第2話
生まれた時からそうだった。
私の世界はこの何もない部屋。あるのは激痛をもたらす鎖とカビとホコリの匂いしかしないボロボロの服。そして、目の前の扉。
その扉からは、誰かからの食べ物が投げ入れられる。1日1回。いや、ない日も多々ある。それが何時投げ入れられるのかも分からない。
時間、といっても時間の概念なんてない。なぜ私が時間を知っているのか?それは私の前に現れるコレがすべて教えてくれる。
鉄道、学校、ハンバーグ。この世界とは違う世界のあらゆる常識は、この世界と似て非なる場所の知識でも全く間違いということはないから。
目の前の扉から吐き出されるかびたパンやほぼ水のスープは、私の命を繋ぐもの。時折目の前のコレが赤く光り警告を発する時以外は食べれるもの。
コレが教えてくれる美味しそうな食べ物からはかけ離れているものたちだけど、私のこのガリガリの体はそれだけでも生きる希望をもらえる。
そして、扉が持ってくるものは別にも。
あ、早速。
ガチャン、という大きな音で無言で投げ入れられるそれは、スープの日以外は丸裸。コロコロと転がる硬いパン。それを見ないでただ小さな窓が開いて閉まる場所を一所懸命に凝視する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます