圧政をぶち壊す脳筋王子
AK3t(TuT)
第1話
典型的なナーロッパ世界に、これまた典型的な圧政を敷く王の子供として転生した。
「よっしゃ、じゃあ俺がバンバン改革するぜ」
「ならん、ならんぞ我が息子よ」
「なんでさ!」
「なんでさ、ではない!敬語を使えバカ息子」
父曰く、民に重税と過酷な役を強いて、弱者を切り捨てる理由は至って単純。
魔物が強すぎるのだそうだ。
「我が国の精兵が集団戦術を用いて、ようやく抗えるのが魔物だ。私も昔、城壁外に出て地獄を見ている。狭い人類生存圏の中で防衛力を維持するには···これしか無いのだ」
ほーん、単なる私利私欲の為にこんな為政をしているわけじゃないんだな。
悔いるような表情から大人の苦労を垣間見れた。
「ならば、防衛力の底上げが急務ですね」
「そんな事は分かっておる!しかしこの国には、否、この世界には金も人材も全く足りぬ。だから民を使い潰さねばならん」
どうやらこの国以外も似たような状況らしい。
人類は緩やかな滅びを待つだけ、って感じだな。
「ありがとうございます、お父様。この世界の現状は概ね理解できました。···しかし1点だけ疑問があります」
「何だ」
「魔物とは、本当に恐るるに足る存在なのでしょうか」
「は?いや話聞いておったか?」
「···つい先日、城壁内にドラゴンが侵入したのはご存知ですよね?」
「勿論だ、国防に関わる一大事だからな。犠牲者無しに討伐出来たと聞いている」
「アレ、俺がやりました」
いかにも(何言ってんだコイツ)と言いたげな顔だ。しかし俺も嘘は言ってない。
「窓の外にドラゴンが見えたので、教育係のジイ様に教わった炎魔法を使って、ちゅどーんってしたら倒せました」
「ああ、うん···そういう事を言いたくなる時期なのだな、分かるぞ」
誰が厨二病だ。
前世の年齢と合わせたらアンタと同年代だぞ。
「嘘ではありません。自分で言うのもなんですが、俺には結構魔法の才があるみたいです」
試しに手のひらから超高温の蒼い炎を噴出すると、今世の父は目をパチクリさせた。
「は?え、蒼色の炎ってまさか」
「炎系の上位魔法ですね、多分」
圧政をぶち壊す脳筋王子 AK3t(TuT) @AK3t
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