第30話 倒すべきエリアボス

 チェルシFCーのエンツォ・マレスカ監督が今夏のリヴァプールFCの補強に対して、「リヴァプールがこのようなことを続けるのであれば、我々だけでなく、全クラブが彼らに太刀打ちできなくなるだろう。」と言っていた。


 ギブアップ宣言みたいな発言だが、プレミアリーグでのマネーゲームを始めたチェルシーの監督がそれを言った。

 

 アーセナルファンはミハイロ・ムドリクの件を忘れていない。

 アーセナルはムドリクと個人合意に至っていたのだが、チェルシーがシャフタル・ドネツクに相場以上の移籍金を提示して契約を掻っ攫った。

 '23年には、DMFのポジションが重なるモイセス・カイセドを獲得した4日後にロメオ・ラヴィアを獲得。

 OMFではクリストファー・エンクンクの後にコール・パーマーを獲得。エンクンクは結局満足なプレー時間を貰えず、今夏ACミランに移籍した。

 今年も左WGにジェイミー・ギッテンスの後にアレハンドロ・ガルナチョ、CFにリアム・デラップの後にジョアン・ペドロを獲得。

 こんな移籍を行っているチェルシーの人間が他チームに何を言っているのだろう?


 おそらくこの発言、チーム内部に向けての愚痴だろう。

 マレスカはただの現場監督でしかないので、チーム構成に口を出せないのだ。

 ラヒーム・スターリングやアクセル・ディサシ等問題になっている”爆弾処理班“も、マレスカでは解決出来ないのだ。


 しかしチェルシーの監督が移籍で他チームを羨むなんて、10年20年前を昨日の事のように話すファンからしたら、どう聞こえるのだろうか?

 ロシアマネーが悪かったとか歴史が間違ってたとでもいうのかな?

 ザ・ブルーハーツの“青空”を聴くことをお勧めしたい。

 


 クリスタル・パレスFCのSDも語ってていた。


 穏健な方は鎌田大地は判断・決断のスピードを上げることでプレーを速くしプレミアに適応したと。

 シビアな方は新加入選手が適応すために1年要したら、それは長過ぎるということ。

 これは厳しい、クリスタル・パレスは優勝を義務とされるクラブではないのにこの基準だ。

 プレミアでプレーするハードルは年々上がる一方だ。


 それを証明かのするように、我慢出来ない連中が早速フロリアン・ヴィルツに文句をつけ出した。

 ヴィルツは移籍初年度のMF、ポイント云々での批判は流石に早過ぎるだろうに。

 


 マンチェスター・ユナイテッドでは内部スタッフの証言がとうとう出た。

 オーナー・SD・現場チーム・アカデミーの間に意思疎通も連携も無く、バラバラに動いていたと。

 少しづつ調整は進んでいるらしいが、聞こえてくる話はまだまだ酷い。

 

 ジャンルイジ・ドンナルンマを逃した話は、迷走するユナイテッドの現状をよく表す。

 給与が高かったということなのだがそれだけではなく、チーム内でもトップクラスの給与になることを恐れたと言っている。


 これってトップクラスの選手を獲得するつもりが無いということだ。

 ドンナルンマは実績もユナイテッドの選手より高く、年齢的にもピークの状態だ。

 年齢を鑑みて移籍金は抑えられるが、給与は高くて当然だ。

 これを嫌がると、移籍金が高いが経験が浅く将来が不安定な若手選手か給与か高過ぎない中堅選手しか獲得出来ない。


 OBはデクラン・ライスを獲得すべきだったと言っているがこれはその通りで、ドンナルンマは多少無理してでも獲得すべきだった。事前交渉で降りたのは、愚の骨頂だ。

 案の定また来季GKを獲得するとか言っている。


 今のユナイテッドがすべき事は、ポジションを一つづつ埋めていくこと。

 未来への投資や控え選手の充実などは二の次にして、ベストメンバーの引き上げを図るべきだ。

 スタメン当確がブルーノ・フェルナンデスしかいなかったチームに、ブライアン・ムベウモとマテウス・クーニャという実力者が来た。

 この流れで行かなくてはならないのに日和ってしまった。


 妥協の産物でトップクラスに返り咲こうとは、随分とライバルを低く見積もっているのではないか?



 ユナイテッドの監督解任は情報筋が現時点では無いと言っているが、希望者が現れた。

 アイントラハト・フランクフルトの監督ディノ・トップメラー。

 これは彼の野心や虚栄心から来る願望ではなく、夢や憧れといった話だ。


 この夢や憧れを食い物にして、グレイザー家は収益を上げている。

 これはもうサッカー界全体の敵と言えるのでは?

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