第5話

第5話


王都に着いたら、婚約者がいた件。


 


朝。

レイナに見送られ、馬車に乗って王都を目指すことになった。


「カイ、気をつけろよ。王都は強いやつばかりだ。変なやつに絡まれたら……」


「また斬る?」


「うむ」


「怖いわ」


 


* * * 


 


王都アステリオ。


巨大な城壁、石畳の街、活気ある市場。これぞ異世界って感じの都市だ。


馬車を降りると、きらびやかな服を着た騎士団が俺を出迎えてくる。


「お初にお目にかかります。王国魔導師団長、クローディア=ヴェルンと申します」


金髪ロングのクール美人。完璧な立ち居振る舞い。

こんな人が異世界にいるのか……!


「カイ=サトウ殿。あなたには、王命がございます」


「王命……?」


「王立学院への入学、そして――」


 


「第二王女・リリス様との婚約が、決定しております」


 


「は?????」


 


婚約って何!? 俺、異世界来てまだ3日目だよ!?


「ご安心ください。契約上の婚約です。実態のない名ばかりの……」


「逆に怖いわ!!」


 


こうして俺は、

異世界でチート使ってのんびり生きるはずが、

美人魔導師に囲まれて、王女と婚約させられるハメになった。


 


(つづく)

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