第3話ヴィルツに対する妄想とリヴァプールへの愚痴

フロリアン・ヴィルツが数ある選択肢の中、移籍先にリヴァプールを選んだ。少し残念だが仕方が無い、と納得しようとしていたら、リヴァプールがウーゴ・エキティケまで獲得。


 わかる、物凄く理解出来る理性的な良い移籍なんだけど、あぁヴィルツの0トップが見たかった、と思ってしまう。エキティケもほぼ同じ役割なんだけど。しかも、ヴィルツは0トップの役割を熟せるけど適性はMF、エキティケの適性はFW。その上エキティケは高身長。

 リヴァプールは正しい。


 そのリヴァプール及びアルネ・スロットの考える編成は物凄く攻撃的だ。T・A・アーノルドの後釜も攻撃が売りのジェレミー・フリンポンだったし、

昨シーズンのライアン・グラーフェンベルグの6番起用。その上アレクシス・マックアリスターに代わって、ヴィルツを起用するのだろうか。更に、アレクサンデル・イサク獲得の噂まで上がっている。


 イサクまで起用したら、攻守のバランスが破綻しかねないと思う。昨シーズンはモハメド・サラーの守備の負担を軽減することで、サラーに得点力を遺憾無く発揮させた。イサクとエキティケを同時使用したら、サラーの守備負担はどうなる?ソボスライ・ドミニク一人で前線中盤の強度不足をフォローするのは、無理がある。

 


そんな不安をヴィルツ0トップへの妄想は吹き飛ばす。


 まずメリットは、守備の強度が高くなる。

 中盤にマックアリスターを使えるし、サラーを前残りにすることも出来、ヴィルツには中盤としての守備をしてもらう事が出来る。

 マックアリスターが使えれば中盤底をグラーフェンベルグと2枚で見ることが出来るから安定感が増すだろう。

 右ソボスライ・左コーディーガクポ・中ヴィルツで中盤底にマックアリスターとグラーフェンベルグ、とても強そうではないか。


 ボールを奪った後のカウンターも凄そうだ。右からはオールラウンドでフィジカルもあるソボスライが上がり、左は動きがシャープでスピードがあるガクポ、中は世界一上手いヴィルツ、前にサラー、後ろからはマックアリスターかグラーフェンベルグかフリンポンかケルケズの誰かが押し上げてくるだろう。


 ビルドアップもヴィルツが0トップに入れば、昨シーズンよりも向上するのは明白だ。

 昨シーズンのFW、ダルウィン・ヌニェスやルイス・ディアスと比べれば良くなるのは当たり前だろう。ヴィルツはトップ下適性なので、下がってからのプレーは比べるべくもない。さらに下がった際のポジショニング・ボールを受けるべきエリアも理解しているだろう。

 ボールを受ける前でも良くなっているのに、ボールを受けたらヴィルツの技術・判断・共有力・予測力などの能力が発揮されるのだ。リオネル・メッシ以来最高の0トップになれるかも知れない。


 得点力は、サラーとガクポに期待しよう。ヴィルツもそこそこ点を決めるだろうが、ストライカーにはなれない。

 サラーとガクポが前向きに仕掛ける機会が増える、ゴールに向かう道筋が整理される、これがヴィルツ0トップ効果のだろう。それに加え、マックアリスターやソボスライがヴィルツを追い越して、ゴールに向う形も出てくる。サラーがヴィルツの開けたスペースに入ると右からはフリンポンが上がれるし、同じように左からミロシュ・ケルケズも上がれる。昨シーズンより攻撃のヴァリエーションか増えるだろう。


 マイナスは、ロングボールの競り合いがさせられないこと。ロングボールはサラーを狙うか、サイド裏に出すことが多くなるだろう。

 ヴィルツは競り合いの代わりに中盤に下がってパスコースを増やすのだから、大きなマイナスにはならない。前残りのサラーに出すボールが増えるだけだ。

 サラーの役割がより明確になり、ゴールを奪うことに集中出来るだろう。


 チームプレーでこの効果。これにヴィルツ個人のプレーが加わる。彼の人間離れしたボールコントロールや戦術眼・機転・共有力の高さが発揮されれば、もうファンタジーが溢れまくる。眼福な攻撃が繰り出されるはずだ。


 いやー惜しい。


 ところで、あまりにもヴィルツが上手すぎ、ボールコントロールが正確過ぎて(何だろう、デジタル的な正確さを感じる)、ちょっと気持ちの悪さと言うか、深淵を覗いているように感じてしまうのは、自分だけだろうか?

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