第七回 やみのかりゅうどたち

 前回は『吸血鬼』のお話でした。

 という訳で今回は、それらを『狩る者』側を。

 

 吸血鬼を狩る者、ヴァンパイア・ハンター。

 トップはやはり、この方しかあるまいっ。

 オランダの精神医学者 エイブラハム・ヴァン・ヘルシング博士!

 

 奇病に侵された患者の治療をかつての教え子に請われ渡英し、患者の症状から吸血鬼の仕業と看破するも、超常の存在を証明する術なく、患者は死亡する。

 吸血鬼化してよみがえる患者、それを追う過程でドラキュラの存在を知る博士たち。

 ドラキュラの僕となった者たちを次々と葬りながら、ドラキュラを追い詰めていく。

 ドラキュラの居城へ突入し、対峙するふたり。決着はいかに?


 ……なにも言わん。

 1958年ハマーフィルム製作の『吸血鬼ドラキュラ』を観ろ。

 そこでピーター・カッシングの演じるヘルシング博士を目に焼き付けなさい。

 

 Mr.カッシングについては前回でもいくつか書いてますが、クールで知的で高貴な佇まいにつきますな。

 ハマーフィルム作品で善悪両方を演じられましたが、どちらからも受けるイメージは上気の感じでした。

 

 秘かな当たり役としてシャーロック・ホームズがあるのがいいよね。

 1960年代においては最高のホームズ役者と認められてました。


 Mr.カッシングは前回でも触れた『ドラゴンVS七人の吸血鬼』まで、五回もヘルシング博士を演じられました。

 以後もドラキュラ映画が作られるたびに、新しいヘルシング博士が生まれています。

 医学博士ではなく、怪物ハンターを専門とした『ヴァン・ヘルシング』なんてのもあります。


 次に来るのはやっぱりこれかな?

 吸血鬼ハンターといえばこの作品『吸血鬼ハンター D』

 1983年に菊地秀行 先生が、ソノラマ文庫から世に送った超名作。

 現在も刊行中だったりする。


 投稿サイトこんなところで活動しているなら、知らぬ人はいないでしょう。

 つか、この作品しらずに物書き顔したらダメでしょ?

 発表後、どれだけのSF風味ファンタジーや伝奇系作品に影響を与えていることか!


 吸血鬼関連で現在当たり前のように使われている言葉の多くが、この作品由来だってわかってます?

 有名なところでいや「神祖」だよね~。

 あとは知る人ぞ知るような単語だった「ダンピール」とか。

 他にもいろいろとありますが割合。

 

 『D』シリーズの魅力は私なんかが語らずとも、読者さん各々が知っておられるでしょう。

 私も若いころ、のめりまくってました。

 特に二作目、『風立ちてD』が大好きなんですよ。

 一作目はまだいろいろと揺らいでいたところがあったんですが、この第二作でシリーズのフォーマットが固まった感があります。

 ラスト当たりの「僕都へ行くんです、貴族のこと勉強するんです」って告げる少年へ、Dが浮かべる笑みですよ。

 あの一連の描写の、得も言えぬ美しさときたら!

 

 アニメの方も一作目は何度もレンタルして観ましたね。

 時代が時代なので出来の方はそれなりでしたが、悪くはなかったです。

 パンツとか見えすぎてたけど、小説一作目のエッセンスは出てたかと。

 特に銀麗星とか、曾我部さんの演技も相まって、味かありましたわ。

 Dの声も、あの当時は塩沢兼人さんしかれる方、いなかったよなぁ。

 原作三巻のアニメ化である映画版、田中秀幸さんが演じられてたけど、昔カセットブックで貴族側のマイエルリンク役やられてたってーのが、なんか、こう、縁を感じてねぇ……しみじみ。

 

 んで、次に控えしは、『D』もいろいろ影響受けてると、菊地先生本人が言及してたやつ。

 おそらく世界で初めて「吸血鬼ハンター」というタイトルを掲げた作品。

 

 『キャプテン・クロノス 吸血鬼ヴァンパイアハンター』

 1974年製作のハマーフィルム末期の怪作。

 西部劇とチャンバラと吸血鬼を掛け合わせた、一見ゲテモノだけど口にしたら案外美味しいじゃんかとなる作品。

 

 粗製乱造されて新鮮味の無くなった吸血鬼映画に、新機軸を与えようと試み、思いの外いい感じだったんだけど、制作会社の方が先にダメになって終わってしまったという悲しい顛末。

 実際、使いまわしの利くプロットだから、シリーズ化すればそこそこ当たりそうだったんだけどね。

 まぁ、そうなったとしても、もう少しブラッシュアップは必要だっただろうけど(苦笑)

 

 戦争で出征中に、母と妹を吸血鬼に奪われたことでハンターとなったクロノス。

 相棒のグロスト教授と共に吸血鬼を追ってさすらいの旅路。

 かつての戦友から届く奇怪な事件の報せ、吸血鬼の仕業と見抜いたクロノスたちは退治するべく戦友のいる村へ。

 村のごろつきとのひと騒動、ジプシー娘キャロライン・マンロー!とのアバンチュール、正体を現さぬ吸血鬼、必殺の武器を作る工程、一騎打ち、死闘の末旅立つクロノスたち。

 と、結構見所有り。

 

 太陽をものともせず、杭を打ち込んでも死なない吸血鬼を倒すための武器が日本刀だったり。

 それを鍛える間、頭巾を被り結跏趺坐で待つクロノスとか、吸血鬼が通ると花が枯れるやら、映像的にもなかなか頑張っているんですよ。


 ただ、主役であるクロノスのビジュアルが弱い。弱すぎる。

 シャツに革のベスト、ぴったりしたズボンとかで地味。

 クロノス本人もごつめでもさっとしてて、あんまりパッとしない。それほど色男でもない。

 もう少し花があってスタイリッシュだったら、キャラ人気も出ただろうになぁ。


 とにかくね、悪くはないのに色々と残念な作品なんですよ。

 

 ……実はね、DVD持ってんです。

 かなり昔にレンタルビデオで見てそれっきりだったんですが、今世紀に入つてから、なんとなく思い出して、これまたなんとなく検索かけたらヒットしまして。

 タイトルこそ変わっていましたが、間違いなくクロノス。

 即ポチってしまいました(笑)

 買ったのが十年以上前で、その後どこに置いたか忘れていまして……また見たいのに叶わない状態と(爆)

 

 私的に予告編のタイトルコールがツボなんです。

 「きゃぷてぃんくろのぉす、ぶぁんぱいあはんとぅあー」って、いい発音で跳ねるのよ(笑)

 機会があったら、ぜひ見てほしいものです。

 

 いい感じに文字で埋まりました。

 今回はこれでいいでしょう。

 前回から続けて二千文字超えとか、無駄に頑張っているなぁ(笑)


 ではまた次回。


 

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