第1章 イルベン刀バブル編 第8話 出港を告げるビラ
ヴィオラ宅
「ヴィオラ。戻ったぞ。いい収穫だったな。」
「遅いぞ。アツム。お前、ねえねえにちょっかい出してきたな?」
「そんなことしてねーし。金ねーのによ。」
「そんなことはどうでもいいだろ。」
お前が言うな。矢継ぎ早にヴィオラはビラを出してくる。
「さっき、郵便受けにこんなビラが入っていたんだ。ただ単にイルベンから船が出港したってだけなのに、何でビラで触れ回る必要があるんだ。」
「ビラを俺にも見せてくれ。」
イルベンから、イルベン刀が積まれた船が出港したって内容か。あと1ヶ月でイルベン刀がネテートランドに到着するってか。
「これを投函した奴にとっては知らせたい情報なんだろうな。ビラの製作費まで投じて。でもさ、これをするからには、何か裏があるんじゃねーのか。ヴィオラ、知ってたらでいいけど、何でイルベン刀がいきなり高くなったりしたんだ?」
「何かよ、人をしとめる能力が高くて、いい武器なんだとよ。」
「それでも、刀をそこまで高くする必要あんのか。折れたらそれまでだろうよ。」
「まあ、僕はよく経緯までは分からんけど、ネテートランドがナゥム教国に遠征するって計画を発表したあたりから刀が高くなりだしたんだよな。」
「そっか。ナゥム教国になんで遠征するんだ?」
「ナゥム教国はナゥム教っていう宗教をネテートランドに広めてきてるからやめさせたいって偉い人はいっているぜ。ナゥム教国へは貿易風の影響で、ナゥム教国が雨季になる時にしかたどり着けないらしいし、ネテートランドからナゥム教国にはあと3、4ヶ月ぐらい後にしか出港できないらしいって、道端で乞食している時に通行人が言ってたぜ。」
「そうか。このビラには丁寧に地図まで載っけていて、イルベンとネテートランドの場所は書いているが、ナゥム教国はこの地図に載ってるか。」
「ナゥム教国は確か、ここだったような。」
「ということは、イルベンからネテートランドに船で寄るには、ナゥム教国にも立ち寄ることになるのか。」
「そうだな。ところでアツム、ねえねえは元気だったか。取り返せそうだったか。」
「すまん。お姉さんには会ってない。ただ、あの店はこれから大変なことになるかもな。逆に、店を潰して、タダで取り戻すチャンスかもしれん。」
「まさか、ねえねえを誘拐するのか。そんなことしたら、どんな目に合うか」
「しねえよ。まあ、明日からガラッと世間が変わるかもしれんな。よく見てろ。」
オルグ!オルグで前進、異世界革命 まーもっともてぃむ @f10698NaSa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。オルグ!オルグで前進、異世界革命の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます