第3話



ふわりと暖かな春の陽気が漂うような優しい色。


コレの知識で言えば松明の光なんだろう。その光は光のない私の世界を唯一彩ってくれるもの。


炎の光って、なんて温かいんだろう。なんて安心するんだろう。


ひたすらに積み重なっているスープのお皿を見る。私は今14歳と10日。だってコレがそう言うから。2歳くらいからスープが支給されだしたとして、スープは料理人から”温情”がかけられた時だけ。不規則だけれど大体10日に1回。


今ある皿の数は426枚。あら、ちょっと”温情”が足りないわね。でもこれが、記念すべき430枚になった時。



私の世界に、光が満ちる。



今日はパンね。残念。あと4枚なのに。



そう思いながら今日も、カビの部分を取り除いてパンを食べる。だって、カビは体に悪いから。食べたらお腹を壊してしまう。


水はいつもある。部屋の端にあるバケツに常に入れられているから。なぜいつも満ちているのかは謎。この世界に魔法があるからなのかも?



それならご飯も魔法で運んだらいいのに。こういう所は不思議なものよね。


魔法が発達した世界は、科学が発達しない。魔法が使えない人もいるというのに、魔法に依存した世界になる。それがこの国。人間の国。



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