第6話 FCバルセロナのある意味大復活祭

 新シーズン開幕直後、あらゆるチームが完成形に向けファンにとっても実験的に見えるような選手起用や采配をしながら試行錯誤するこの期間。


 

 FCバルセロナがやってくれてます!!!


 昨今のサッカーがつまらない・退屈だとお嘆きの皆様。

 今まさにここに自由(規律もゴールも守れない)とスリルとエンターテイメントがあります!


 リーガ第2節レバンテ戦。色々事情はあるのだろうが、えっそれ平気?な先発メンバー、それで中盤支配出来るの?と。

 ガビもダニ・オルモもレヴァンドフスキもシュチェスニーもいない。

 

 ダニ・オルモのファンとしては、文句あります。

ダニ・オルモとは、技術と観察力・洞察力・予測力・共有力などの頭脳面を駆使して相手を出し抜こうとし、機械的・アスリート的な選手には無い、優れた駆け引きの感覚を持っている選手ですから。


 案の定試合は前半で0−2と2点ビハインドとなりました。

 

 こんな展開は長いシーズンたまにはあるんじゃないの?と思うでしょうが、バルサのディフェンスはそれはまぁ酷かった。

 中盤のフィルターに穴が空いてるし、簡単に裏を突かれては、必死に戻りスライディングする選手と出遅れてただ見ている事しか出来ない選手がでる始末。


 早急になんとかしないと、それで良いのかハンジ・フリック!


 で、結果としては終了間際に決勝点を決めて3−2で勝ってるんですけど。

 攻めて・攻めて・カウンターでやられそう、攻めても・攻めても・決まらない、やっとこさゴールみたいな展開で。

 なにこのイライラとジレジレとカタルシス。

 

 このスロースタートな感じ、先に点を取られて前のめりになり更にバタバタ・ギクシャクしながら、     それでもなんとか取り返そうと攻めまくる。

 なんか昔のバルサが帰って来たようでなんとも懐かしい。


 昔のバルサとは、もちろんヨハン・クライフのバルサだ。

 『狂ったように攻撃的で、絶対に後ろに引いて守らない』とは、かつてクライフのバルサと対戦した選手の言葉。

 そしてクライフは『ボールキープが思ったように出来れば8割の試合に勝てる』と言った。

 逆に言えば、残り2割は勝てない。でもクライフはこの2割を堂々と許容した。

 『退屈な試合をして1−0で勝つくらいなら、3-4で負けた方がいい』とまで言って。


 しかしクライフの弟子ジョゼップ・グアルディオラは少しでもこの割合を減らそうと、戦術的な変更を重ねに重ねた。

 少しでも攻守のバランスがとれるようにと。

 そしてペップの戦術は、現代のサッカーシーンにとても大きな影響を与えた。

 

 サッカーは元々、非常にバランスが取りづらいスポーツだ。

 『サッカーとは寸足らずの毛布のようだ。胸を覆えば足が出で、足下を隠せば胸が出る。』と言ったのは、ブラジルの名選手ジジ。

 ジジが活躍した白黒テレビの時代から今の4Kハイビジョンテレビの時代まで、そのへんは何も変わっていない。


 危ういバランスの中で極端なことをしたのが、クライフのバルサだった、攻撃的な方向で。

 敵陣にいるのが当たり前、『守備は相手がすればいい』とまで言い切った。


 そしてフリックのバルサ、クライフのバルサにちょっと似てる。それも危なっかしいところが。

 歴代最高と言われたペップのバルサにあった緻密さがなく、その代わりにと言って良いかはわからないが、埋められない大きな穴がある。


 戦い方もバタバタしててなんかちょっと馬鹿っぽい、だがそれが良い。


 今のフリックのバルサには、ペップのバルサにあった安定感や圧倒的な強さは無い。

 ミスもあればゴラッソもあるドタバタしたスラップスティックのようなサッカーをしている。


 でもそこには現代では滅多に見られない、スリルとサスペンスとエンターテインメントがある。


 ハラハラ・ドキドキ・ワクワクの絶叫マシーンのようなサッカー、皆様是非いかがでしょうか。

 

 

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