イランの歴史 ②サファヴィー朝イラン

②サファヴィー朝イラン


 時は下って15世紀。イランの地にシーア派のすごい国家が爆誕します。それがサファヴィー朝イランです。



1:イスマーイール1世


 15世紀、今のアゼルバイジャン(今のイランの北西部で隣接している国)にあたる地域に、玉のように美しい男の子が生まれました。

 彼の名前はイスマーイール。

 宿敵オスマン帝国に邪教集団と言われたサファヴィー教団のトップの息子です。

 なにせアゼルバイジャン生まれですから、テュルク語の読み書きができます。彼はテュルク語の詩を詠んで(また詩詠んでるな)、アゼルバイジャンの人々の心をわしづかみにしました。そしてなんとたったの15歳で教団のトップに昇り詰めます。

 教団はこの美しく賢く艶めかしい(ガチ)少年のために親衛隊を結成しました。これがキジルバシュ(クズルバシュともいいます、テュルク系の言語は発音が難しいので表記ゆれが多いです。私は個人的にキズィルバーシュという表記が厨二っぽくてかっこいいと思うんだけどメジャーではないので不採用)です。

 キジルバシュはこのカリスマ的美少年のために周辺各国と戦います。イランを支配し、オスマン帝国に喧嘩を売ります。

 オスマン帝国については今ちまたで爆流行りしているので説明しなくてもいいような気がするのですが、今のトルコのイスタンブールを首都としていたイスラームのスンニ派の大帝国で(あちゃ~~~オスマン帝国はスンニ派でサファヴィー朝はシーア派なのか~~~)、ヨーロッパからすると悪の大帝国ですが、アジアからすると邪教集団サファヴィー教団に立ち向かう正統なイスラームの正義の国です。世界史ってそういうとこ!

 イスマーイールはキジルバシュを従えてオスマン帝国と交戦しますが、なにせキジルバシュはテュルク系で遊牧民ですから、騎馬突撃を得意としています。一方オスマン帝国はビザンツ帝国を滅ぼすくらい大砲での戦略が発展していたので、サファヴィー帝国が誇る騎馬戦士たちは次々と倒れていったのでした……。

 ヨーロッパの使節に「邪悪なほど美しい」と評されたイスマーイールはオスマン帝国に敗北したのち酒におぼれていきます。



2:タフマースブ


 本当に美少年かどうかは私では文献で確認できなかったんですけど、親父のイスマーイール1世が邪悪なほどの絶世の美少年で当然妃である母親も美女に決まっているので約束された顔面偏差値に生まれているはずのタフマースブくん。

 彼は物心がついた頃には美しい中年の父が酔っ払って政治を放棄していたので、一代で滅びかけたサファヴィー朝を相続するという罰ゲームみたいな政治人生をスタートします。

 が!

 彼は賢かったのでサファヴィー朝は安定期に入ります。

 え、嘘やん??と思われると思いますが、オスマン帝国との戦争ではぎりぎり国境線を守る程度まで粘り、ムガル帝国(イランの隣にあったイスラーム帝国、今のインドの北半分)と友好関係を結び、中東に平和をもたらすのです。

 そんな名君キャラいるんだ? この国。



3:アッバース1世


 アッバースは2のタフマースブの孫です。サファヴィー朝的には5代目の王です。

 彼は仮想敵国(直接的な戦闘はやめた)のオスマン帝国に近い首都タブリーズからイラン中部のイスファハンに遷都します。

 このイスファハンは中東で一大商業都市として大繁栄。イスファハンは世界の半分エスファハーン・ネスフェ・ジャハーンとうたわれるほどの最盛期を迎えます。

 しかしこのアッバース、高校世界史の授業で使われた参考史料集にとんでもない細密画ミニアチュールが載っているのですね。

 そう……酒宴で色白の美しい少年に酒を注がせている絵を……残しているのです……。

 あっ、アッバースって、そういう趣味だったんだ……。

 皆様も「アッバース1世 小姓」で検索してみてください。美少年と密着している絵が出てきます。眺めてにやにやしましょう。








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