一章07話 普段は肉棒な粘体、その実態は・・・

[newpage]#01 戦うピンク色の肉棒な粘体

 サトルは、落ち着くまでクミコを抱きしめたまま、頭?を撫で続けていた。

「舞台の歌ですね、クミコさん」

「歌い手、だったのですね、クミコ様」

「え、あ、正確には、舞台俳優だね。ミュージカルなんだ」

 喪われた声が戻った。

(ん・・・声が戻る・・・DMMO-RPG“YGGDRASIL”に残された、声優ライブラリが本人の声として、この異世界では、私クミコ自身に実装されて、本人の声になったことになるねぇ・・・)

 サトル=モモンガは姿形は白麗な骨格だけど、声は本人鈴木悟のままで、リアルな鈴木悟の声として、サトル=モモンガに実装されている。

(まるで、向こうの世界から、“YGGDRASIL”だけを切り離して、こちらの世界に召喚したようね・・・)

 クミコは、両肩の盾蒼とピンクの盾伏羲と女媧の盾を、触手を伸ばして構える。ギルドAOG、最強の盾、ぶくぶく茶釜こと私クミコ。


[newpage]#02 防御特化は伊達じゃない

 ギルドAOG最強の盾、ぶくぶく茶釜こと私クミコ。

「さぁーて、キーノ。攻撃してみてくれるかい」

「はい」

魔法の矢マジックアロー

 魔法の矢が放たれて、「ピンク女媧の盾」に<回避パリィ>されて、水面に水柱が上がる。

「数は、撃てるかい、キーノ」

「はいッ」

二重増幅ツインマキシマイズ><魔法の矢マジックアロー

 三本の魔法の矢が、同時に飛んで、三本とも、「ピンク女媧の盾」に<回避 パリィ>されて、水面に水柱が上がる。攻撃は三本だけど、水面の水柱は一つ、<回避 パリィ>の方向を、クミコが調整し着弾を一つにした。

「次は、サトル君、お願い、撃ってみて」

「え。わかりました・・・<火炎球ファイヤーボール>」

 巨大な炎の塊が、サトルから放たれて、「ピンク女媧の盾」に<回避 パリィ>、水面に着弾して、爆発のように水蒸気が立ち込めていった。


[newpage]#03 普段は肉棒な粘体、その実態は・・・

 攻撃と防御の時間が経過するにつれて、ピンク色の肉棒な粘体Pink Elder Oozeの動きは、目に映らないくらいに早くなり、反応速度が上がって、キーノには動きが見えなくなっていた。

「次は、戦闘訓練、いこうかサトル」

「了解マム・・・召喚、<炎の精霊プライマリーファイヤーエレメンタル>」

 サトルは、手にしたSoAOGを使って、炎の精霊を召喚した。

「レベルは90後半です、やってみますか、クミコさん」

「良いよ、やって、サトル」

 クミコは、駆けるというか跳ねるように、水面を飛び跳ねて移動していく。ちょうど石が、水面に当たる速度と角度で、飛び跳ねるように、回転しながら水面を跳ね、高速に移動していく。水面を高速で駆け抜ければ、飛び跳ねて移動できる、言ってできるような、単純な機動ではないけれど、ピンク色の肉棒な粘体Pink Elder Oozeはやってのける。

「さすが、クミコさん・・・余裕ですね」

 感心するように、サトルがつぶやく・・・


 炎の精霊プライマリーファイヤーエレメンタルの攻撃を、物理攻撃を蒼の伏羲の盾」で防ぎ、魔法攻撃を「魔女女媧の盾」で防いで、本体にダメージを通さない。クミコは、ピンクの触手を使った身体操作を、極限まで活用した戦闘を可能としていた。


 戦闘をしながら、ピンク色の肉棒な粘体Pink Elder Oozeは、舞台俳優のように、セリフを放つッ!!

「普段は、ピンク色の肉棒な粘体Pink Elder Ooze。されど、その実態は」

 可愛いアニメ声が、空間に響いて、壁や天井を蹴り飛ばすようにして、壁と天井を使って跳ねながら、

「魔法少女、パラレル・クミコ見参!!」

 空間に回転するピンクな粘体スライムから、変化するように全裸の美少女が舞い、空中で装備を装着していく、炎の精霊プライマリーファイヤーエレメンタルに、盾攻撃シールドアタックを、連撃で叩き込んでいく。

 盾攻撃シールドアタックは、攻撃力は低いが、確実にダメージが入るため、少しづつ相手のHPを削っていくことができる。

 炎の精霊プライマリーファイヤーエレメンタルの攻撃を躱しながら、ダメージを蓄積させていって、3分間くらい攻撃を継続して、倒すことができた。





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