第20話 日本代表に対する批評の批判をしてみよう(決して褒めてはいない)

 純粋な心を持ったサッカーファンの皆さんには、どうかこのまま日本代表を応援し続けてて欲しい。

 感情が豊かなことは、実に素晴らしいことなのだから。

 

 そうじゃない方は、諦めと広い心を持って観察しよう。この世にも珍しい日本代表のその姿を。

 


 日本代表森保一監督のことを悪く言うのは、もう今後一切止めるべきだ!

 我々日本人は品格を試されているのだ。彼をどのように扱うのかで。

 何故なら彼は、日本サッカー協会が生んだ悲しきモンスターなのだから。

 論理的な話・思考が通じないのは、致し方ない事なのだ。

 まずはモンスターを理解してから、アレコレ言えって話だ。



 対メキシコ戦と対アメリカ戦の親善試合2連発。

やっぱり色々思うところありますわ、それは皆さんと一緒。

 なので、もう一度よく考えてみる。


 でも、戦術とかフォーメーションとか選手の起用法とかもう考えたくない、だってそれ無駄だから。

 選手各々・一つ一つのプレーにも、いちいち色々言いたくない。

 なのでいっそ別の事を考えよう。



 森保監督の最大の功績は、一部の選手達を加速度的に成長させた事だと思う。

 

 選手達は精神論を説かれ、抽象的な指示をだけを受けてピッチに放り出された。

 本来得意でない位置・得意なプレーが出来ない配置に置かれたり、周囲の選手との相性も考慮されなかった。

 フォーメーションの噛み合いによる構造的な問題や相手チームによる試合途中の配置変更など選手個人の働きでは対応出来ない問題が起きても、選手達は本来受けられるはずの指示を受けられずにただプレーすることを強いられた。

 そしていざ負ければ、公に実力不足と評された。


 普通に考えれば、あり得ない状況だ。素直に受け入れられる訳が無い。

 しかしこんな状況で選手達は悟ったのだろう、全ては自分次第だと。外には頼れない、自分達の力だけで解決するしかないのだと。


 選手達は技術面でも身体能力面でも戦術面でもメンタル面でも、ピッチ上で必要とされる能力全てについての努力をした。不利を克服するために。


 そうして出来上がったのが、今いるレギュラー格の選手達だ。

 一般的に優秀とされる選手よりも、はるかに弱点が少ない選手達だ。

 普通は得意なポジションやエリアがあり、そこに置かれないと実力を発揮出来ない。

 だがこの選手達は、それぞれのポジションやエリアで必要とされるプレーを身に着けた。


 選手達が身に着けたその能力は、無茶振り耐性だ。


 副作用は、リスクを冒す尖ったプレーをしなくなったこと。成長の方向性が総合力の強化だったので、弱点の補正に力を注いだためだろう。

 主に守備力の強化と判断力の向上に力を注いだために、既に得意だったプレーの上積みは大きくされてはいない。

 時に歯痒く感じられてしまうのは、そのせいだろう。


 でも果たしてこれを、悪く言えるのだろうか?


 状況の被害者とも言える境遇から、世界レベルの実力者へと成長したのだ。


 対メキシコ戦を、こう思って振り返ると選手達を責める気にはなれない。

 負けないことが、勝つための前段階なのだから。



 対アメリカ戦の敗戦は、この様な選手達の不在が主な原因だ。

 選手が持つ個人能力の足し算が、日本代表の総合力なので、セカンドラインの選手達が出場すると当然戦力を落とす。

 その上無茶振り耐性の無い選手が出場するので、配置や起用法で発生するマイナス補正を処理出来ない。なのでチームとしての総合力を大きく落とす。


 この無茶振り耐性を無視して個々のプレーの良し悪しを評価するから、モヤッとした批判になる。



 無茶振り耐性を獲得するには、無茶振りと尋常ではないストレスにさらされる環境が必要になる。

 その場こそが日本代表戦だ。それ以外にも候補はあるが、数が少ない。

 ·ディエゴ・シメオネ率いるアトレティコ・マドリード

 ·ジョゼップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティ、

 ·アルネ・スロット率いるリヴァプール

·ミケル・アルテタ率いるアーセナル

くらいしか、思い当たらない。

 

 これらのクラブ以外でも、レベルの高いリーグやクラブに所属出来れば少しづつでも成長は出来る。  

 加入するには、高いハードルを越えなければならないが。


 日本代表の方が早い。でも日本代表では上手くプレー出来ない。

 この二律背反が、日本代表を苦しめている。

 

 モンスターの課す試練が、そうそう簡単なわけがないのだ!

 人間基準で考えるから、イラッとするのだ。

 

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