第3話 道を切り拓く者
勇者は酒場のカウンターで爆睡していた。
しかし地鳴りの様に鳴り響く、酒場の活気で目を覚ました。
勇者
「むにゃむにゃ。
んー、なんか五月蠅いな」
オカマ僧侶A
「あ〜ら、みなさ〜ん。ついに勇者ちゃんがお目覚めになったわよ~ん。あ〜ん食べちゃいたい」
オカマ僧侶B
「いや〜ん、本日の主役のお目覚めだわ〜。
ほ〜んと食べごろねっ」
オカマ僧侶C
「私優勝して絶対に、勇者様のお仲間にしてもらうわよ〜ん。夜はテントの中で勇者様のご立派テントにも侵入するわよ~」
勇者
「なんだ、悪夢か。殺害予告まで聞こえるとわ。マスター水くれ」
マスター?
「はいっ、勇者様。
愛情たっぷりのお水ッス」
勇者
「俺にそんな趣味はないぞマスター・・・ってお前誰だ。」
マスター女
「お久しぶりッス。
今夜マスターの代理を頼まれたマスター女ッス。」
勇者
「なんだ、マスターのとこの見習いのガキンチョか」
マスター女
「ガキンチョじゃないッス。
もう立派なクールビューティお姉さんッス。」
勇者
「立派なクールビューティお姉さんは、自分でクールビューティーお姉さんなんて言わなぇんだよ。」
マスター女
「そんな事ないッス。
さっきマスターも
『お前はもう一人前だ。店番は頼んだぞ。俺はウェイトレスちゃんと温泉に行く。』
って言って店を任せてくれたッス。」
勇者
「あの野郎、頼んだ仕事もほっぽり出しやがって。しかも、浮気じゃねーか」
マスター女
「違うッス。マスター仕事だけは、しっかりやったッス。
町中駆けずり回って、僧侶様限定のタダ酒飲み大会をちゃんと今夜開催したッス。」
勇者
「え?じゃあ、あの3人も僧侶なの?ごめんじゃん」
マスター女
「あー、えっと多分そうッス。
参加費無料のタダ酒を僧侶の格好をして、1番飲んだ人が勇者様との魔王討伐の旅に同行する仲間になれるってマスターが宣伝した成果ッス。」
勇者
「コスプレじゃねーか。
それじゃ、俺の仲間に町1番の飲んだくれが加わるだけじゃねぇか。」
マスター女
「そんなことないッス。
中には本物の僧侶様もいるはずッス」
勇者
「ほんとか?」
マスター女
「か、可能性にゼロはないッス」
勇者
「俺の目を見て、もっぺん言ってみろガキンチョ。」
マスター女
「ガキンチョじゃないッス。
100人近く居る中で、きっと中には本物の僧侶様もいる気がするッス」
勇者
「これだからガキンチョは。
はぁ、せめてマスター代理がエチエチバニーの歳上お姉さんだったら良かったのに。」
マスター女
「はぁ、もう怒ったッス。
赤いはっぴを着ている僧侶コスのみなさ〜ん。
勇者様は、年上大好きッス。お酌しに来てくださいッス」
勇者
「ババアじゃねーか。なんで選択肢に0か100かしかねーんだよ。30代くらいの大人の余裕がある、お姉さんが好きなんだよ俺は」
ババア僧侶A
「勇者ちゃん、お饅頭食べるだ。
ほれ、いっぱいお食べるだ」
ババア僧侶B
「ほれ勇者ちゃん、お茶も飲むだよ。
せんべいもあるだ。」
勇者
「おばあちゃん達、ありがとねー。
おいマスター女なんだこの状況は。このコスプレしたご婦人達は誰だ」
マスター女
「今日の大会参加者の僧侶様ッス」
勇者
「野郎、適当な仕事しやがって。ざっと見た感じ本物の僧侶なんていねーじゃねーか」
マスター女
「それは教会に所属する僧侶様は基本お酒は厳禁ッスからね。」
勇者
「あっ、マジか。なんで気づかなかったんだ。
なら開催すんなよ、こんな大会」
マスター女
「マスターが『この大会、儲かり過ぎて笑いが止まらねぇぜ。サンキュー勇者様の臨時収入』って言ってたッス。」
勇者
「あいつふざけやがって。酒代で稼ぐ気満々じゃねーか。」
マスター女
「いいじゃないッスか。ここまで人が集まったら、今更中止になんてできないッスよ。
優秀な僧侶様かは分かんないッスけど。
旅の仲間と見れば、おおよそ王国騎士より強い方々も中には居るッスよ。」
勇者
「それって、まさかあのオカマトリオじゃないよな?」
マスター女
「流石勇者様、その通りッス。
あの3人は、王都のオカマバーでも指折りの手練れッス。」
勇者
「ゴクリッ」
マスター女
「全員王都の夜の狂戦士と恐れられる猛者ッス。どんな大男もあの3人と一夜を過ごしたら、産まれたての子ヤギみたいになるッス。」
勇者
「ガタガタガタガタ」
マスター女
「でも心は乙女ッス。
魔王と戦う勇者様が心配で、お三方とも勇者様の身も心もすべて自分たちのテクニックで満たしてあげたいって、やる気ッス。」
勇者
「ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ」
マスター女
「勇者様、どうしたッスか?
魔王討伐前の武者震いッスか?」
勇者
「は?ちげーが?
命の危機感じてんだよっ」
マスター女
「勇者様、安心してくださいッス。
この参加者のなかで優勝するとすれば恐らくオカマ僧侶の誰かッス。これで、魔王討伐も安心ッス。」
勇者
「1ミリも安心できねーじゃねーか。
魔王を討伐する前に、俺が討伐されるわ。」
マスター女
「何かエッチな想像してるッスね。
勇者様もやっぱり好きものッスね。」
勇者
「しばきまわすぞ。」
マスター女
「あれれ〜、照れ隠しッスか?」
勇者
「あー、このガキンチョしばきたい。
こうなりゃ、俺が優勝するしかないか。
おいマスター女。この大会俺も出るぞ。」
マスター女
「えっ、それはいいッスけど。
勇者様がもし万が一優勝したら、誰を魔王討伐の旅に連れていくッスか?」
勇者
「それは、、、」
(不味い、考えろ俺。ここで選択肢を間違えば確実に魔王討伐の前に俺が討伐される)
マスター女
「勇者様?すごい汗ッスよ?
体調悪いなら出場はやめておいた方が、、、」
勇者
「いや俺も出る。
もし俺が優勝した時は、俺一人で魔王討伐に行く。俺より、か弱い僧侶を危険な旅に連れていく訳にはいかないからな」
マスター女
「ヒュー、勇者様カッチョいいッス」
勇者
「煽んなガキンチョ。
自分で言ってなんだが勇者より、か弱くない僧侶ってなんだよ。そんな奴いねーよ」
オカマ僧侶A
「え~勇者様も参加するの~。
も〜絶対負けないんだから~。」
オカマ僧侶B
「私も負けないわよぉ〜」
オカマ僧侶C
「勇者様は私のモノよぉ~」
勇者
「いたわ。」
マスター女
「それでは僧侶の皆さん、参加者が全員集まったところで、タダ酒飲み大会はじめるッスよぉ。ルールは簡単、この中で1番酒が強い人が優勝ッス。途中でゲーしたり、飲めなくなったら失格ッス。」
勇者
「こんな簡単なルールで俺のこれからの人生が決まるのか」
マスター女
「まずは、残り5人になるまで皆さんにはサドンデスバトルをしていただくッス。度数によって、ジョッキ・グラス・ショットグラスに入れたお酒を3分以内に飲んで貰うッス。」
勇者
「胃の容量を考えたら、ショットグラスの度数の高い酒を飲むのが正解だな」
マスター女
「そして、5人になったら決勝戦ッス。
決勝戦は、順番に1杯ずつ全員おんなじお酒を飲んで貰うッス。最後まで残った人が優勝ッス。」
勇者
「決勝までに、どれだけ温存できるかが勝負か」
マスター女
「では、まず1杯目~。皆んな準備いいッスかぁ〜。
勇者様の魔王討伐成功を祈って~カンパーイ」
モブ100人
「カンパーイ」
オカマ僧侶A
「女には」
オカマ僧侶B
「負けられない戦いが」
オカマ僧侶C
「ここにある」
勇者「全員ぶったおす。」
勇者の生死をかけた戦いが今始まる。
勝利の美酒は誰の手に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます