第3話 Aランクと勝負

アキラは次の日は平日であった。高校生であるため、学校に向かわねばならない。


「月曜日はだるいなぁ…。」


しかし学校でもぼっちだ。というよりは、ぼっちを徹底している。


何かイベントが起こりそうな時は、なるべく回避。それが無理そうな時は程々に付き合って徐々にフェードアウトしていく。


印象は薄いが、そこそこコミュニケーションを取れる普通の人という印象を植え付けている。


「出席を取るぞー。相田〜。」


おっと、先生の出席確認がやってきた。高校にもなってそれしてるんか〜。


それよりも、調査は始まってるんだろうか。俺も馬もここに居るから調査しても見つかるはずないんだけどな〜。抜けた髪の毛とかも抜けた瞬間に消し去ってるし。


それから苦手な勉強に悩まされ、その日の授業を終えた。


「よし、帰るか。」


「おーい、山本〜。」


先生か俺を呼んでいる。何か忘れ物でもしたのか?


「現代文の課題さっさと出せよ〜。」


「はーい、明日提出しまーす。」


今日は現代文が授業になかったので普通に家に忘れた。


そして、家に帰ってきた。だけど調査はどうなってるんだろうか。今から行って鉢合わせれたら最高なんだがな。


新宿ダンジョンに入る。そして人目を避けながら下層まで降りてきた。ついでに鎧をつけて馬を呼び出し、跨った。


黒いもやを放ちながら下層を散歩する。


おっと、近くに4人ほど気配を感じるな。


広い部屋で待ってみるか。




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「米良、念入りに下層まで降りてきたが、見当たらないな。」


「確かに、もっと下に居るのかな?」


「調査だけど接敵したら戦う?」


「相手の強さによるんじゃない?」


戦うかどうかに悩む弓場さんと川瀬さん。


「この先は確かエリアモンスターが居た場所だよな。」


「毎回ランダムだけど、下層レベルの強さだよね。」


「一応行ってみるか。」


4人はそこへ向かう。


途中から何やら黒いモヤがこちらに漂っているのが見えた。


「米良、気を引き締めろ。こいつはかなり強い気配を感じる。」


「この気配は下層に居ていい強さじゃないね…。」


そして4人はそいつの姿を目撃した。


全身鎧を着込んだ、兜の部分からは赤く目が光る。背中に弓を背負い、大の男くらいはある槍を持って黒い馬に跨っている。


その黒い馬も全身を鎧で着込んでいる。


米良達は即座に武器を前に構える。


「こいつは…やばいな…。」


「そこに立っているだけで…息が苦しくなる…。」


すると、まさかの出来事が起こる。


『キサマラ、ナニモノダ。』


その魔物がまさかの言葉を発したのだ。


通常、下層には言葉を介する魔物は出てこない。出てきたとしても深層下部あたりからである。


「ここを探索しに来たんだ。」


まずは、会話が可能か見る。4人ともが、(こいつは下層のエリアモンスターでは無い)と判断している。


『キサマラノ、イイヨウ、マルデ偽ナリ。』


持前は、(バレているのか!?)と思った。


「そうだ…俺らは調査しに来た。ここで4人我らの仲間が死んだからな。」


『ホゥ、アノ雑兵、キサマラノ配下カ。』


「知っているようだな。お前が殺ったのか?」


『イカニモ、我自ラ、雑兵ヲ始末シタ。』


米良は何か引っかかる。


(我自ら??他に仲間がいるのか?)


『キサマラモ始末シテヤロウ。我ハ…深淵ノ…暗黒騎士総長…リュグナー。』


リュグナーと名乗った黒騎士は先程よりも数倍キツイ気配を放つ。


気配にやられたのか、持前が、気絶する。


『コノ程度ノ…圧ニモ…耐エレヌノカ…。ヤハリ…雑兵…。始末モ…容易ソウダ。』


川瀬は、気絶した持前を後方に下がらせる。


弓場が魔法を放つ準備をしているのが見える。川瀬は双剣を使い、黒騎士に攻めようとする。米良は状況を見ながらシールドの付与や回復に徹する。


「【氷雪弾アイシクルバースト】」


弓場が魔法を放つ。それは黒騎士を全方位から攻める。


奴にぶつかると、爆発を起こし当たりが煙が発生する。


米良は即座に煙を払うと、その隙に川瀬が黒騎士に三閃ほど浴びせる。


しかし、効いているそぶりがない。


『ソロソロ…オワラセルカ。』


黒騎士が槍を構えたと同時に川瀬と弓場が縦に半分にされる。


槍を払う事でこびり付いた血を取る黒騎士。


「まずい…。イレギュ…。」


米良が喋る途中で槍を頭に突き刺す。


貫通した槍を振り回すことで米良は振り回されその衝撃で壁まで吹き飛ばされる。


『ノコリ一人カ。』


先程気絶した持前に向かって槍を投擲する。


かなりの速度で腹を貫通し、槍は地面に突き刺さる。


少しの時間の後、槍は黒騎士の手元に戻っていく。


そこには、腹に大穴の空いた持前が残っていた。


調査隊全滅だ。


「Aランクじゃ物足りないな。お前もそう思うだろ?」


と、流暢な言葉で馬に話しかけている。


馬も鳴き声で同意する。


「そろそろ別のダンジョンに移動するか?それかスタンピードに乗じて外に出るのも面白そうだ。」


アキラは色々と考えるのだった。







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