら話せる)

「システムからの警告は、無いわよ。サトル君、嬉しい?」

「え、それって・・・」

 「クミコ」の装備は、ちょうどサトル=モモンガと出会った頃で、ホワイトプリムデザインのピンクなメイド服バージョンで、胸乳おっぱいが強調された、布面積多めのロングスカート艶艶バージョンとなっていた。R-18警告は、NPCの胸に触れる行為等で、警告がシステムから送られてきて、警告が重なると垢BANになってしまう。

 人間体「クミコ」は、簡易的な人間へ変身ではなく、粘体スライムの幹細胞に、クミコ自身の遺伝子と身体情報を実装し、人間の骨と筋肉、内臓に皮膚を生成したモノだった。斬ったら血が出るし、心臓も鼓動している、本当の人間と同じ構造をしていて、探知魔法では粘体スライムと判断できなかった。

 人間と違うのは、頭蓋骨内の脳幹にピンク色の肉棒な粘体Pink Elder Oozeが寄生し、私クミコが「クミコ」を動かしていることだ。


[newpage]#03 すべての箍が外れて・・・

 クミコが、人間体「クミコ」の姿で飛びつくように、サトルに抱き着いていた。

「ちょ、ちょっと・・・」

サトルは、人間体「クミコ」の胸乳おっぱいを感じて、蒼い光で鎮静化が繰り返し発生していた。


 天井ドームの明り取りが、陽が陰っていて、日没が近いことを示していた。


「そろそろ、日が暮れるんだよね、キーノ」

 キーノは、天井ドームの明り取りを見て、赤く染まっている雲の色から、日暮れが近いことを確認して、

「え、はい。時間が判るのですか」

「ズレてるけどね・・・」

 クミコが、腕に装備されている時計を見せると、時刻表示が無い時計は、太陽が動いて夕方が近いのを示すように、少し太陽が赤くなっていた。夜間は星が暦に合わせて動き、日の出前だと紫スタートで、白く明るくなって、正午に白く太陽が輝き、徐々に赤くなって日の入となる、不定時報で時計のシステムが構築されていた。Nazarick内での時間経過を示すための時計だった。DMMO-RPG“YGGDRASIL”の時間は、サーバーのメンテナンスやアップデートがあるため、所属する世界によって経過時間が異なるため、リアルな時間で“YGGDRASIL”内を活動しているプレイヤがほとんどだった。

『サトル君の身体も、造れるよ』

『え・・・』

 ぶわぁッとキラキラと、蒼い光が立ち上って、鎮静化を繰り返す。


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