第3話 ある少女たちの会話

「ねえ」

「ん?」

「私達って友達なのに、私、あなたの家知らない」

「あれ?そうだっけ?ほら、あそこにあるマンションに住んでるの」

「今度行ってもいい?」

「それ、何回も言ってるね。いつ来るの?」

「あ、そうだったね」

「しっかりしてよね」


「……。そういえば金平糖あるじゃん?」

「ああ、あるね。最近は金が入っているのがあるみたい」

「うん。きれいだよね。それをさ、たまにさ、誰かにあげたくなるんだ」

「誰かにあげたいの?」

「……いないけどね…」

「ふうん。私は居るよ。きれいな淡い金平糖、あげたい人」

「…そっか」

「あ、ねえ、家に来る?このまま、ぼーっとベンチに座ってても暇だし」

「え!行く行く!あのマンションだよね!」

「……違うよ。こっち」

「あれ?あれじゃないの?」

「違うよ。何と勘違いしてたの?こっちだよ」

「そう…でもこっちには行きたくないな…」

「行かなきゃだめだよ。そろそろ行かなきゃ」

「どうしても?」

「うん。そろそろ帰らないと」

「あなたも帰るんでしょ?私一人になっちゃうよ」

「またあの公園に来たら会えるよ。大丈夫。ほら」

「…お酒なんてこの世になければいいのに」

「そうだね。私達、人間には強すぎる」


「……ついたね」

「それじゃあね。一人になったらまた会いに来るから」

「またね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る