第3話 一本木と書いてマジと読む美人刑事

「ハイ、マジちゃん。

これ、読んでね」


山田警部にマジちゃんと呼ばれた若き女性刑事は、資料を熱心に読んでいる。


若き女性刑事は一本木いっぽんぎという名字だが、山田警部は、“一本木と書いてマジと読む”という謎理論を展開。

レディースじゃあるまいしと思っているが、女性同士のコミュニケーションはよく分からない。


少なくとも一本木刑事は気にしてないように見える。


「この件、シゲさんと一緒に担当してもらえる?」


「はい!」


レディースと同じくらい、返事の元気が良い。


「いや、この程度なら1人でできますよ」とダメもとでしてみた。


「もう。マジちゃんがマジで美人だからって、照れちゃって」


年齢差が激しい女性がマジでめんどくさいだけなのだが―

山田警部も本当はわかっているのだろう。

そして、こっちも山田警部の意図はわかっている。


一本木マジちゃんに、勉強させてやってくれ―


まがりなりも警部補・係長であるオレが、新人刑事と組むことはない。

だから滅多にない機会。


―オレがどういう風に仕事をしているか、新人刑事に見せてやってくれ―

ということだ。


はてさて…困った、と思っていると、目の前で内線電話が鳴る。


警部殿が受話器を手に取り

「ええ?もう来ちゃったの?予定より早いわね。

じゃあ、2階の会議室Bにご案内して」


受話器を置き

「と、いうことなので、2人とも会議室Bで、対応をお願いね」

と業務命令。


オレには一本木刑事を拒否する権利はマジでないようだ。

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