第5話 愛してるに負けたら出ちゃう部屋
「おは、よう……う~~~ん。二人とも生きてる? まだあのデスゲームは続いてるのかな」
「体にも異常はないし、よわよわでザコザコなキミは寝てるわたしに何もできなかったんだ?」
「うんうん。紳士ってことにしておいてあげる」
「あれ? こんなメモ置いてあった?」
「これが最後のゲームだ。だって。ゲームマスターの置手紙で知らされるって斬新じゃない? 5つ目を用意してるのも準備がいいのかわたし達がクリアしちゃうって思ってるからなのか」
「デスゲームの参加者が二人とも寝てるのに最後のゲームをメモで知らせるって、本当にこのゲームマスターが謎すぎる」
「しかもこれ……えぇ? 本当に謎のデスゲームだよ。だって、お互いに『愛してる』と言い合って耐えられなくなって先に部屋を出た方が負けって」
「愛してるゲームをデスゲームに代えるやつがいるなんて、ゲームの発案者が泣いてるよ」
「ねえ、これってさ。同時に部屋を出たら引き分けじゃない? 最後のゲームらしいし」
カチャリ(ドアの鍵が閉まる音)
「え?」
ガチャガチャガチャ(ドアを揺らす音)
「鍵……かかってる。出られないじゃん!」
「もしかして、愛してるって言い合わないと鍵を開けてもられないってこと?」
「わたしの愛してるボイスを録音したいのかぁ? デスゲームのこともあるし、本気で言っちゃおうかな」
「愛してる」
「この程度で照れちゃうの? もっともっとすごいのがあるのに」
「あ・い・し・て・る」
「一音一音に愛してるって気持ちを込めたんだ。幸せな気持ちになった?」
「愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる!」
「ちょっと病んでる感じで言ってみちゃった。ゾクゾクした。愛されてるけどちょっと怖いよね? 耐えられないよね?」
「ふ~ん。ザコのくせに意外と耐えるね」
「それじゃあさ、キミの愛してるもちょうだいよ。わたしが一方的に責めてるだけじゃゲームが進まないよ?」
「…………まだまだ。こんなんじゃ全然余裕」
「ちゅき。あいちてる」
「えへへ。超あまあまの愛してる。こんな風に甘えられるのも悪くないでしょ? わたしも変化球が欲しいかな」
「…………ちょっとだけ良くなったかな。でも全然足りな~い。もっと愛をちょうだいよ」
「愛してる」
「…………」
「愛してる」
「…………」
「愛してる!」
「…………」
「愛してる!!」
「…………」
「デスゲームに関係なく、本当に愛してる!!!」
「なに驚いてるのよ。好きでもない相手とこんなふざけたデスゲームを本気するわけないじゃん」
「もしかしたら本当に死んじゃうかもしれないから、後悔しないように自分の気持ちを伝えの」
「だから……さ。キミもよわよわザコザコを卒業して、本当の気持ちを出してよ」
「わたしの愛してるに負けないように、さ」
ガチャ(ドアが開く音)
「っていう夢を見たんだ。わたしの声で顔がトロトロになってたんだから」
「ゲームマスターの正体? さあ? ゲームの結末がどうなったかもわからない。途中で起きちゃったから」
「話を逸らしてもダメ。キミはわたしの声の虜になってたの」
「恥ずかしがることはないよ。未来の人気声優の声をゼロ距離で聴いたらみんなあの顔になるって」
「じゃあ、試してみる?」
「よわよわザコザコなキミを愛してるよ」
「わたし、もう我慢しないから」
「コリコリコリコリコリコリコリコリ」
「興奮して我慢できなくなったらぁ、出していいからね」
「愛の告白、いつでも待ってるよ」
がまんくらべ~××に負けたら出ちゃう部屋~ くにすらのに @knsrnn
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。